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俺の召喚獣だけレベルアップする  作者: アッキ@瓶の蓋。
第8章『【街】/武装姫ヘミングウェイの章』

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第289話 変わり果てた者達(2)

「ヘミングウェイ……」


 変わり果てたヘミングウェイの姿を見ていた直後であった。



 一瞬、である。



 一瞬にして、ヘミングウェイ、そしてマルガリータと冴島渉の姿が消えてしまっていた。

 

「ヘミングウェイ!? マルガリータ!! 主殿!!」


 ココアが叫ぶも返事はなく、代わりに「クックク……」とブイオーが堪えきれずに笑っている。


「あ~ぁ。残念、残念」

「なにが、おかしい!」

「おかしい? ラブホちゃん、それは違うよ」


 背中の雷を纏った大きな翼で空を飛びつつ、ブイオーはそう語る。


「本来ならば、今の一瞬で君達は敗北。即死だったのさ。それが防がれて、ちょっぴり悲しいぐらいだよ」

「それを"がーど"したというのか、マルガリータが」


 ニコリとブイオーは笑みを浮かべ、次の瞬間、ココアは距離を詰めるために前へと飛ぶ。

 そして、その一瞬後、ココアが先程まで居た場所に、大きな雷が落ちていた。


 あのまま待っていたら、ココアは雷に打たれて黒焦げだったに違いない。


「目は冷めたかな、ラブホちゃん?」

「あぁ、そうじゃな……仲良く話すような仲でもなかったの!」


 急に消えたヘミングウェイとマルガリータの事は、一旦忘れる事にしたココア。

 今はこの、自分を殺したくてたまらない復讐者(ブイオー)をどうにかすべきだと、そう結論付ける。




「【雷狐・風狐】、それに【鮮血武装】!」


 ココアは2匹の狐を召喚する。

 そしてその2匹の狐を自身の血液で覆うと、形を変えていく。


 属性を持つ2匹の狐は、ココアの血液と一体化し、そのままココアの身体に吸収されていく。

 

「ラブホちゃん、なにやら面白そうな事を始めてるようだけど、邪魔させてもらうよ。【絶雷】」


 ココアの変身をブイオーが待つ義理もなく、彼女は攻撃する。

 全てを無視して相手に雷のダメージを与える【絶雷】、それがココアに向かって放たれる。


 ----シュンッ!!


 しかし、そんな【絶雷】よりも、つまりは雷よりも速く動いてココアは避けていた。


 【雷狐・風狐】-----2匹の狐を【鮮血武装】にて血液の塊へと、血液へと変えて、その身に取りこむ。

 今のココアは、2匹の狐を"自身の血液"という武装しているようなものだ。

 ココアの身体の中では、2匹の狐が武器として、物凄い勢いで動いて、先程のスピードを与えているのだろう。


「(しかも、どんどんココアの力が増しているのを感じる)」


 それは【原罪の妖狐・怠惰】の効果。

 『攻撃しなかった時間だけ次の攻撃力を上げる』というスキルの効果は、彼女の身体の中の血液状態となっている武装の攻撃力を上げ続けていた。


「なんと、滅茶苦茶な使い方! 死ぬ気か、ラブホちゃん!」

「あぁ、妾は死ぬじゃろう」


 ココアも、自身が無茶な使い方をしているのを感じていた。


 自分の身体の中で、どんどん強くなっていく武器。

 その武器の力はいずれ許容量を超え、ココアの身体自身をぶち破り、ココアは死ぬだろう。


「(----じゃが、これくらいせんと、奴には勝てん)」


 以前、雪ん子を人質に取られた時に、ココアはブイオーと戦った。

 その時に感じた相手の力量からすれば、これでようやく互角に戦えるくらいだ。


「さぁ、次は妾の方から攻撃するのじゃ!」


 ココアはそう言って、ブイオーの身体に、その強化された身体能力を使って殴り掛かる。



 普通なら、ココアが自壊するのを待つのが、正しい戦術である。

 しかし、ブイオーにはその選択肢はなかった。


 絶望スカレットにより、『ココアを復讐相手として殺したい』という想いをごりっごりに固められている彼女。

 そんな彼女には、ココアが勝手に自滅するのを待つという選択肢はなかったのである。


 こうして、ココアとブイオー……2人の戦いが、始まったのだった。




(※)【鮮血武装】+【雷狐・風狐】

 スキル【雷狐・風狐】によって呼び出された2匹の狐を、スキル【鮮血武装】によって、血液状の武器という形に変えられて、その身に取り込むココアの新戦術

 雷と暴風をその身に宿したような状態なため、いつ暴走して自分の身体が崩壊してもおかしくない危険行為ではあるが、その分、そのエネルギーを相手にぶつけることが出来るのなら、かなりの戦力である事には違いない

暴走フォームは、浪漫……!!

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活動報告に今作の作成秘話を書きました
よろしければ、ご覧ください

今作についての活動報告

サイドストーリー、外伝を制作しました。第2章も始めましたので、こちらもどうぞ
俺の着ぐるみが超有能である
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