第284話 回帰ダブルエムVS空海大地(2)
念願の、第300話!!
回帰ダブルエムと、空海大地との対決。
同じくレベルⅩの冒険者たる2人の対決は、さらに激しさを増していた。
「「…………。」」
口を開いて喋る事もせず、ただ無心に、互いの力を武器と共にぶつけ合う。
ダブルエムが喋らないのは『ただその必要がないと感じている』からだが、空海大地が喋らないのは『そんな余裕がない』からである。
「(くそっ……! また攻撃が増えた!)」
【工場】の職業のスキルによって生み出した、鋼鉄の剣。
その鋼鉄の剣を手にしたダブルエムは、無慈悲に、機械的に、空海大地に攻撃を仕掛ける。
その攻撃に対し、空海大地は左手で握った武器で捌きつつ、利き手である右手の方で『見えない攻撃』を防いでいた。
----『見えない攻撃』。
恐らく天地海里を倒した、感じることが出来ない、必殺の攻撃。
そんな攻撃を、空海大地は空気で感じ取っていた。
いくら見えない攻撃とは言っても、全く痕跡もなく攻撃してくるのではない。
当たればレベルⅩの冒険者たる天地海里ですらも両断してくる攻撃であるため、触れればどんなモノであろうとも切断され、防ぐことはできない。
「(だから、風の魔法で、周囲を満たした)」
風の魔法を周囲に張った空海大地。
その魔法が『見えない攻撃』にぶつかった際に、風魔法が消えるのを感じ取って、空海大地は攻撃を感知していた。
そんな風魔法による感知の結果、分かったのは----『見えない攻撃』が増えているということさ。
自分へと向かって来る『見えない攻撃』が、明らかに、時間経過と共に増えていた。
そして、その攻撃が、自分が剣を振るうことによって、増えていることも。
「(まさか、【抜刀】の職業の能力って……)」
----試してみる価値はある。
空海大地はそう思い----剣を収納し、異世界で手に入れた頑丈な棒を装備する。
「…………」
頑丈な棒を装備した空海大地を見て、ダブルエムは明らかに反応を示した。
「(やはり……【抜刀】の能力は、刀剣----その刀剣が生み出した斬撃の痕跡を操る職業!)」
空海大地が剣を振るわれる度に、自分に迫る『見えない攻撃』が増えていた。
剣を振るえば振るうほど、その『見えない攻撃』の数が増えている事も。
『見えない攻撃』の大きさが、空海大地が剣を振った長さに比例している事も。
つまり、剣を振るえば振るうほど、相手が使える攻撃が多くなる。
「(まぁ、だからって、状況が良くなったかと言えば、別だが……)」
空海大地が見つけたのは、相手の攻撃がどういう風になっているのかを見つけただけ。
相手の攻撃を防げるようになった訳ではないのだ。
----ダブルエムは、荒廃ノネックの力を、状態を固定する力を持っていた。
だとすれば、ヤツが生み出した斬撃は消滅することなく、消えずに残る。
そして、ここでは先程まで、幽鬼達が戦い合っていた。
「(その幽鬼達が戦った際に生み出した斬撃も操れるのなら、この場には大量の斬撃がある事になる。
なるほど、天地海里が斬られたのは、その斬撃か)」
『見えない攻撃』の正体は、操れるようになった斬撃。
それが分かったとしても、対処する方法は、空海大地には思いつかなかった。
(※)職業【抜刀】
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【抜刀】 特殊系統職業
絶望スカレットによって生み出された【抜刀世界】によって作り出された、四大力を一切必要としていない、特殊な職業
周囲の斬撃の軌跡を物体として固定し、固定した斬撃を自分の意のままに操る。物体となった斬撃は感知できない
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ダブルエムは【工場】のスキルを用い、『自らが関わったモノの状態を維持する』特殊スキルを持つ荒廃ノネックを取り込み、さらには絶望スカレットが与えた【抜刀】の職業も手に入れた
それにより、周囲の斬撃を物体という状態で『固定』し、不可視の斬撃によって敵を倒せるようになった。また敵が剣や槍などの斬撃を発動する武器を用いる場合、その斬撃も自らの武器として使うことが出来る
最近、『シャングリラ・フロンティア』の原作を読もうと思ったんですが、
あんな熱量があって、毎話毎話しっかり書き込まれていて、さらに話数が900話と話数だけ見ても3倍?!
……精進しなければいけませんね




