表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

152/1164

152話 最凶との戦い・9

「んっ……レイン!」


 ヒュンッ、という音と共に、隣にニーナが現れた。

 俺に手をついて……

 そのまま転移。


 雷竜をやりすごして、一気にイリスの前に移動する。


「そのような荒業……アリですの!?」

「アリなんだよ! 悪いが、俺は一人で戦っているわけじゃない。俺には、頼りになる仲間がいるんだ!」

「その通り!」


 俺達に注意が向いている間に、カナデが一気にイリスに接近した。


 イリスの視線が左右に揺れる。

 俺とニーナ、それとカナデ。

 どちらを狙えばいいか、迷っているみたいだ。


 その隙が大きな穴になる。


「くらいなさいっ!」


 後方に残ったタニアが火球を連続で撃ち出した。

 一発、二発、三発。

 特大の火球がイリスに迫る。


「来たれ、嘆きの氷弾」


 イリスが氷弾を召喚して、タニアの火球を迎撃した。

 氷弾の威力はすさまじく、火球を跡形もなく打ち消してしまう。


 それでも。


 迎撃に時間をとられてしまい、俺達に対する対応が遅れる。

 そこがタニアの狙いなのだろう。

 仲間の考えを受け止めた俺達は、一気にイリスに肉薄する。


「せいっ!」

「うにゃん!」


 俺とカナデ、左右からイリスに殴りかかる。

 イリスは両手で俺達の攻撃を受け止めた。


 俺はともかく、カナデの一撃を受け止めるなんて……

 相変わらず、とんでもない身体能力だ。

 改めて天族のデタラメな力を思い知らされる。


 それでも……


 諦めるわけにはいかないし、そもそも、俺達がイリスに届かないと決まったわけでもない。


「んっ……!」


 近くにいたニーナが、転移でイリスの真上に移動した。

 警戒して、イリスが身構えようとするが……


「させないよ!」


 俺とカナデは息を合わせてラッシュを叩き込み、イリスの手を塞いだ。


 その間にニーナが動いて……

 ぴたり、とイリスの背中に張り付いた。


「な、なんですの?」


 さすがのイリスも困惑気味だ。

 何をするのだろうか?

 ニーナの意図が読めない様子で、慌てている。


 そして、当のニーナは……


「レイン」


 こちらを見る。

 その目を見て、なにをするのか、ある程度察することができた。

 仲間だからこその信頼感というか、連携というか……

 そういう繋がりがあるからこそのものだと思う。


「んっ!」


 イリスと一緒にニーナが転移をした。

 転移先は……


「くっ……これは」


 地面の中だ。


 イリスの下半身が地面に埋まる形で転移が実行された。

 もちろん、ニーナは地面に埋まるなんてことはない。

 あえてイリスだけの転移先座標をずらして、地面の中に潜り込ませたのだ。


「ばい、ばい」


 ニーナは再び転移を使用して、慌てて避難した。


「隙ありだよっ!」


 動けないイリスにカナデが駆ける。

 容赦のない一撃を繰り出そうとするが……


「この程度で……わたくしをあまり舐めないでください!」

「にゃ!?」


 体をねじるようにして、翼を羽ばたかせて……

 イリスは地面に大穴を開けて、脱出を果たした。


 あんな状態からすぐに脱出できるなんて無茶苦茶だ。でたらめな身体能力を有している。

 カナデも驚いているらしく、思わず足を止めてしまう。


「来たれ、異界の炎」


 イリスの炎が炸裂するが……

 それがカナデに当たることは、俺が許さない。


 カナデの手を引いて、抱きしめるようにその体を受け止めた。そうすることで、なんとか避けることに成功する。


「ふにゃ!? あわわわっ」


 なぜかカナデが赤くなるが、気にしてられない。


 ニーナの転移で封じることは叶わなかったけれど……

 でも、時間を稼ぐことはできた。

 再び、俺達はイリスに肉薄する。


 あと一つ。

 大きな隙ができれば……!


 そう考えて……

 俺はとあることを思いついた。


「来たれ、異界の……」

「止まれっ!!!」


 ありったけの魔力を乗せて、全力で叫ぶ。


「なっ……!?」


 ここで初めて、イリスの表情から余裕の色が消えた。


 金縛りにあったように、イリスの動きが止まる。

 指先などはピクピクと動いているが、それだけだ。

 体を自由に動かせない様子で、戸惑いを露わにしている。


「これ、は……いったい、なにを……!?」


 ビーストテイマーなら、契約をしなくても簡単な命令を下すことができる。


 もちろん、それはどんな相手にも通用するわけじゃない。

 強い力を持つ動物には効きづらいし……

 ましてや、最強種を相手にどうこうできるものじゃない。


 それでも、思ったのだ。

 今の俺なら、もしかしてできるんじゃないか……と。


 みんなと出会い、みんなの力を借りることができた。

 その上で、スズさんに特訓をつけてもらい、ある程度の自信を得ることができた。


 それだけ、積み重ねてきたものがある。

 だからこそ、可能ではないか? と思ったわけだ。


 そして……その考えは正しかった。


「くっ……!」


 イリスは体に絡まった糸を振りほどくような動作をして、自由を取り戻した。

 拘束できた時間は、一秒ほどだろうか?

 最強種を相手に、よくできた方だと思う。


 でも……


 その一秒で十分だ。


「カナデ!」

「うんっ」


 カナデと手を繋ぐ。

 そして、カムイを構えた。


 繋いだ手を通じて、力が流れ込んでくるのがわかる。

 赤い刀身が熱せられているように、さらに赤くなる。


「来たれ、異界の……」

「遅いっ!」


 イリスの目の前まで接近した。

 これなら自分も巻き込んでしまうため、魔法を使うことはできない。


 さあ……チェックメイトだ。


「これなら……どうだぁあああああっ!!!」


 イリスに向けて、俺とカナデの力がこめられたカムイを振り下ろした。

『よかった』『続きが気になる』など思っていただけたら、

評価やブックマークをしていただけると、すごくうれしいです。

よろしくおねがいします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://book1.adouzi.eu.org/n8290ko/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ