033話「戦力強化③」
「返還」
徒歩組を亜空間へ戻し、コマンダー達だけで拠点へと戻る。
途中でエンカウントした暴れ馬の移動狩りもしっかりしておく。
≪死霊術師のレベルが16に上がりました≫
広域戦闘中に死霊術師のレベルが上がった。
早速、スケルトントコマンダーを増やして戦力を上げる。
最近は討伐のみで素材が有り余ってきている。
さらに、移動しながら狩り続けているので葛籠(特大)が直ぐに素材で溢れかえるのがネックになりつつある。
その度にオークの集落へ戻って素材を置きに戻るのが手間だ。
そろそろ次の段階を考えるべきだな。
まずは、リアカーを作ってみるか。
材料としては、箱、車輪、車軸、スタンド、ハンドルの5種類位で作ろうと思う。
車輪は以前作った回し車の縮小版。
箱はボード(大)、蝶番(大)、ネジ(大)を組み合わせて作るか。
車軸、スタンド、ハンドルは骨と皮で作成だな。
ある程度の目標も出来たし後は微調整しつつ作ってみるか。
【ボーンリアカー(小)】
・骨で出来た小さな引き車。
葛籠(小)なら16個。葛籠(中)なら8個。葛籠(大)なら4個。葛籠(特大)なら2個。
上記の物なら各自積載可能。
≪細工師スキル:ボーンリアカー(小)の制作が可能になりました≫
なるほど、これ1つで今までの2倍荷物が運べるのか。
1時間程度は微調整しつつ作ってみたが納得できる作成物だ。
とりあえず、これを大きくして作ってみるか。
さらに大きなリアカーを作るために俺は試行錯誤の海に入ることになった。
【ボーンリアカー(中)】
・骨で出来た中型の押し車。
葛籠(小)なら34個。葛籠(中)なら16個。葛籠(大)なら8個。葛籠(特大)なら4個。
上記の物なら各自積載可能。
≪細工師スキル:ボーンリアカー(中)の制作が可能になりました≫
2時間かかってしまったがなんとか完成した。
その分、倍の材料費を消費した。
これは今まで通り、大きくする度に前段階より2倍、3倍の材料費を要求される物だろう。
中の段階でリアカーの領域を出ていってしまっている。
縦2m、横1.5m、高さ1mの箱だ。
とりあえず、ウォーリアに引かせてみようと思う。
ザァザァザァ
ウォーリアがリアカーを引こうと足を動かしているが地面に擦れるばかりで進めていなかった。
もう1体追加してみて動き出したが速度がディフェンダー以下だ。
理想なのは馬と同じ速度が出ないと困る。
改良の余地がある。
どうせだから、スケルトンホースと連結できるようにしてみるか。
スケルトンホース自体は巨馬のままだから馬力はスケルトン以上だろう。
手綱だけではリアカーと連結できないしここも改良が必要だな。
手綱はあくまでも進行方向を馬に伝える道具ではないし何かを引くには強度も足りないだろうな。
【馬車引き用馬具(単体)】
・荷馬車を引く為の馬具。
・リアカー(小)、リアカー(中)、リアカー(大)、馬車(木製4人乗り)なら引ける強度を持つ。
なお、馬が増える毎に負荷が分散されるため2頭で馬車(木製6人乗り)、4頭で馬車(鉄製4人乗り)が引けるようになる。
≪細工師スキル:馬車引き用馬具(単体)の制作が可能になりました≫
かなり、試行錯誤が必要だったがなんとか物に出来たな。
後はちゃっちゃとスケルトンホースとリアカー(中)を接続してみるか。
「前へ進め」
ガラガラガラガラ
よしっ!
どうにかリアカー(中)はスケルトンホースの歩速に合わせて動き出した。
動き出しもスムーズだしなこれならば今まで以上の素材収集ができそうだ。
「オークリーダ。このリアカー(小)をコボルトの集落へ持っていくように」
「わがっだ。コレ、オデ達に作っでぐでないか?」
「ん?欲しいのか?」
「鉄鉱石はごぶのに便利ぞう」
「鉄鉱石・・・そういえばオークの中にはツルハシもった奴がいたな。採掘しているのか?」
「ここら辺、鉄鉱石豊富。加工してツルハシ、オノ、防具にしでる」
「なるほど・・・まて、鉄鉱石を加工する技術があるのか?」
「ある。みだいか?」
「あぁ」
長時間集中して作業をしていたし気分転換でもしたいしな。
俺はオークリーダの後に続いて製鉄所へ向かった。
カンカンカン
オークの集落最奥には製鉄所はあった。
そこには数体のオークが大小のハンマーを振り下ろして真っ赤になった鉄の塊を整形している。
奥には大きな炉がありそこで鉄鉱石から鉄を抽出しているようだ。
「ここが、オデ達の製鉄所だ」
「ここにいる職人達がオークの装備を整えているわけか」
「そのどおり」
「ちょっと見ていいか?」
「もぢろんだ」
俺は作り終わった防具がある場所に向かう。
【鉄の鎧(劣化)】
オークが作り出した鎧。
鉄の他に他の鉱石も混じってしまっている為、純粋な鉄の鎧より脆い。
なるほど、鉄の含有量が通常より少ないため劣化という表記なのか。
そこはオークが作ったからで検討は付くな。
「1日で作れる量は分かるか?」
「オノなら1挺、ツルハシなら2本、防具なら1個だな」
「防具をつけられるオークがいるのか?」
いままで見てきたが防具を身につけているオークはジェネラル、近衛兵、リーダーだけだ。
たしか、ここではコイツ以外はリーダー以上がいないと聞いているが?
「オデしかいない。だからこれは予備。今はオノ、ツルハシがメイン」
「なるほど。剣とかナイフとか作れるか?」
「づぐれるが、何につがう?」
「ゴブリンやコボルト達にも鉄製の武器を与えたいんだ」
「わがったが、鉄鉱石がだりない」
「そこは俺達も手伝う。スケルトン達も持て余していたからな」
「わがった」
俺はオークリーダーと共に採掘する話し合いを始めた。
まず俺が使役できるスケルトンは136体。現在オーク達が活動できるのは精々10~13体。内製鉄所で動いているのは3体だけだ。
ここで困ったのは鉄鉱石を採掘するのにツルハシが圧倒的に足りないそうだ。
とりあえず打開策として俺の力を使うことにした。
有り余っている骨でツルハシを作ってみることにした。
【ボーンピッケル】
骨で出来たピッケル。
耐久力は木と同等。あって無いような物。
≪細工師スキル:ボーンピッケルの制作が可能になりました≫
「できたが、使えるのか?」
「おぞらく、数十回程度でごわれる」
「だろうな・・・ないよりマシか」
とりあえず、スケルトンにピッケルをもたせてそこら辺を採掘させてみた。
ボキッ
数十回程、壁を掘っただけでピッケルの持ち手が折れた。
「これは暫く数で押し通らせるか」
ピッケルを作るときの骨消費量は2本で魔力は5程度でかなり低コストだからな。
俺は30分程度でピッケルを750本作り出し続けた。
骨は1,500本、魔力消費は3,750と使ったわけだが。
塵も積もれば山となるが似合いそうな制作内容だな。
とりあえず、作り出したピッケルをリアカー(中)に乗せて採掘場所へ向かった。
採掘場所では10体のオークが鉄のツルハシで採掘を行っていた。
離れた広場には取れた鉄鉱石が小さな山を作り出す。
「採掘開始。折れた段階で順次替えろ」
136体のスケルトン達が一斉に動き出し採掘を開始する。
20分程度で作ったピッケルが全損した。その分同時並行で鉄鉱石は採れた。
採れた鉄鉱石はリアカーに乗せて馬に引かせながら製鉄所へと運び入れる。
「やばり、コレ便利だ」
鉄鉱石を纏めて運び入れたリアカーをみてオークリーダーは呟いた。
「こういう方法以外では手で運んでいたのか?」
「ぞのどおり。1づ1づ手で持って運んでいだ」
「なるほど。ちなみにコレ引けるのか?」
「ただのオークじゃ無理。おもづぎる。オデぐらい」
「だろうな」
リアカー自体も骨で出来ているとは言え膂力がないと鉄鉱石入りは動かせないか。
「とりあえず、もう1つ作り出すからソレを使え」
「わがった」
俺はボーンリアカー(中)をもう一つ作り出して渡す。
更にボーンリアカー(小)をオーク、コボルト、ゴブリンへと渡るように数台作り出した。
「ありがだい」
「なにか運ぶときは便利だからな。さてと俺は狩りに出かける」
一気に様々な物を作り上げて骨の量が明らかに減ってきたのを横目に俺は素材収集へと向かう。
相変わらず皮の使い道が殆どなく溜まる一方だ。
ドドォン
「攻撃止め。整列」
37体のコマンダー達が隊列を組み直していく。
暴れ馬1頭に対して数の暴力で楽だ。
もう少し、奥へ進んでみるか。




