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俺の召喚獣だけレベルアップする  作者: アッキ@瓶の蓋。
第4章『ダンジョンの試練、最強の黒鬼と雪ん子に師匠?!/雪ん子(オーバーロード)の章』

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第129話 はじめまして、日野シティーミティーです

 ===== ===== =====

 依頼(クエスト) 『【オーバーロード】発現、および【召喚士】のスキルアップ!!』

 発行者;【三大堕落】所属 日野シティーミティー

 クエスト内容;特殊条件下での召喚獣対決3回戦を行います

 勝利条件;先に2勝する、四大力【オーバーロード】を習得する

 敗北条件;先に2敗する、四大力【オーバーロード】を習得に失敗する


 達成報酬;特殊機能【イベントリ】の贈呈


 ※なお、この依頼(クエスト)は既に発行され、強制受理されております

  拒否したりすることは出来ませんので、ご了承ください

 ===== ===== =====



「----とまぁ、そう言う訳で」


 よいしょと、目の前の青い髪のセーラー服女子高生は椅子から立ち上がると、こちらへと手を伸ばす。


「ようこそ、《クエスト》赤鬼が生み出した、クエスト空間に」



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 謎の真っ白い光に包まれたかと思っていたら、俺はいきなり謎の空間に転移させられていた。


 そこは、コロシアムだった。

 古代ローマとかで良くある、石造りの円形の闘技場……のようなモノ、だろうか?

 グルッと円状に観客席が用意されており、その観客席には古めかしい茶色い紙を頭に張り付けた赤鬼が何十人も、何百人も、ずらーっと並んで歓声が沸き上がっていた。


「それでは、ルールを説明させていただきますね」


 そんな中、会場の中心に置かれた豪華な椅子に座っていたセーラー服の女子高生さんは、椅子から立ち上がって説明を始めていた。

 

 青白いデータ画像が集まった、青いデータ髪の、狐面を被って目元を隠した女子高生。

 良い所のお嬢様学校の藍色のセーラー服を着た彼女は、先端に星型の水晶が取り付けられた杖を持っていた。


「お互いに召喚獣を1体ずつ出し合い、その召喚した召喚獣でバトルする。そして、先に相手の召喚獣の体力をゼロにし、【送還】させた方を勝者とする。

 そして、3戦のうちで先に2勝すれば、この依頼(クエスト)を達成となります」


 狐面の女子高生は、「では、早速始めましょうか」と星の杖を構え、召喚を始めようとしているみたいだった。



「まっ、待って! 待って待って!!」



 今にも戦闘を始めようとする狐面女子高生に対して、俺は制止を求めていた。

 

「(いきなりこんな空間に飛ばされて、戦闘って何なんだよ?! クエストって……俺は受理してないし、なんで俺が選ばれた?)」


 情報がめちゃくちゃいっぱいありすぎて、どれから処理していけば良いか迷ってしまう。

 なんでそんなにテキパキと、流れ作業的に話を持って行くのか知りたいくらいである。


「えっ、なに? ……あぁ、自己紹介って奴ですか?

 はじめまして、【三大堕落】所属の日野シティーミティーと申します。皆にはニチアサちゃんと"今回は(・・・)呼ばせます(・・・・・)"ので、どうかそのように」


 ペコリと、頭を下げる彼女。

 言いたい事は言ったとばかりに、狐面女子高生----日野シティーミティーこと、ニチアサちゃんとやらは、杖を構えていた。


「【三大堕落】って……確か、シーヴィーの所属するパーティーで----」

「あぁ、シーヴィーちゃんの知り合いでしたか? それとも、襲われたりしましたか?」


 俺がシーヴィーの名前を出すと、ニチアサちゃんは目つきを変えていた。

 ……いや、目つきというか髪つきと言うべきだろうか?


 何事もないような落ち着いた声と、表情が分からない無表情顔。

 しかしながら、彼女の青い髪は真っすぐ、空に向かって立ち上っており、まるで彼女の怒りをその髪で表しているかのようであった。

 そして、そのデータ髪を見ていると----


「----うぷっ」


 ----胃から、ぐぐっと、こみ上げてくるものがある。

 堪らず、俺はその場で(ひざまず)いて、吐いてしまった。


「あっ、忘れてた。そう言えばこの髪って、一応は攻撃技でしたね……いや、今までこの【SAN値チェック】が効かない人とばかりお仕事してたので、忘れていました」


 「お水でも飲みます?」と、ニチアサちゃんはうねうね動く髪の毛を操作して、こちらに水の入ったペットボトルを差し出していた。

 髪が手のようにがっしりと掴んでいるそのペットボトルを受け取ろうとして、髪を見てしまったからか、また俺は胃が逆流して吐いてしまう。


「あぁ、失敬---こりゃあ、ちゃんと説明すべきですかね」


 すーっと髪を下へと戻して、ニチアサちゃんは俺に手を差し伸べる。


「別にシーヴィーちゃんと敵対してようが、そうでなくても構いませんよ? 同じ【三大堕落】の所属ではありますが、パーティーというよりも、クラスメイトって感じで協力こそすれども、仇討ちするような間柄でもありませんので。

 ----実は私、元々、"異世界の人間(・・・・・・)"なのでして」

「え……? 異世界?」


 サラッと、とんでもない事を言ってのけるニチアサちゃん。


「えぇ、とある少女----つまりは"主様(マスター)"の"奴隷(・・)"として、この世界へとやって来た者です。

 私、その"マスター"から、とあることを頼まれましてね。えぇ、シーヴィーちゃんが【甘言】担当と言ったように、私にも担当している物があるのですよ。

 その担当している物を叶えるために、あなたに依頼(クエスト)という形にて協力を願いたいのです。


 ----では、【三大堕落】としての名乗りで、自己紹介させていただきましょう」


 と、ニチアサちゃんは俺から距離を取って、ペコリと頭を下げる。


「"不味(まず)い料理"----でも、友達と食べる料理はなによりも美味しいと言われたのは、なんででしょう。

 "理解不能な呪文"----『ショートデカフェノンファットミルクホワイトモカ』とか、『ズッ友』だとか、略したり無駄に長くしたり、まるで呪文でしょ。

 "無駄な時間潰し"----友人や恋人と生産性のない会話や行動をする方が良いって、理解に苦しむ。


 私は日野シティーミティー。"マスター"より、【青春】を担当せよと、そう命じられた者です。

 あなたには、私には一ミリも理解できてない【青春】を達成するため、ここで付き合ってもらいますよ? いわゆる、青春的な、漫画とかで良くある修行パートのはじまり~、って所ですかね?」




(※)【三大堕落】

 本来、人間が堕落する要因としては、4つ考えられる

 優れた"技術"は今までの作業を楽にして堕落させ、気持ちが良い"言葉"は気持ちを楽にして堕落させる

 死という終わりが訪れないという"保証"は安心感によって堕落し、思い返すたびに懐かしむ"記憶"は良い物ほど現実を忘れるほど堕落する

 

・【文明】という"技術"によって堕落させる、佐鳥愛理

・【甘言】という"言葉"によって堕落させる、シーヴィー

・【不老不死】という"保障"によって堕落させる、ダブルエム

・【青春】という"記憶"によって堕落させる、日野シティーミティー

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活動報告に今作の作成秘話を書きました
よろしければ、ご覧ください

今作についての活動報告

サイドストーリー、外伝を制作しました。第2章も始めましたので、こちらもどうぞ
俺の着ぐるみが超有能である
― 新着の感想 ―
[良い点] 最高です!! [気になる点] 確かにシーヴィーもダブルエムもSANチェック効かなそう! [一言] 青春ですか!? 確かにセーラー服がヒントですね!! いやぁ、斜め上すぎる!!
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