089話「特殊種族集結」
ラストとの出会いから2ヵ月後、ヴァンパイアロードのスロウスにナーガラージャのグリードの2人にも出会えた。
スロウスは何と女の子であった。
服装は貴族っぽく少年のように見えたが少女であり、真っ白い肌を持ち紅い眼が特徴で、口からチラッと除く吸血歯、背中には体格にあった蝙蝠の翼を生やして
黒いマントをはためかせ、小さなシルクハットを被っている。裁縫師で装備はお手製とのこと。種族スキル:蝙蝠化によって数分間は物理ダメージを防ぐらしい。
やはりスロウスは人魚攻略に手が出せない状態であり、俺達の助言や手伝いによってギリギリクリアに持って行けた。
グリードに関してはラース同様近接戦闘に秀でている種族ゆえに殆ど攻略が済んでいる状態で会えた。
グリードは男で顔も蛇に近く、上半身だけは成人男性のソレであり下半身は蛇だ。プレストプレートを装備して赤い布を腰に巻いている。
種族スキル:石化の視線によって相手を一定時間動けなくさせる力を持つ。
「さて、皆さん。手伝ってもらいありがとうございます」
「構わないわよぉ」
「そうっすよ!」
「気にするでない」
「あぁ」
グリードのグランドクエスト飛竜討伐が終わり全員が”魔都へ”が揃った状態となった。
「それにしても皆さんと出会えるなんて思いもよりませんでしたよ」
「どうやら運営が仕組んでいるらしく、魔都に向かう途中で他のプレイヤーに出会う様に出来ているみたいであるな」
「なるほど」
「掲示板でしか話し合えなかったがやっと揃ったな」
「なんで、半年越しで揃うのかしらねぇ」
「運営も酷いっすよね」
魔大陸のプレイヤー特殊種族の俺達が集まるまでに本番リリースされてから半年が過ぎたころだった。
聖大陸でのグランドクエストは最初の街ファストから始まり、次の街へたどり着いて解放していくのがメインらしい。
俺達がパーティとして集まるまでに四の街を解放したと掲示板で話されていた。
「やっぱり、キャップは50までかしらね?」
俺達のレベルはキャラとメイン職に関して50から上がらなくなっていた。
「実質カンスト状態なのだろうな」
「何か条件があるのかもしれないっすね」
「噂じゃ、魔大陸と聖大陸では開発陣が違うらしいのよねぇ」
「そうなんっすか!?」
「初耳だな」
同じゲームで開発が違うなんてありえるのか?
「どうも、EBGの会社は一枚岩じゃないようね。といってもユーザーである私達には関係ないけれど」
「楽しければそれで問題ないっすよ!」
「そうですね。ところで皆さんの目的地は魔都なんですか?」
「あぁ」
「分かりました。おそらくあの山脈を超えれれば辿りつけるかと」
スロウス領の時から見えていた、今までにない位高い山脈群・・・アレを超えれば魔都へ辿り着けると信じている。
魔王イヴ・ヴァレンタインに会って海を渡れるであろうガレオン船のレシピを手に入れようと思って旅を始めた。
「行こう」
5人の特殊種族が集まって魔都へと目指し歩き始める。
「ここは任せろ! 挑発!!」
ガンガンガンッ
魔盾ドレッドノートを叩きラースがワイバーンのタゲを固定する。
「「ソニックウェーブ」」
ヒュオッ
ラストとスロウスの風魔法で遠距離攻撃を放つ。
「ダブルスラッシュ!」
ザシュシュッ
グリードの片手剣二連撃がワイバーンの横から入り、即座に撤退する。
蛇の体は柔軟性があり素早く動ける。
バサバサッ
「飛ぶぞ!」
「ドラグナー!」
ブスゥッ
上空で待機させていたドラグナーが飛ぼうとしていたワイバーンにロングランスを突き刺して叩き落とす。
「もう一度、挑発を放つ!」
ラースがタンクとなりグリードがアタッカーで安全に攻撃しラストとスロウスの後方からの魔法攻撃でダメージを稼ぎ、俺が空に飛ばせないようにドラグナー部隊で抑え込む。
これが俺達パーティの役割構成でありワイバーン封殺陣であった。
ギャォオン!
ドドォンッ
全員がワイバーン素材を使った装備に換装しており攻撃力、防御力の面は十分に確保し渡り合えるレベルだ。
「そろそろドラゴンでも出てきそうっすねぇ」
ワイバーンが数頭出てきた程度では俺達の勝率は高い。
「忘れたか? 群れで来られたら勝ち目は無い事を」
「ハデスが居なかったら私達は負けていたわね」
「ですね」
一度、ワイバーンの群れに遭遇してしまった事がある・・・なんとかドラグナー部隊を総動員して難を逃れたが幸運は続かないだろう。
「ハデスさんの死霊術は凄いっすよね」
「ここまで来るのは大変だったがな」
四段階目の進化までにワイバーンを何十頭も狩らないと揃えられないのが現状だ。
強い軍には労力がそれなりに掛かっている。
「魔王軍とどっちが強いんっすかね?」
「滅多な事を言う物じゃないぞ」
ラースがスロウスに言う。
「そうねぇ。魔王のレベルが分からないのよね」
「三桁ある時点で勝ち目はありませんね」
「ん?」
「どうした?」
先行させて視覚・聴覚共有化していたレンジャーからワイバーン以外のモンスター情報キャッチしていた。
【ヤングドラゴン(Lv60)】
「大人のドラゴンがこっちに飛んでくるぞ! 俺達を目指している」
「フラグ回収早すぎっすよ!」
「ドラゴンか・・・初めての相手だ」
「油断せずに行くわよ!」
「はい!」
体長10mになるドラゴンが俺達の前に現れた。
「顕現:スケルトンドラグナー」
スケルトンワイバーンに乗ったドラグナーを召喚する。
『待て』
俺達が臨戦態勢に入った事に目の前のドラゴンが口を開いた。
『ここから先は我らドラゴンの聖域、貴様らが入っていい場所ではない。これは警告である』
「以外な展開っすね。どうするっすか?」
「ドラゴン。俺達は魔都を目指している。迂回路とかは無いか?」
「なに普通に話してるんっすか!」
「話しあえるという事はドラゴン族でも高位な存在だろう」
「そうね、戦いが避けられれば良いわよね」
「うむ」
「そうしましょう」
『魔都を目指す者達か・・・なるほど魔王が気にかける存在とは主らか』
「俺はダークネスドラゴンのリウイの所に居た」
『あのリウイ殿か』
ドラゴン族の中でも有名らしい。
「俺はクリムゾンドラゴンのクリムの所だったな」
「私はコールドドラゴンのハクさんね」
「ウチはフォレストドラゴンのフォーレスだったっすよ」
「私の所はアースドラゴンのアレスさんでした」
『・・・全員あの一家に認められた者たちであったか。威圧的な態度で接して申し訳なかったな』
クンッ
ヤングドラゴンは頭を下げた。
「分かってもらえれば良いんだ。迂回路とかは無いのか?」
『迂回路は此処から南下すれば渓谷があり山脈を越えなくても通り抜けられるが3か月程かかる』
「3か月は半端ないっすね」
「そこ以外は無いのか?」
『無い。北上すれば氷の大地に道が閉ざされているからな』
「そうか」
『お前たちが良ければ私が送ろう』
「唐突な申し出だな?」
先ほどまで忠告しに来たドラゴンとは思えない態度だ。
『あの一家に認められし魔族だと分かった以上は無視できないのだ。ただドラゴンズバレーに一度足を運ぶ条件があるんだが』
「ドラゴンズバレー?」
『ドラゴン達が集まり住まい子供を育てる場所だ』
ドラゴン達の集落という事だな。
『久方ぶりにあの一家に会われてからどうだ?』
「そうしたら、山脈の向こう側に行けるのか?」
『それは保証しよう』
「分かった」
「本当にいいんっすか?」
「リウイ達に合えば向こう側に渡れるんだ。安い物だろう」
「なんだかきな臭いのだが」
「なんだかトントン拍子で進んでいるのが怖いのよねぇ」
「手のひら返しも早かったですし」
他の面々は怪しんでいる。
「いざとなったらドラグナーで逃げる」
「分かったっす」
「逃げきれればいいんだけどね」
「3か月の迂回路よりいいだろうが」
「気を付けて行きましょう」
『話は終わったか?』
「あぁ、連れて行ってくれ」
グググッ
ヤングドラゴンは地面に伏せる。
『私の背中に乗れ』
「俺のドラグナーでも問題ないが」
『ワイバーン如きではドラゴンである私の速度について来れないぞ』
「そうか」
俺は遠慮せずにヤングドラゴンの背中に乗る。
さすが10mクラスのドラゴンだ広い背中を持っている。
『では、行くぞ!』
バサバサバサッ
巨大な翼を動かして空中に浮かび上がり山脈まで飛んでいく。




