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俺の召喚獣だけレベルアップする  作者: アッキ@瓶の蓋。
第5章『夏だ! 海だ! 千山鯉だぁ~!/雪ん子の座を奪いし召喚獣・千山鯉の章』

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第191話 【オーバーロード】の真の力(2)


「----【オーバーロード】の力を一言で言えば、"覚醒"だね☆」


 【オーバーロード】の力についてのアドバイスの1つとして、先にコツを掴んだファイントはそう告げた。


「私と雪ん子ちゃんは【オーバーロード】の力を使えるようになったことで、今まで使っていた【オーラ】や【マナ】と言った四大力を捨てたと、そう思い込んでたのかもしれない。

 けれども、真実はそうじゃなくて、【オーバーロード】の力の本質は、それらの力を自らの力として増やす力、なのですよ☆」

「《増やす?》」

「そうですよ、雪ん子ちゃん☆ それもただ増やすだけじゃなくて、色々な機能を増やせちゃう力です♪」


 ファイントはそう言いながら、雪ん子に分かりやすく表現するために、ファイアーボールを生み出す。

 火炎の球は、彼女の手の上でゆらゆらと揺れていた。


「これが、【オーバーロード】の力を使う前の、雪ん子ちゃんだとするね♪ で、ここに【オーラ】の力を組み合わせれば----」


 ファイアーボールは、彼女の力を受けて大きくなる。

 

「この通り、強くなる。戦闘能力が強くなって、さらに大きな範囲を、大きな敵を倒せるようになりますね☆」


 そして、次にファイントは、ファイアーボールを元の大きさに戻すと、他の3つについても試していた。



「【マナ】は、魔術を操る。【オーラ】のように自身の戦闘能力はそれほど強くはなりませんが、単純に攻撃手段が増えた、と考えるべきでしょう」


 ファイアーボールはそのままで、そのファイアーボールの周りを幾つもの小さな別のファイアーボールが回っていた。


「【スピリット】は、付与する力。自らや武器に性質を与えて、さらに強くする」


 ファイアーボールは色を変え、凍らせるような吹雪を纏ったり、雷などを放っていた。


「【プラーナ】は、治癒の力。倒されても死なないと言うのは、相手にとってこれ以上厄介な敵はありませんね」


 ファイアーボールは投げられ、壁に当たる----も、小さくならずにそのままの大きさを維持していた。

 壁に当たって体力が削られても、治癒の力で元の大きさを維持するという事なのだろう。




「でもって、これが【オーバーロード】の力です☆」




 そう言って、ファイントが一番最後に見せてくれたファイアーボールは、もはやファイアーボールではなかった。


 生まれていたのは、"大量の星々"である。

 炎を圧縮して高密度状態にして、それを一気に膨張させて爆発させることで、疑似的なビッグバンを引き起こして、星々を生み出していた。


 それはもはや、ファイアーボールとは言えない代物であった。



「【オーバーロード】は、他の四大力を取り込み、さらにそれを高次元まで押し上げる力。"覚醒"、文字通りにこれを使って出来る事は、他の四大力とは格が違う、異次元の力……。

 今までの四大力が【1】を【10】にする程度だとしたら、これは【1万】だとか、【1億】にする、まさしく規格外の能力と言えますね☆」


 「ただ、欠点もあります」と、ビッグバンを消し去りながらファイントはそう語る。


「この【オーバーロード】は、他の四大力の能力に依存する。今は分かりやすくファイアーボールからビッグバンを作り出しましたが、実際はプラズマを発生させるくらい……【スピリット】の真似事が精々、ですかね。

 要するに、元となった四大力が大きければ、大きいほど、出来る事も増えるが、元となってる力が弱ければさして強くもない」

 

 要するに、他の四大力の力に依存する力だと、ファイントはそう語っていた。


「----もし仮に、極上の四大力……異次元の破壊力を手にしたとしたら、どうなるんでしょうね☆」



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



「《今が、その時っ!!》」


 雪ん子が力を込めると共に、彼女の瞳がさらに大きく見開き、そして背中の龍の翼はさらに大きく広がっていく。


「《さっきは、【半古代龍魔法】を【オーバーロード】の力で送り込んだだけ。

 そして今は、【半古代龍魔法】を構成する【マナ】の力を、私の【オーバーロード】の力で、極限なまでに巨大化させ、覚醒させるっ!!》」


 彼女が持つ、蒼炎で出来た剣は、【半古代龍魔法】を取り込み、さらに【オーバーロード】の力で巨大化していく。

 それはまるで、1匹の巨大な龍----蒼炎の剣はその姿を変え、1匹の蒼炎の龍として再現されつつあった。


 そして、蒼炎の龍はどんどん巨大化していき、その炎の密度はどんどん増していく。

 炎の密度は増していき、それは像となって、まるで生きた龍のように、その姿は実体化していく。


 ----生命の想像。


 龍の形を為しただけのただの炎魔法は、雪ん子の【オーバーロード】の力で、一時的にしろ生命と言う形になっているみたいであった。




「ほ~ほけきょ♪ 出来上がりましたので、喰らいなさい! 【最大限に讃えよう! その偉大なる名を】」


 先に攻撃を放ったのは、黒鬼の方であった。

 たすきに込めた魔力を空へと打ち出すと、巨大隕石かと思うくらいの大きさの【シルガ様】という文字が、雪ん子の方へと向かって行く。


「偉大なるシルガ様の名を、あなた達も知ると良いですよ! ほ~ほけきょ♪」


 そして、【シルガ様】という巨大文字はゆっくりと落ちて来て、


 その文字を、蒼炎の龍が爪で薙ぎ払って破壊していた。


「ほけっ?!」


 それは、もはや魔法ではなかった。

 雪ん子が生み出した蒼炎の龍は意思を持ち、自らへと迫る【シルガ様】という文字を振り払ったのである。


 それも、スキル効果によって、破壊不可能となっているはずの文字を。



「《偉大なる名は、我が主だけで結構ですっ!!

 ----【オーバーロードの半古代龍魔法・生きてる古代龍の宴】!》」



 そして、放たれた蒼炎の龍は、自ら意思を持って、黒鬼を攻撃する。


 爪で薙ぎ、口から火を吐き、足で踏み潰す。

 それはまるで本当に、生きている古代龍が攻撃しているかのような代物であった。


「ほけえええええええええええええええええええええ!!

 偉大なるシルガ様、ばんざあああああああああああいいいいいいいいい!!」


 古代龍が消える頃には、黒鬼の意識はなく、そのまま倒れて消えてゆく----。



 ===== ===== =====

 【《ウグイス嬢》黒鬼・巨躯】を 撃破しました

 マナ系統職業【ウグイス嬢】が 解放されます


 また、初回討伐特典として以下の物の中から、1つを選んで取得できます

 なお、2回目以降は討伐特典は発生いたしません


 1)【シルガ様のサイン色紙】……偉大なるシルガ様のサインが描かれたサイン色紙。カッコよく、それでいて優雅な文字が描かれている

 効果;(黒鬼曰く)見ていると、うっとりする……見ているうちに1日が終わる事も……


 2)【シルガ様の写真集】……偉大なるシルガ様の厳選された1085枚にも及ぶ、ベストショットが収録された写真集。様々なポーズのシルガ様が撮られており、さらにはコラムまで収録されている

 効果;(黒鬼曰く)例え10万円だとしても、手に入れる価値あり!! まさしく、即・購入の代物!!


 3)【シルガ様のぬいぐるみ】……偉大なるシルガ様の姿を、10/1サイズで再現した巨大なぬいぐるみ。触っているとシルガ様に包まれてるかのような心地よさがあり、シルガ様と一緒に寝られる幸せをあなたに

 効果;(黒鬼曰く)あのシルガ様を、こんなに近くで感じられるだなんて……素晴らしすぎる!!

 ===== ===== =====



「《全部、要らないっ!!》」


 雪ん子はそう強い口調で、言うのであった。




(※)【オーバーロード】

 四大力の1つであると同時に、他の四大力とは一線を画す力。神を恨むほどの憎しみを持つ者のみが持つ力であり、神から貰った他の四大力の全てに大ダメージを受けてしまう

 その力の本質は、他の四大力と組み合わせることで初めて効果を発揮する。他の四大力の能力を覚醒させ、高次元の力へと進化させる力


 身体能力強化の【オーラ】なら時をかける能力へ、魔法使用の【マナ】なら周囲の魔法を全て掌握する完全支配能力など、全ての四大力を高次元へと跳ね上げる力である

 ただし、どこまでも高次元へと覚醒強化させるのにも限度があり、強い力を使うためには基の四大力にもそれなりの強さがなければならないという、欠点も存在する

雪ん子ちゃんは、これにて解決!!

あとは、ファイントの方は……??

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活動報告に今作の作成秘話を書きました
よろしければ、ご覧ください

今作についての活動報告

サイドストーリー、外伝を制作しました。第2章も始めましたので、こちらもどうぞ
俺の着ぐるみが超有能である
― 新着の感想 ―
[良い点] ウグイス嬢黒鬼が最後まで爪痕を残してきました… なんですかあの討伐報酬! [一言] ちゃんとしたストーリーなのにこういう笑えるところがあって最高です!
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