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俺の召喚獣だけレベルアップする  作者: アッキ@瓶の蓋。
第7章『たまにはゆっくり、旅館でいい気分♪/吸血女帝ココアの章』

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第244話 マスター×"マスター"(1)

「----はっ?!」


 俺が起き上がると、そこは知らない天井であった。


 家の天井とはまるで違う、どこか高級そうな家の天井。

 そして、くるりと顔を横へと向けると、それは埃一つない、綺麗な床であった。


「どこだ、ここは……」


 またしても、ソロモンに夢の世界とやらに、いつの間にか連れてこられたのだろうか?

 きょろきょろと首を回して、辺りをうかがっていると----


「《ぴっ! 主、起きた! 起きた!》」


 俺が起きた事に気付いたのか、嬉しそうな表情で雪ん子が近寄って来る。


「《----? どうかした?》」

「本当に、雪ん子……なのか?」

「《----?》」


 俺の質問に対し、雪ん子は意味が分からないと言った様子である。

 しかし先程、雪ん子の身体を借りたソロモンと話すということがあった俺としては、どうしても確かめておきたい事であった。


「宝石、と聞いて、なにか思いつくことはあるか?」

「《----きれい?》」


 ……うん、どうやら本物の雪ん子のようである。


「ところで、ここはどこだ?」

「《ぴぴっ! ここは温泉旅館! ココアに連れてこられた場所! 主は寝ていたから、私が運んできた》」


 温泉旅館……?

 そう言えば確か、ココアから温泉旅館に招待されたような気がする。




「(あぁ、だんだん思い出してきたぞ)」


 ココアから温泉旅館に行こうと言われた俺は、雪ん子、ファイント、そしてココアと共に家を出た。

 そして悪癖龍マルガリータと武装姫ヘミングウェイの2人も召喚して、「さぁ、温泉旅館に行こうか!」と足を踏み出した瞬間、俺の意識はいきなり刈り取られてしまう。

 ----後は、ソロモンと夢の世界でお喋り、目を覚ましたら温泉旅館に到着してる、って感じである。


「《ココアとヘミングウェイの2人は、お風呂に行ったよ? ファイントはお土産を選ぶとか言ってたし、マルガリータはコンサートの下見、だっけ?》」


 ふむふむ、なるほど……って、あれ?

 今、なんか意味不明な単語が聞こえたような気がしたため、俺は雪ん子に確認する。


「なぁ、雪ん子。コンサートの下見って、なに?」

「《わかんない》」


 うん、他の3人は分かる。

 しかしながら、マルガリータに関しては、意味が全く不明である。


「(なんだよ、コンサートの下見って……温泉旅館に、そんなのあるのか?)」


 まぁ、他の皆が温泉旅館で、それぞれ思い思いに楽しんでいるのは、良く理解した。


「ところで、雪ん子。お前はお風呂に行かないのか?」

「《ぴっ! 行くつもり、なので主が起きるのを待ってた!》」


 俺が起きるのを、待ってた?

 なんのために?


「《女将さん、言ってた! 子供は親と一緒に、同じ温泉に入って良いって!

 ----だから、雪ん"子"である私は、主と同じ男湯に入る!》」

「……いや、ダメだろ」


 「《ぶー、ぶー》」と、抗議の意思を示す雪ん子をなだめるのは苦労したが、最終的には納得させた。


 そして雪ん子が出るのを見て、俺も部屋を出る。


 部屋の外には、何人かのNPCの温泉従業員達がいた。

 人間ではない、血も通わない、ダンジョン内でのみ存在する人間達----NPCの、従業員達。


 彼らが人間でない事は、感覚で理解した。

 眼に精気が宿ってないだとか、歩き方がロボット臭いだとか、そういうのではなく、なんとなく感覚で。


「(なんで分かるんだろう?)」


 一度、《東神話大陸》でNPCから依頼を受けた際も、俺は感覚で「この人、NPCだな」と認識していた。

 恐らく、他の冒険者達も似たような感覚で、判別してるのだろう。

 冒険者になったから、神様の力で、分かるようになったのだろうか?


「まっ、そんな事はどうでも良いし、俺も温泉に行くとするか」


 俺が部屋を出ると、何人かのNPCが部屋の中に入っていく。

 恐らくは、布団を敷くとか、部屋の中を片付けて整えるとか、そう言うのをするのだろう。


 俺はそう思って、部屋を出て、温泉がある方へと歩いていく。

 壁にざっくりとした矢印が合ったため、迷わずに行くことが出来そうだ。


 そうして歩いていく最中、俺はファイントを見つけた。



 何故か、【三大堕落】の面々と、ファイントが卓球をしていた。

 ファイント1人に対し、相手は佐鳥愛理とビーワンちゃんの2人。

 点差を見ると、僅かに相手側が優勢なようだが、相手が2人なのを考えると、かなり善戦している方だと思う。


「頑張れ~、#サトエリちゃん #ビーワンちゃん」


 そして、ソファーで座りながら、応援するダブルエム。


「2人も頑張れ~! ファイントちゃんも、頑張ってねぇ~!」


 同じように【三大堕落】の2人と、ファイントを応援する、"マスター"の赤坂帆波。


 ----【三大堕落】、勢ぞろいである。


「ファイントちゃん、1人でも頑張ってねぇ~!」

「「まっ、"マスター"?! 敵側の応援より、こっちを応援! 応援!」」

「隙ありっ!!」


 ……なんとなく、ファイントがどうやって点数をもぎ取った方法が、分かるような気がする。


 なんで【三大堕落】の皆がここに居るんだろうと思っていると、俺に気付いた赤坂帆波がこちらに視線を向ける。


「----やぁ、冴島渉くん。【三大堕落】の主、赤坂帆波だよ。久しぶりだね」


 そう言いながら、大きく毛深い、人ではない悪魔の腕を振るいながら。

 赤坂帆波は、ニコリと笑いかけてきたのであった。

温泉だと、やっぱり卓球対決のイメージが強いですね!!

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俺の着ぐるみが超有能である
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