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201話 ドラゴンの目的は?

「「アースバインド!!」」


 ソラとルナが同時に魔法を唱えた。

 大地が隆起して、倒れているドラゴンを飲み込む。

 足を、腕を、翼を絡め取る。


 一分後。


 ドラゴンは大地に飲み込まれるようにして、その体を拘束されていた。

 ソラとルナの膨大な魔力が込められた魔法だ。

 いくらドラゴンとはいえ、そうそう簡単に抜け出すことはできないだろう。


「くっくっく……さあ、お楽しみの拷問タイムなのだ!」


 ルナが悪い顔をして言う。

 よく似合うなあ。


「拷問してどうするのですか。尋問ですよ、尋問」

「む? そうなのか?」


 冷静な姉のつっこみに、ルナは不思議そうに言った。

 ボケているわけじゃなくて、素だったのか。


 そんなに拷問がしたいのだろうか?

 おそろしい。


「ねえ……ティナ。ごーもん、って……?」

「ニーナは知らんでええことや。気にすることないでー」


 ニーナの教育に悪そうなので、ルナに任せるわけにはいかない。

 俺が前に出た。

 それから、軽くドラゴンの頭を揺する。


「おい、起きろ」

「……うっ」


 何度か揺すってやると、ドラゴンがゆっくりと目を開けた。

 一時的に気を失っていただけらしい。


「ここは……?」

「くっはっは、お前の命は我の手の平の上だ。我の気分次第で、デッドオアアライブなのだ。よくよく考えて発言をするがふぎゃ!?」

「レインの邪魔をしてはいけませんよ」

「今、本気で殴ったのだ……痛いのだ……ぐすん」


 ルナがソラに怒られて退場した。

 ちょっとかわいそうだけど、話が進まないので、仕方ないと思うことにした。


「あー……今のは気にしないでくれ。それよりも、聞きたいことがあるんだけど……」

「ふんっ、人間などに話すようなことはないな」


 ドラゴンは敵意たっぷりの目で睨みつけてきた。

 竜族に恨まれる覚えなんてないから、元々、人が嫌いなのだろうか?


 その瞳は刃のように鋭く……

 わずかに、狂気の色が見えた。


「なら、私になら話してくれる?」

「猫霊族か……」


 ドラゴンの態度が、少し柔らかくなった。

 どうやら、敵視しているのは人だけらしい。


「あなたがタニアの名前を騙って、悪さをしていたんだよね? どうしてそんなことをしたの?」

「……我らの正義のためだ」

「にゃん? 正義?」


 タニアの名前を騙り、悪事を働く。

 それが、どうして正義に繋がるのだろうか?

 わけがわからない、という感じでカナデが小首を傾げた。


 そんなカナデに、ドラゴンは大義は我にあり、という感じで話をする。


「猫霊族の娘よ。お前ならば、俺の言うことがわかるだろう。俺達の正義がわかるだろう」

「にゃー……あなたの正義、っていうのはどんなことなの?」

「誇りだ」


 きっぱりと言い切った。

 そんなドラゴンの瞳は、どこか自分に酔っているようでもあった。


「俺達竜族は、最強種だ。人間などとは比べ物にならない力を持っていて、生態系の頂点に君臨している」

「まあ……うん。一応、そうなるよね」


 どうやら、このドラゴンは自分が最強種であることに誇りを持っているらしい。

 自分がいかに優れた存在であるか。

 尊い存在であるか。

 流暢な言葉で語る。


 一方のカナデは、そんなことは思っていないらしく、適当に相槌を打つのみだ。

 カナデに限らず、猫霊族っていうのは、そんなにプライドが高くないからな。

 気軽に人と接するみたいだから、そういうところは気にしないのだろう。


「俺達竜族は、人間からは敬われなければならない。人間などと肩を並べるなんてこと、決してあってはならないことだ。それなのに……あのタニアとかいう小娘は、人間に媚を売り、竜族の誇りを売り渡した」

「タニアはプライド高いぞ?」

「竜族らしいですよね」


 後ろでルナとソラがそんなことを言うが、ドラゴンの耳には聞こえていないらしい。

 構わずに話を続ける。


「あの小娘は人と馴れ合い、俺達竜族の誇りを汚した……そんなことは絶対に許せない。あってはならないことだ!」


 ドラゴンの目が怒りに燃える。


 タニアのことが許せない、とか言っているが……

 コイツ、もしかして?


 なんとなくドラゴンの目的が見えてきた。

 その目的というのは……


「故に、俺達は罰を下すことにした」

「その罰っていうのが、タニアの名前を騙って悪いことをする?」

「そのとおりだ」


 カナデの問いかけに、ドラゴンは静かに頷いた。


「小娘が大事にしている、くだらない人間共を叩き潰す。それと同時に、俺達竜族の誇りを取り戻す。そのための俺達だ」

「にゃー……そんなくだらないことを考えていたなんて」

「くだらないなどと、そんなことがあるものか! 俺達竜族は、人間などと馴れ合うような小さな存在ではない! 俺達は最強種なんだぞ!? なぜ、脆弱な人間なんかと肩を並べなければいけない! 人間の方がへりくだるべきなのだっ!!!」

「……レイン。コイツ、殴ってもいい?」

「気持ちはわかるけど、やめておけ」


 カナデが不機嫌そうに、こめかみの辺りをピクピクと震わせていた。

 他のみんなも、似たような感じで不機嫌そうにしている。


 カナデの気持ちはわからないでもないが……

 そんなことをしても、何も変わらない。


「……色々と言いたいことはあるけど、まあいいや」


 殴ってもドラゴンの考えが変わるわけでもないし、むなしいだけだ。

 そのことをカナデも理解したらしく、複雑な表情を見せながらも、拳を下ろした。


「とにかく、そんなくだらない企みはここで終わり。あなたのことは、このまま騎士団に突き出してあげるんだから」

「……ふん。好きにするがいい」


 おかしいな?

 これだけ人を敵視しているというのに、おとなしすぎる。

 人に捕縛されるとなれば、もっと抵抗してもおかしくないはずなんだけど……


 イヤな予感がした。


 考えろ。

 このドラゴンの目的は、タニアの名を騙り、貶めることにある。


 ……本当にそれだけだろうか?


 このドラゴンは人を敵視していて……

 竜族の誇りが、人間によって汚されたと考えている。

 逆恨みもいいところだけど、言ってもきかないだろう。


 今はタニアの名前を騙り、タニアを貶めるだけに活動していたみたいだが……

 それだけで終わるとは思えない。

 いずれ、自らが表に立ち、人を襲っていたんじゃないだろうか?

 街を襲撃することも考えていたように思う。


 自分達の誇りを汚した人に罰を下す。

 それが、最終的な目標であり……ん?


 自分……達?


「っ!? まずい、急いで街に戻るぞ!!!」

「にゃん? レイン、どうしたの?」

「くくく……」


 不思議そうにするカナデ。

 そして……ドラゴンは楽しそうに笑う。


「気がついたか。人間にしては敏い方だな」

「え? どういうこと?」

「こいつら、一人じゃないんだ!」

「えっ?」

「『俺達』って言っている。犯人はコイツだけじゃない。もう一人いるはずだ!」

「そんな!?」

「ははは……はははははっ!!!」


 慌てる俺達の姿がたまらなくおもしろいというように、ドラゴンが笑う。


「そのとおりだ! 俺にはもうひとり、仲間がいる」

「そいつはどこだ!?」

「今頃、街についているだろうな。俺に代わり、あの小娘と……そして、くだらない人間共に罰を与えているだろうな!」


 うかつだった。

 敵が一人だと盲目的に決めつけてしまうなんて。

 もっと考えて、しっかりと情報を収集するべきだった。


 しっかりと調べれば、ドラゴンが二人いたことはわかっただろう。

 でも、早くタニアを解放しなければ、と焦ってしまい、大した調査をしないで……


 ……悔やんでも遅い。

 今からでも、できることをしないと!

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