088話「助言」
まぁ、俺の礼拝堂や砦よりかはマシだろうな。
「2人が来れたって事は山脈のワイバーンを倒せるレベルなのね?」
「俺とハデスはレベル50だからな」
「私はレベル42よ。人魚で苦戦中。オーガマスターは2人からの情報で兵器のレシピが見つかって終わってるわ」
ラストが現状をサラッと言う。
「空を飛べる種族としては水中戦は難しいか?」
「むしろ陸上生物全般は攻略が難しいわよ」
「それは言えているな。俺の時は鉄の棺桶を全員分用意して突入した」
「その作戦も視野に入れていたんだけど、鉄が足りないのよね」
掲示板を通じて、自分達が使った攻略方法は他の特殊種族達には伝えている。
どうやらラストの領域では鉄鉱石が圧倒的に足りないようだ・・・逆に金や銀は取れ放題だが柔らかすぎてダメと説明される。
「配下は誰なんだ?」
「サキュバス達がメインにしているわ」
「サキュバスなんて居たのであるか?」
「えぇ。ここから離れた所に集落があって、私が行ったら配下に加わったわ」
「つまり、魅了作戦か?」
サキュバスの種族スキル魅了はクイーンでなくても使える物だ。
「正解よ。魅了スキルで雄達を味方につけるのよw」
「ある意味最悪な展開だな」
「あぁ」
戦いに向いている魔族は大体は男で構成されている・・・たとえ魅了されない個体が出ても大勢の味方に倒される運命をたどるのだろうな。
「水中から出てこないから困っているのよねぇ」
空中戦が得意なサキュバス達だが、水中戦は苦手とする・・・。
「俺達が手伝っては意味がないからな」
そう、グランドクエスト”侵略”まではプレイヤーと仲間にしてきた配下だけでクリアする仕様があるらしい。
俺を含めてラース達と共にトロルキングを倒したがクリアにはならなかったからな。
ギリギリなのは移動手段を共にするまでで、戦闘に参加しなければ問題ないらしい。
ただ、パーティに入っていない状態でスケルトン達で手伝うのもダメだった。
だから、俺はラースの時は助言をするだけしかできなかった。
「空から突っ込むとかはどうだ?」
「水の抵抗だってリアルに近いんだからコンクリートに突っ込むような物よ。なんで内陸に人魚がいるのかしら?」
「あの湖、塩湖のようだ・・・海に近い成分が溜まっているんだ」
「飲料水としては使えないのね」
「塩を作るにはうってつけだ」
「味を感じないアンデットには無意味ね」
「おいおい」
「他に案は無いのかしら?」
「兵器で無暗に攻撃してもな」
「当たらんだろう」
「マーマン達と接近できれば勝ち目があるのよね」
「あまり使いたくない作戦はある」
「あるの!?」
「なぜ、それを先にそれを言わない」
「すでにその作戦は2人も知っている。なぜ湖の周りは森で出てくるモンスターがマンティスだけなのか?」
「「!!?」」
俺の問いに2人はピンっと来ていた。
「寄生虫ハリガネムシか」
「アレって人魚達にも通用するものなのかしら?」
「ドラゴニュートキングですら苦しませたんだ、水上近くまで来ているマーマン達までなら使えるだろう。ここの運営は恐ろしい事を考えているようだ」
「それにたどり着いたハデスも相当だな?」
「放っておけ」
昔から闘いにおいて使える物は使う派なんだよ。
「よし、それで行きましょう」
「それで、いいのか?」
「攻略法が用意されているのだからそれで良いのよ。使うか使わないかは本人しだいね・・・問題はどうやって運ぶか」
俺のダークホールで・・・と言いたいがその時点で手伝ったことになる。
「ハデスが前にいっていたバケツは作れるかしら?」
「作れるが素材は大量に必要になると思うぞ」
「骨なら大量に手に入るから大丈夫よ」
「城下町のスケルトン達か」
「そういう事」
こうしてラストはバケツ作りの素材を俺に渡してきた。
アイテムを作って譲渡する事なら戦闘に参加した事にならないからな。
大量のボーンバケツ(特大)を作り出して、ラストは配下のサキュバス達と共に湖の周囲にある森へと飛んでいった。
俺達もスケルトンドラゴンに乗って上空から見守る事にした。
・・・
「さぁ、行くわよ!」
『『『『はぁい』』』』
一人ひとり個性はあるサキュバス達を連れて、大量のハリガネムシが入ったバケツを持って湖の上を飛んでいく。
もちろんサキュバス達も寄生対象になるので蓋をしている。
バシャッ
ヒュンッ
「来たわ! 手を離すのよ」
トライデントの攻撃が始まって、持っていたバケツを手放す。
バシャァバシャッ
空気を含むバケツは湖に浮かぶ。
水中にいるマーマン達はソレを攻撃し始めた。
バキッ
バケツが破壊されて中身が湖にばら撒かれた。
それが自身を苦しめる物とは知らずにな。
ビィイイイ!
バシャバシャバシャッ
ハリガネムシに寄生されているマーマン達が水中から飛び出てきた。
「今よ、魅了発動!!」
『『『『魅了!!』』』』
ホワワァンッ
魅了スキルが発動しているのを可視化されているのかピンク色の靄が周囲にまき散らされた。
「ふぉおおおおお!」
「またか!」
ラースが魅了状態に掛った。
敵味方関係ないのかよ・・・
だからサキュバスだけの構成なのか。
他の種族・・・雄が一緒だと戦力として使えないのか。
「掛ったわ! 連れて行きなさい」
『『『『はいっ』』』』
魅了状態となったマーマン達はラスト達を連れて水中へと潜り込んでいった。
後は待つだけだな・・・
・・・・・・
「ふわぁ」
「長いな」
元々の自力がラースに比べて低い分、長引いているのかもしれないな?
3時間経過しても終わらなかった。
バシャバシャバシャッ
湖の中心部でラストやサキュバス達が飛び出してくる。
「どうやら終わったようだ」
やはり苦戦を強いられたのかサキュバス達の数が少なくなっている。
元々、魔法使い系の魔族達の集団だからな。
「やぁっと終わったわ。思いのほかマーメイド達が強かったわね。魅了が効かなかったしね」
「ラースの時もそうだったのか?」
「マーマン達を倒した後にマーメイド達だったんだが、魔法をバンバン使ってくるからな戦い辛かった」
「エルフが森で補正を受けるように、人魚達も水中補正があるみたいよ。みんな強かったわ」
「ヴァンパイアロードが一番つらい戦いだろう」
魅了でなんとか退けたラスト、物理特化で力押しで勝てたラース。
その2つを持っていないヴァンパイアロードは辛いだろう。
「そもそもヴァンパイアって水に弱かったわね」
「伝承通りの再現なのか?」
「あの2人も侵略に入ったばかりだと言っていたわ。ヴァンパイアロードは水に入ると全身が痺れるそうなのよ」
「ナーガラージャは逆に戦いやすいか?」
「私たちのなかでは唯一泳げる種族ね」
普通に泳ぐならオーガもサキュバスも出来るだろう。湖底まで泳ぐことの出来るのは俺達の中ではナーガラージャだけなんだろうな。
一番相性が悪いのはヴァンパイアロードのようだ。
「後はワイバーンね」
「戦いやすく広い場所がいいな」
「うってつけの場所があるわ」
「案内してくれ」




