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さよならグリーンアース(1)

魔王よりも最悪な国王、モルゾヴァの居る城を目指す途中も闇がじわじわと世界を飲み込んでいるのがわかりました。


その先にある、ラディプールも何だか物々しい感じになっています。まぁ、地下牢から脱獄したらこうなりますよね。

城の警備兵や手練の連中が街中に配置されています。

しかし、こちらは空の旅なのでね、お城まで行っちゃいますよ。


お城のバルコニーに降ろしてもらい、オールバリアとオールプロテインをかけて、王の部屋まで急ぎます。


「お待ちくださいぃ。ここは通しません〜!」


私達の行く手を遮ったのは、最後の四天王のアニーでした。


「アニー!こんな所で何をやっているんですか!?魔王の城に居なかったですよね?」

「・・・ゼウス様を守るのが、私の役目ですからぁ」

「へ?だって、ゼウス様に堕天させられたんですよね?」

「・・・堕天しても尊敬するのは・・・お慕いしているのはゼウス様だけですからぁ〜!」

「は!?」


一同唖然です。えぇと、アニーはゼウス様が好きってことですか?いや、でもゼウス様というかモルゾヴァにはアネッサ様という奥方が居ますよね?しかも恋愛結婚。


「この世界は、私とゼウス様が大切にしてきた世界なんですぅ!なのに、あの女がゼウス様と結婚したからっ・・・!こんな世界なんて滅びてしまえばいいんです〜!!」

「な、何を言ってるんですか!?」

「まぁ、あなた達はここで消えるのですから、(はなむけ)

昔話を聞かせてあげます〜」



「そもそもこの世界は天界の神、ゼウス様の理想郷として作られました。かつてゼウス様が理想郷として造った地球は長い年月を経て、環境が変化してしまい人口が減っていく一方です。


そこでゼウス様は新たな世界グリーンアースを造りました。今度こそ理想の世界の実現を、と願いを込めて世界を活性化させるプログラムを組み込んだ世界です。その世界にランダムで選ばれた地球の人間の魂を転生させる事でこの世界の人口を徐々に増やしていきました。しかし、人が増えるに連れて、完璧と思えた世界もバグが生じ始め、(ほころ)びが目立ち始めました。ゼウス様は世界を守る為にその綻びを一つ残らず削除する事にしました。その綻びを削除する役目をある一人の天使に任せました。その天使はゼウスの事を心から尊敬し、またゼウス様を愛していました。愛するゼウスの為にとせっせとゼウス様の理想の世界にとって都合の悪い事を削除していきました。そんなある日、天使はふと思いました。私がしている事は正しい事なのか?と」


アニーはポツリポツリと語りだしました。うぅー、この話長いのかなぁ?後じゃダメ?切羽詰まってるんですけどー・・・。


「天使はゼウス様に問いかけました。ゼウス様、過ちをおかした者にも慈悲の心を持って接すれば改心するのではないでしょうか?懺悔や容赦は無いのでしょうか?と。ゼウス様は答えました。そんなものは、必要ないのだ、と。それ以降ゼウス様はその天使をグリーンアースから遠ざけ、天界の人事部の天使として、働く様に命じました」

「す、すいません、アニー。私達急いでるんですけど」

「その後直ぐの事でした。研究室勤務のアネッサという天使がグリーンアースの調査へと向かいました。そこで出会ったのが、ゼウス様の分身のセルドジルワール国王のモルゾヴァです。モルゾヴァという器を介し、惹かれ合った二人はこの世界で結婚しました」


人の話を聞いちゃいねぇ!語る事に夢中になっています。多分自分に酔っていますね。


「グリーンアースから遠ざけられた天使はその話を耳にして、嫉妬に狂い、ありとあらゆるミスをわざとしました。私を見て、私だけを見て、と。しかしやればやるほど虚しくなりました。そんな時天使は思いました。そうだ!そもそもこんな世界なんて無くなってしまえばいいのだと。そうして天使はある若くして亡くなった女の子の魂に目をつけました。この子を光の子としてグリーンアースに転生させればバグが起きるのではないかと」


ちょっと待って。その女の子、私知ってる気がします・・・。

つか、そ れ っ て 私 の 事 じ ゃ ね ?


あれ?なんだ?じゃぁ、私痴情のもつれに巻き込まれたの?は?さっきの言い方だと、まるで私がバグの原因みたいじゃないですか。

百歩譲って私が復讐の道具になるのはいいですが、その為にジェシーだって、お兄さんだって、おじぃさんだって振り回されてしまったじゃないですか。んー、まぁ、それぞれなんか楽しくやっでしたけど。

そもそも、アニーは正しい事言ってね?慈悲とか懺悔とか容赦とか、ちゃんと神の遣いらしい事言ってるじゃん。

・・・と言う事はもはやおっさんの頭がバグッてるとしか言えませんね!


「そして私のもくろみ通りうまい事バグが発生したのですよ〜。このまま黙っていれば全てが闇に葬られるのですから、あなた達を通す訳にはいかないんですよ〜!ふふふ。アネッサが天界に居る今、ゼウス様の分身のモルゾヴァが闇に飲み込まれればゼウス様は私のもの・・・冥界で私とずぅっと一緒ですぅ♪」


いや、わかってはいたけど、もう最後は「天使」じゃなくて「私」って言っちゃってるじゃん。

うー!時間が無いのに・・・。とにかく、この嫉妬に狂った元天使からどうにかしないといけませんね。

今回もお読みくださり、ありがとうございました┏○ ペコリ

後数話でラストを迎えられそうです。良ければ最後までお付き合いください。

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