その結果が今だ
こうやってシルフと歩いていると心地がいい。
やはり色々あった私は疲れていたのだろうと思う。
こういった辺境に来たのも、逆に“運がいい”のかもしれない。
話にも聞いていたが、都市では相変わらず寝取り女コミヤは狂っているようだった。
あのコミヤは他の人の些細な失敗は徹底的に叩く。
けれどこのコミヤは、いざ自分が悪い事をして文句を言われるとコミヤは悪い事をしても許されるのだと本人が思っている状態で、『コミヤは良い子だからいいの』と言って自分は“いい子”だと言いだし、終わりにしてしまう。
あれを目撃した時は、あまりの馬鹿さに呆然とした。
余りにも話にならないので、周りの善良な人には見捨てられつつある。
そうやってコミヤがいい子と言えば、それ以上周りが追求しないという計算の内なのだとしても、愚かな人と周りからは見られているのに。
それとも追及されないから“コミヤはいい子”だと、特別だと思っているのか?
文句を言われれば皆が私に酷い事を言うの、と、コミヤは悲劇のヒロインのつもりになっているけれど、やっていることがアレなので周りからはただの屑にしか見られていないというのに。
それでも、考えるだけの頭がないから、良心の呵責もなく嘘をつける。
だから、あそこまで周りを騙せて、王子の婚約者の地位を乗っ取ったのだろう。
その結果が今だ。
自分の身にそぐわない地位を得た寝取り女コミヤは、現在、末期の状態になっているらしい。
自業自得だ。
そう、丁度都市の事を聞いたからだろう、色々と悪者としか言いようがない女を思い出して、少し不愉快になる。
そう思いだしながら、小さく呻いた私の口に、シルフが一粒の“ロタベリー”を私の唇に押し付けている。
それを一口、口にすると熟れた果実の香りが広がる。
美味しい、そう思っているとシルフが、
「リズには俺の隣では笑っていてほしいな」
「……ごめん」
「分かってる、それだけリズは本当は辛かったんだって。だから……優しいリズが幸せになれるように、幸せな結末になるよう俺もお手伝いするよ」
「……ありがとう」
「うん、“友達”だからね」
そう微笑んだシルフに私は、心が癒される。
やっぱり、シルフと一緒に居ると心が落ち着く。
そう思っているとシルフが、
「俺、町で一緒に居た時も、リズと一緒に居ると楽しかったんだ。だからあの頃のように活発で、ちょっとねじが飛んだリズに戻ってほしいんだ」
「ねじが飛んだって……」
「他の女の子を助けるために飛び出していった時は驚いたよ」
「……こう見えてもちょっとした体術は使えるもの、護身用だけれど。それにあの時は全員、簡単にシルフに倒されてしまったじゃない」
「どうだった? あの時の俺、格好良かった?」
シルフがそうやって自慢げに私に聞いてくる。
確かにあの時の立ち回りは、ごく普通の町人のようには、シルフは見えなかった。
あの時に“敵”を見据える眼差しに、一瞬魅入られた記憶がある。
そう思いながら私は、
「格好良かったかも」
「そっか~、だったらいいや。……あれ、水の音がするな」
シルフがそう呟いたのだった。
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