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俺は救世主なんかじゃない!~転生勇者に最愛の姉を殺されたシスコン救世主の復讐劇~  作者: 赤羽ロビン
第四章 和解する者ユァ―リカ

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第百十二話 劣勢

興味を持って下さりありがとうございます!

 戦いはユァーリカが劣勢だった。その理由は大きく分けて二つある。


(くっ! ロビンが使ってくる固有技能ユニークスキルの効果自体は分かるけどっ!)


 一つ目は単純にユァーリカの戦力が落ちていることだ。リンダの霊魂がユァーリカから離れたことで彼は精霊魔法がほとんど使えなくなっている。そして、元々、固有技能ユニークスキルのコピーは冥属性の上級精霊《超越者ハンス》の力。つまり、ユァーリカは精霊魔法と勇者から得た固有技能ユニークスキルが使えず、《死霊食い(ソウルイーター)》の力しか使えないのだ。


(リウル、頼む!)


 《夢幻泡影カレイドスコープ》で姿を消したロビンをみつけるため、ユァーリカは魂の中にいる相棒、リウルから感覚を借りる。


(見つけた!)


 ユァーリカはロビンの姿を見つけ、回避を試みる。


 ……が、何故か上を取られ、攻撃を受ける。直撃は避けることが出来ても、手傷は負う。そして何より何故かわせないのかが分からないのだ。


「まさか、こんな力を隠していたなんてっ!」


 苦戦を強いられる理由の二つ目は何故かロビンがユァーリカの知らない新しい力を持っていることだ。


(かわせない攻撃……まさか《虹の橋(ビフロスト)》か!?)


 だが、皇帝が使っていた『万全の鎧(マクシミリアン)』は手つかずで残っている。何らかの方法で“引用”した可能性もなくはないが……


「一応言っておくが、隠していたわけじゃない。この力が使えるようになったのは昨日だからな」


 追撃を警戒したユァーリカが距離を取ると、ロビンはそう口にした。


「昨日!?」


「ああ。色々あってな。試したら出来た」


「……」


 まるで冗談のような話だが、ロビンが嘘をついているような様子はない。


「この力の名前はパラダイムシフト。いわゆる物語の“おやくそく”を引用する力だ」


「おやくそく?」


 聞いたことがない言葉に当惑しつつも、ユァーリカの頭にはザンデから引き継いだ知識が想起されていく。


「姿を消した敵が上空から降ってくる、これがいわゆる“おやくそく”というやつだ」


 つまり、ロビンの新しい技は自身の固有技能ユニークスキル、《オデッセイ》を使ったものだということだ。


「何故そんなことをわざわざ俺に話す? 不利になるかも知れないじゃないか」


「まあ、理由は色々あるが……戦闘中に技のネタを話すというのも“おやくそく”だからな!」


 ロビンの姿がかき消える。ユァーリカは上空を警戒したが、今回ロビンはユァーリカに向かって突進した!


「くっ!」


 実は物語の収集や勇者王としての仕事に力を注いでいたせいでロビンはアルディナに来てから体を鍛える時間はなかった。そのため、身体能力は高くないし、戦闘技術に至っては素人同然。本来なら何の脅威にもならないはずだったのだが……


(《英雄王の剣(リンドンソード)》で身体能力と剣技のレベルを上げてるな)


 ユァーリカはロビンが使っている固有技能ユニークスキルを予測したが、実はそれだけではロビンに押されている現状が説明出来ないことにも気づいていた。


(つまり、これがパラダイムシフトとかいう力か)


 ユァーリカはロビンと鍔迫り合いをしている自分の剣の一部を雷に変えた……が、それは読まれていたらしく、ロビンは素早く後退した。


「ユァーリカ、今、全力か?」


「何?」


「“今は三割程度の力だ”とか言ってくれると楽なんだが」


「一体何の話だ」


 ユァーリカは困惑するが、ロビンからの返事は固有技能ユニークスキルによる攻撃だった。黒い雷、氷の竜、銀色のカマイタチ。一つとして同じものがない攻撃だ。


(くそっ……やっぱり強いな)


 ユァーリカは《死霊食い(ソウルイーター)》の力で盾を創ったり、リウルをアイアンバインに変身させたりして攻撃を防ぎながら、心の中で静かにその事実を認めた。


「流石だな、ユァーリカ」


 だが、それはロビンも同じだったらしい。ロビンは攻撃を凌ぎきったユァーリカにそう言って拍手をした。


「やはりキミこそ私の主人公だ。エメリーには止められているがやはり、アレを使うしかないか」


「アレ?」


「引用:ワイバーンクエスト ダインの大冒険 魔法:エンペラーフェニックス」


 ロビンがそう詠唱するとロビンの手元に炎の鳥が現れた。その見た目は紅炎鳥フェーベに似てなくもないが……


(何だ、こいつは!?)


 ユァーリカはそれが纏うマナを見て目を疑った。何しろロビンにかしずく炎の鳥は見たことがない質と量のマナだったのだ。


「行けっ!」


 炎の鳥がユァーリカを襲う。ユァーリカは剣で切り伏せようとするが、炎の鳥の動きは素早く、彼を持ってしてもなかなか捉えることが出来ない。


「そら、二発目だ!」


 何とか押しのけた時、ロビンの手から二匹目が放たれる。


(まさか連発出来るのか!!!)


 もはやユァーリカに選択肢は残ってはいなかった。


「【獄閃】!」


 魂に取り込んだ死霊の力をエネルギーに変えて打ち出す技だ。ザンデから教わった技の中で最も威力の高いものだが、欠点もある。それは死霊の力を消費してしまうことだ。


「“光よ“」


 禁断の奥義を使って窮地を切り抜けたユァーリカを更に追い詰めるようにロビンの声が響く。すると今度は光の洪水がユァーリカに襲いかかった。


(熱を持った衝撃破……しかし、この威力は!)


 ユァーリカに出来たのは《死霊食い(ソウルイーター)》を使って数枚の防御壁を創るくらいだった。


「ぐあああっ!」


 防御壁でロビンの熱衝撃破の威力はかなり弱めたはずなのだが、それでもユァーリカはかなりのダメージを負った。


(攻めなきゃ勝てない!)

読んで頂きありがとうございました! 次話は十二時に投稿します!

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