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219話 思わぬ同行者

 サーリャさまの護衛。

 思わぬ話が飛び出して、驚いてしまう。


「どうして俺達を?」

「とても頼りになると思ったからです。先程、助けていただきましたし……レインさんの力もさることながら、そのお仲間も最強種。頼りにするのは普通だと思いませんか?」

「まあ、わからないでもないですけど……」


 王女さまからの依頼だ。

 断るようなことはしたくないのだけど……


 でも、俺達が参加することで、アレク達騎士の顔を潰してしまうことになるのでは?

 そんなことを懸念するのだけど、


「アレク達のことなら気になさらず。元々人が少ないと困っていたところなので」


 俺の考えていることを読んだかのように、サーリャさまがそんなことを言う。

 というか、今のやり取りで謎が増えた。


「えっと……根本的なところを聞きたいんですけど、サーリャさまは、どうしてこんなところに?」

「南大陸のシールロックはご存知ですか?」

「確か、最南端にある港町ですよね?」

「そちらにちょっとした用がありまして……今は、王都へ帰る途中なのです」

「その用っていうのは?」

「すみません。今回のことは機密性の高いものなので、口外するわけにはいかず……」


 なるほど、大体の事情は把握した。

 サーリャさまは、なにかしらの命を受けてシールロックへ向かい、そこで仕事をした。

 護衛が少ないのは、王族が動いていることを隠すためだろう。


 機密性の高い仕事とやらが気になるが……

 もう終わっているのならば、大きな障害となることはないだろう。


 軽くみんなの方を見た。

 ぐってりとしているソラとルナ以外、みんなはこくりと頷いた。


「わかりました。俺達でよければ引き受けたいと思います」

「ありがとうございます」


 こうして、俺達は王女さまの護衛を引き受けることになった。




――――――――――




「そこで、我はこう言ってやったのだ。愚かな魔物よ、己の罪を悔いて土に還るがいい! とな!」

「まあ」

「連中、我の威光にひれ伏して慌てて逃げ出したのだ」

「ルナの話を鵜呑みにしない方がいいですよ。9割、ウソで構成されているので」

「そんなことはないのだ! 8割脚色しているだけなのだ!」

「自覚ありですか」

「ふふっ、ソラさんとルナさんはおもしろいですね」


 ゆっくりと歩く馬車の方から、そんな声が聞こえてきた。


 護衛ということで、ソラとルナはサーリャさまの馬車に同席させてもらっている。

 王族専用の馬車の乗り心地はとてもいいらしく、ソラとルナが酔うことはなかった。


 その後ろを俺達が使っていた馬車が続いて……

 カナデとニーナとティナは、その荷台で待機。

 俺とタニアは外を歩いて、騎士達と一緒に護衛を務めていた。


「……」


 アレクを始め、三人の騎士は無言で歩き続けている

 無表情を貫いているが、どことなく雰囲気が硬い。


 主であるサーリャさまの命令とはいえ……

 外部の者が護衛に参加することを面白く思っていないのだろう。


 まあ、それも仕方ない。

 三人だけでは不安がある、と言われたようなものだからな。

 プライドが傷つけられたのだろう。


 とはいえ、実際に危機に陥ってしまったこともあり、反論することができず……

 仕方なく受け入れている、という感じか。


 俺としては、一時期でも一緒に旅をする仲間になるのだから、仲良くしておきたいのだけど……


「……ふん」


 アレクと目が合い、露骨に目をそらされた。


 仲良くするのは難しそうだなあ。

 こっそりとため息をつくのだった。




――――――――――




 日が暮れ始めたところで、無理をせず、休憩所で足を止めることにした。

 火を起こして、テントを張り……

 それから、周囲を軽く探索。

 魔物が近くにいないことを確認して、改めて野営の準備を続けた。


 アレク達騎士も野営の準備を開始していた。

 豪華なテントを立てている。

 あれがサーリャさまの寝所になるのだろう。


 ほどなくして野営の準備が終わり……

 交代で食事をとる。


 片方は見張りをして……

 もう片方はサーリャさまと話をしつつ、ごはんを食べる。

 護衛というか、接待も仕事の内容に含まれているような気がした。


「ふう」


 休憩の時間が訪れて、俺は焚き火の周りに設置された、丸太を使った椅子に座る。


「お隣、よろしいですか?」


 温かいスープとパンを食べていると、サーリャさまがやってきた。

 断ることもできず頷くと、隣に腰を下ろす。


「改めて、ありがとうございます。護衛を引き受けてくださり、助かりました」

「いえ。俺達にできることなら、なんでも」

「ふふっ。レインさんは優しいのですね」

「そうですか?」

「突然のお願いもイヤな顔一つすることなく引き受けてくれて、お願いしたとおりに気さくに接してくれて……優しいと思いませんか?」

「そこで頷いたら、俺、自画自賛することになるじゃないですか」

「言われてみればそうですね、ふふっ」


 サーリャさまはとても楽しそうだ。

 こんなどうでもいい会話が、楽しくて楽しくてたまらない、という様子だ。


 王族ということだけあって、普段、窮屈な生活をしているのだろうか?

 だから、こんな風にのんびりできることが楽しいのだろうか?

 ふと、そんなことを思う。


「冒険者の話をしてくれませんか?」

「いいですよ」


 今まで、色々な事件に遭遇してきた。

 その一つ一つをゆっくりと丁寧に話していく。


「……そんなわけで、鉱山で盗掘していた連中と戦うことになったんですよ」

「た、大変でしたか?」

「そうですね。敵は魔物を使役していて、危ないところもありましたけど……でも、仲間のおかげで乗り越えることができました」

「それは、レインさんの力ではないのですか?」

「違いますよ。仲間がいたから、背中を気にすることなく全力で戦えたから……一人だとしたら、なにもできず負けていたと思いますよ」

「なるほど……ふふっ」


 ふと、サーリャさまが笑みを浮かべた。

 どこか眩しいものを見るような視線をこちらに送ってくる。


「うらやましいですね」

「うらやましい?」

「私には、信頼を寄せることができる仲間と呼べる方はいないので……私にも、そういう方がいれば。レインさんの話を聞いていると、そんなことを思ってしまいます」


 王女であるがゆえに、サーリャさまは孤独なのだろうか?


「アレクという騎士は?」

「アレクには助けられていますが……正直なところ、私は彼が苦手で」

「ふむ」

「彼を貶めるつもりはないのですが……時折、私を見る目が冷たいといいますか……なにを考えているかわからない時があるのです」


 なるほど……

 どうやら、サーリャさまは人を見る目があるみたいだ。

 そして、とても賢い。


「すみません、つまらない話を聞かせてしまいました」

「いえ、気にしていませんよ。おかげで、確信が得られました」

「え? それは、どういう……」

「少し耳を貸してくれませんか?」

「はい……?」


 不思議そうにするサーリャさまに、そっと耳打ちした。


 最初は不思議そうにしていたサーリャさまだけど……

 俺の話を聞いて、その顔が驚きのものに変化する。


「それは……まさか……」

「まだ確信があるわけではありません。半々、といったところですね。ただ、放置しておくことはできないので……ちょっとした罠をしかけたいと思います。俺の考えが正しいなら、今夜にでも動くと思うので……協力してくれませんか?」

「……わかりました。レインさんに委ねます」


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