097話「聖なる海域」
「どうっすか! ウチの水着姿は!!」
「子供だな」
「子供体系だな」
「子供ですね」
「むきぃ!」
「もっと色っぽいポーズとかしないとね?」
俺達の感想に怒るスロウスに対して余裕で胸の谷間を強調するポーズをするラスト。
「規制とか入らないか?」
「過激なのは入りそうだけど、これ位なら大丈夫でしょう」
「それならばいいが」
「ハデスさんは水着でなくても良いと思いますよ」
「そうだよな」
腰骨に無理やり水着を付けている黒いスケルトンだろう。
「そういえば車輪の中のスケルトンは平気なのかしら?」
「大丈夫だろ?」
「いや、中で燃えてるっすよ!」
「そんな馬鹿な!」
ボワッ
車輪の隙間から差し込む日の光でスケルトン達が燃えながらも忠実に走り続けていた。
「黒のベールは俺にしか作用しないのか!」
「なんで、早く気付かないのよ!!」
「大丈夫だと思ったんだ。このままでは崩れ去るだけだ」
「と言う事は」
「動力を失うぞ」
「ここに来て、それは不味いですよ!」
「私達の出番ってわけね」
「任されたっすよ!」
唯一、船を動かせる程の力を持つ2人が活気つく。
「ここからは2人に任せた。返還」
車輪内部のスケルトン達をしまい、外車輪を取り外す。
≪ワイバーンボーンガレオン船改2はワイバーンボーンガレオン船に代わりました≫
バサッ
ドドォンッ
マストにファイアーボールを当て始めて船は進み始める。
「そうか、スケルトンウィザードか」
異空間中に十数体のスケルトンウィザードがいる事を思い出した。
「新たにスケルトンを出しても燃えてしまうのであろう?」
「船内から魔法を使わせる。あの中なら日の光も届かないからな」
「なるほど」
船内にスケルトンウィザードを呼び出して、日の光が届かない場所からダークボールを撃ち続けてもらう。
「なんとか、なりそうね」
「そうっすねぇ」
魔力が尽きた2人はサンチェアーに座って日光浴をしてる。
「どうですか?」
「釣れんな」
「同じく」
俺達3人は釣りをして待っていた。
魔力が尽きたウィザードを船内で座らせて魔力回復をさせるローテーションを組むことで断続的にダークボールを放ち続ける第二の永久機関が誕生した。
バシャァアン
突然海から巨大なモンスターが飛び出し水柱が上がる。
【シードラゴン(Lv65)】
「なんで居るのよ!」
「あの時に撒いたっすよね!」
「魔大陸の海域からずっと着いて来ていたのか!」
「こんな時にか!!」
「ドラグナー部隊も出せない状況でか!」
「私達でやるしかないですね」
「対飛竜弩を使ってくれ。船内ならカノン砲をスケルトン達に任せる」
急に慌ただしくなった。
「カノン砲! 用意!!!」
パカパカパカッ
片側40門のカノン砲が側面から突き出される。
「対飛竜弩を準備は整ったか!」
「始めて扱うのよ! んっ!」
「固いっす!!」
筋力が弱いラストとスロウスはレバーを引くのも一苦労のようだ。
「貸してみろ!」
ガコンッ
ガコンッ
既に引き終わっているラースが2人分のレバーを引き終わる。
「ありがとう」
「助かるっす!」
「こっちは準備万端だ!」
「いつでも行けますよ」
「俺の合図で同時に放つぞ!」
バシャァバシャッ
長細い体を持つ海に住まう竜だ。
体長は20mとドラゴン族と同じ位大きい。
「撃てぇ!」
ドドオォンッ
シュンシュンシュンッ
カノン砲の砲弾とウルフボーンランスがシードラゴンに向かって放たれた。
バシャンッ
「くそ!」
海中に逃げられて攻撃が無駄に終わった。
「海中じゃ、手の出しようがないわ」
「逃げるしかないっすか!」
「全力で逃げるぞ、ウィザード出てこい!」
船内で待機していたウィザードを甲板に出す。
ボウワッ
太陽光で燃え上がる。
「力の限りダークボールを放ち続けろ!」
「私も手伝うわ」
「ウチもっす!」
ウィザードと2人の魔法でマストに爆風を当てて船の速度を上げる。
ザバァザバァッ
後方からシードラゴンも着いてくる。
「何か遠距離武器は無いのか?」
「対飛竜弩しか乗せてない」
「ハデスさん、何処へ向かいますか!」
「とにかく、奴と反対方向に進むしかない!」
「分かりました!!」
舵をグリードに任せて俺とラースは後方甲板に設置している対飛竜弩を撃ち続けた。
ガシャァンッ
「ウィザード達が崩れたわ!」
「後はウチらだけっすか!!」
「もう、魔力は少ないわよ」
ズバァッン!
体長20mのシードラゴンが海中から飛び出してきた。
ガレオン船に伸し掛かる気だ。
「させるか! サイズ調整20m!」
ブワァアアア
魔力が溢れ、俺の体長が加速的に大きくなる。
グラァッ
体長も伸びる分、体重も増えて後方甲板側が海に沈み込みガレオン船がウィリーを始めた。
「持ちこたえてくれ!」
船内がパニックになる中、飛び掛かってくるシードラゴンを掴んで海中に投げる。
シュォオオオ
直ぐに体長を戻して船の傾きを戻す。
「は、初めてソレが役に立ったわね」
「最初に言ってくださいっす!」
「船が沈んだかと思いました」
「危機一髪だったのである」
「まだ、危険は去っていないがな!」
ザバァンッ
シードラゴンは健在で泳いできている。
今度は横から攻撃する気か!
バタバタバタッ
ザバァァンッ
俺がサイズ調整する前に、海から飛び出して右から左へとシードラゴンの巨体が飛んでいく。
バキバキバキバキッ
メインマストに巨体が引っ掛かり根本から折れていく音が響き渡った。
バキャアッ
バシャァアン
シードラゴンはマストをへし折って海中へと潜っていく。
「メインマストが!?」
「これから、どうするの」
「手持ちのスケルトンを犠牲にする。外車輪!」
≪ワイバーンボーンガレオン船はワイバーンボーンガレオン船改2に代わりました≫
「顕現」
外車輪の中で燃えながらもスケルトン達は忠実に俺の命令に従い走り始めた。
「サブマストに魔法を叩き込むぞ」
「分かったっす」
「これがラストチャンスね」
生き残ったサブマストに魔法を叩き込み速度を上げる。
「陸地が見えたっすよ!」
「予想より早いな」
まだ2日は掛かる予定だった・・・いくらシードラゴンに追いかけられているから着くものか。
「ハデスさん!」
「あの陸地に向かうぞ!!」
「分かりました!」
グルルルウルッ
グンッ
船が傾いて船首が陸地へと向いた。
「沈没だけは避けろ」
「こんな所でリスポーン地点には戻りたく無いっすよぉ!」
「それは同感である」
ここまでリスポーン地点の変更が無かった・・・つまり死ねば一番最初の場所に戻る。
半年以上かけて来た道のりが一瞬で戻されてしまうのは精神的にキツい。
「逃げ切るぞ」
「「「「おぉ!」」」」
崩れ去るスケルトン達が俺達の生存確率を上げていく。
「ドラグナー部隊!」
20体のドラグナーを呼び出して更に加速させる。
シードラゴンの体当たりを食らってその後の記憶はなかった・・・強制気絶が発動したようだ。




