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廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
6章 混沌
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とある樹の一生

わしが生まれたのはイレギュラーじゃった。


元々わしは周りの木と同じくただの苗木じゃった。


じゃが、生まれた場所がの。


精神体(スピリチュアル)の魔物の魔力溜まりじゃったんだ。


まあ別にそれはさほど問題じゃ無いのじゃが、そこでわしは進化、否、変異した。


わしはその魔力溜まりに適応し、その魔力溜まりを飲み込んだ。


そしてわしはこの世界に新たな種。


魔樹として誕生したのじゃ。


そこからは成長するにつれてわしは自我を持っていき、進化し、世界樹となった。


世界樹になると魔力も自然に樹力に変えられるようになり、動けはしないものの根を動かせるようになったのじゃ。


樹力の性質としては空気に触れると霧散する。


あやつらの前では身体の外に出せないと言ったのじゃがまあ同じようなものだろう。


そしてその樹力によってわしは他の樹の根っこを繋げ、振動を利用して森の様子を探れるようになったのじゃ。


とはいえその先には樹が全然無くて把握が出来なかったのじゃがな。


人間は良くここに狩りに来るからそこから頑張って言語の習得もしたのじゃぞ?


かなりわし凄いじゃろう。


そしてわしは、うーん、どの位の時を過ごしたかのう。


まあかなりの時は過ごしたと思う。


そんな時に一人の少年がわしの元に訪れたのじゃ。


その少年の名は………何じゃったかな?


まあ少年が訪ねて来たのじゃ。


わしは外の人間達に世界樹様と崇められてたのじゃ。


じゃからわしの元に訪れると祟られる等と申して人が来る事は一切なかったのじゃ。


村からも中々に離れてるし来るのも一苦労だったみたいじゃったし。


それでわしは訪ねた者に興味を持ち、話し掛けようとしたのじゃ。


じゃが、わしは気付いた。


話し掛ける手段が無い事に。


とはいえせっかく訪れて来た客じゃ。


どうにかして話し掛けようと考えた次の瞬間!


『お前、意識あるだろ?』


そう声が聞こえたのじゃ。


『何じゃこれは!?』


わしはかなり驚いたのじゃ。


それからわしはその子の話を聞いた。


この森に最も近い村。


その村がこの森から来た魔物の大群に襲われたらしい。


じゃが、わしにそんな心当たりは無かった。


第一魔物が他の魔物と群れるなんて事は有り得ない。


それにこの森から魔物が急激に減るなんて事は無かった。


少年もそれを疑問に思い、その時に死んだ母と父の復讐、そして今後そんな事を、そんな思いをしない為に己を鍛えようと旅に出たらしい。


じゃが、あの村は完全な自給自足で成り立っており、何人か成人する時に国の場所を聞いたりはするのじゃが、その情報はまだ成人していない彼には教えて貰えなかった。


そして彼は誰も会った事の無いわしが崇められているのはきっと特別な何かがあるからだ。


ならそいつに聞けば国の場所も分かるんじゃ無いか?という子供らしい突発的で安易な考えでここに来たらしい。


とはいえわしは国の場所など知らぬ。


じゃが、わしは一応長年生きて来た魔物じゃ。


しっかりと感情もあるし、こんな精神が不安定な子供を見捨てたくは無い。


じゃから暫く面倒を見るのは良いのじゃが、わしは人間の戦い方を観察したり等はしていて多少は教えられるが、本格的なものは無理じゃ。


はあ、仕方が無い。


出来る限りの事はするか。


そう思い、成人となる15歳になるまでわしは彼の面倒を見た。


あれは本当に楽しい日々じゃった。


それから時は流れ、今度は異界者という者がやって来た。


こやつらも中々に面白くての。


様々なものを作ったり鍛えてやったりと再びこんな楽しい日々が来たとわしはとても嬉しかった。


そして時が経ち、わしは死んだ。


わしは自分の生命力を利用し、燃える仲間()を助けようとした。


彼らにとっては平和だった日々の中唐突にわしが死ぬかもしれないと申したのじゃ。


悪い事をしたのう。


じゃがわしは後悔はしておらん。


今までずっと一緒に生きて来た仲間を救い、そして種を残せた。


最後にちょっとしたプレゼントを渡せたし大満足じゃ。


さて、そろそろわしも逝く時間かの。


本当に………良い………樹生じゃった………

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