073話「廃坑の探索②」
大体50mは落下した・・・運が良く無ければ辿り着けない隠し通路かもしれないな。
薄暗い通路をひたすら歩くと広い部屋に到着した。
「何かの工房か?」
小部屋とは違う規格の部屋だ。
「これはクレーンか?」
天井に張り巡らせた鉄の梁に滑車の付きのフックが垂れ下がっていた。
ガラガラガラガラッ
フックを持ち、移動させようとすると滑車が鉄の梁に沿って動いた。
ジャラジャラジャラッ
鎖を引っ張るとフックが降りてきて、逆の事をすると上がっていった。
「これで、重い物を運んでいたのか」
文明が進んだ物だと思う。
カツカツカツ
奥へ進むと長細い机が姿を現した。
「・・・この机、動くぞ?」
机の中央部には柔らかい素材が使われていて抵抗を感じさせず前後に動いた。
「これ、どこかで?」
ルームランナーの走る部分に似ていた。
この長さはルームランナーではないな。
しかも机では用途が違う・・・。
まさか・・・
机の反対側へと進むと円形バルブハンドルに取っ手が付いた部分が姿を現した。
こんな物まで作られていたのか。
グルグルグルグルッ
シャァアアアアアアア
バルブハンドルを回してみると柔らかい素材の部分が回転を始めた。
これは手動式のベルトコンベアーだ。
これを作り出した人物は効率化を図ろうとして様々な物を作り出したようだ。
かなり広い空間に感じるが光の量が足りず全体は見えていない。
チカチカチカチカッ
ウィスプが点滅を繰り返して待っていた。
向こうのようだ・・・
「ここは兵器工場か?」
鉄の大筒が床に転がっていた。
・カノン砲
火薬を爆発させて鉄球を打ち出す兵器。
「火薬なんてないぞ」
チカチカチカッ
ウィスプが近くにある机に誘導している。
「これは」
机に広がっていたのはカノン砲のイラストが書かれた羊皮紙だ。
「ドワーフ語は分からん・・・崩れないでくれよ」
どうやらここに有る物は風化している様子がない。
≪カノン砲のレシピを入手しました≫
「使える物は回収しておこう」
カノン砲、ベルトコンベアー、滑車付きクレーン(無理やり外して)などをダークホールに入れておく。
「これは?」
別の作業机にはクロスボウに近い絵が書かれた羊皮紙とバラバラになった部品の一部だ。
≪対飛竜弩のレシピを入手しますか?≫
対飛竜弩?
・対飛竜弩
鋼鉄製で出来た巨大なバリスタ。
「これがバリスタか?」
≪対飛竜弩のレシピを入手しました≫
ミッションはクリアした・・・思いがけない物も手に入ったし満足だ。
後は帰り道か・・・
チカチカチカッ
そう思っていると違う場所へでる道を示すウィスプ達。
「これは」
短距離転移魔法陣が小部屋に設置されていた。
ほんのり明滅を繰り返している。
しかし、起動方法はしらない。
≪短距離転移魔法陣を起動するには魔力が必要です≫
こういう時に便利なシステムアナウンスだ。
≪魔力を500消費して起動させますか?≫
YES
ブワッ
魔力500が吸い取られる。
≪対となる魔法陣が近くにありません。検索中です≫
転移魔法陣には対となる魔法陣が無ければ自動で検索してくれるのか?
≪転移魔法陣の検索が終わりました。場所は人魚の城です≫
あの場所に転移されるのか・・・というか、転移魔法陣があるとは言っていなかったぞ?
とりあえず、YESだ。
≪人魚の城にある転移魔法陣を起動します≫
カァアアアア
魔法陣が光輝き部屋を照らす。
≪活性化が完了しました。魔力が切れるまで効果は続きます≫
カツンッ
魔法陣に乗って転移をしてみる。
ガッ
転移直後に何かに激突した。
ダァンッ
俺と言う質量が現れた為にその何かが四方にはじけ飛んだ。
「何事です!?」
「警備兵!!」
近くから聞いたことのある声が聞こえ始めた。
ギィイイ
真っ暗な部屋に光が差し込んできた。
「この物置から聞こえてきましたね」
「女王は後ろに」
「はい」
ペタペタペタ
マーマン達が近づいてくる。
バッ
「誰だ!?」
ガバッ
「待て、俺だ」
「ハデスさん!? 2人とも止めなさい!」
「「はっ!」」
トライデントを構えるのをやめるマーマン達。
「どうしたんですか? と言うよりどうやって入り込んだんですか?」
「これを見せたほうが早いな」
ズズズズッ
俺は溢れかえっている物を隅へと追いやると光輝く魔法陣が姿を現した。
「これは?」
「短距離転移魔法陣だ」
「聞いたことはありますが、これが?」
「この先はドワーフが使っていたと思われる工房に繋がっていた。そこから俺は転移してきたんだ」
「ドワーフですか・・・確か先代様が言っていたような気が」
「それは本当か?」
「少し待っていてください。お前たちは部屋を片付けておきなさい」
「「はっ!」」
俺とララは部屋を出ていき、警備兵の2人は片づけを始める。
「この日記は先代様から受け継がれている物です。確かこの辺に」
パラパラパラパラ
何ページか捲られる。
「ここです。ドワーフについての記述がありますね。あっ」
「どうした?」
「ドワーフ族と思っていましたがエルダードワーフについてですね・・・」
「エルダードワーフ?」
「ドワーフの進化先の事ですね。とても古い時代から生きているドワーフがなれます。その知識や技術力は並みのドワーフとは段違いです」
「あの廃坑はドワーフではなくエルダードワーフが使っていた場所か」
「先代様はエルダードワーフと交流があったようですね。ついでに魔法陣も敷いてもらった様ですね」
エルダードワーフと人魚には繋がりがあったようだ。
「その他の情報は無いのか?」
「とある時期にエルダードワーフ達は姿を消したようです・・・それ以外は無いですね」
エルダードワーフの行方は知れず・・・ただし技術力や知識はすごい種族というのが分かった。
とりあえず会議をするか。
リンドールに頼んで元ダークエルフの里にある短距離魔法陣と人魚の城を繋いでもらう。




