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151話 最凶との戦い・8

「イリス……君はいったい……」


 今、初めて、イリスの素の部分に触れたような気がした。


 なぜここまで強い憎しみを抱いているのか?

 なぜ人間を敵視するのか?

 純粋な疑問が湧き上がり……彼女のことを知りたいと思うようになる。


「……失礼。少々取り乱しました」


 イリスは憎しみを内に収めて、いつもの笑みを浮かべた。


「なにがそこまでイリスを突き動かすんだ? いったい……なにがあったんだ?」

「ふふっ、そのようなこと、どうでもいいではありませんか」

「よくない」


 きっぱりと断じた。


「俺は……イリスのことを知りたい」

「……」


 イリスはきょとんとして……


「ふふっ、あはははっ」


 次いで、笑った。


「本当に不思議な方。このようなことをされて、このような時に、そのようなことを仰るなんて……ふふっ。おもしろいですわ」

「イリス……教えてくれないか?」

「そうですわね……では、こうしましょうか」


 名案を思いついた、という様子でイリスが口を開く。


「わたくしに確かな一撃を届かせること。それだけの力を示してくれたのならば、レインさまの疑問に答えましょう。それと……そうですわね。この場は退いてさしあげますわ」

「ずいぶんと破格の条件だな」

「それだけ、レインさまのことを気に入った、ということでしょうか。それと……」


 イリスが指をパチンと鳴らす。


「レインさまが今の条件を達成することは、限りなく不可能に近いので」


 虚空に炎が出現した。

 一つじゃない。

 二つ、三つ、四つ……どんどん増えていく。


「ふふっ……来たれ。異界の炎。全てをここに」


 召喚魔法に、普通の魔法にありがちな制限がないという話はウソじゃないらしい。

 次々と炎の塊が召喚されて……

 視界を埋め尽くすほどになる。


「ふふっ。これがわたくしの力ですわ」

「あう……」

「なんて化物なのよ……」


 ありえないほどの暴力を見せつけられて、カナデとタニアが萎縮してしまう。

 俺も恐怖を感じていた。

 気を抜けば足が震えてしまいそうになる。


 それでも。


 ここで退くわけにはいかないんだ!


「これだけの力を前にして、抗うことはできますか?」

「抗ってみせるさ」

「ふふっ……その覚悟、よしですわ。では……見せてください。レインさまの覚悟と力を!」


 宙に展開された炎が一斉に動いた。

 獲物に食らいつく獣のように。

 空から地へと走り、俺達に襲いかかる。


「マルチ・ブースト!」

「にゃん!」

「これなら……!」


 カナデとタニアに能力強化魔法をかけた。


 力を得たカナデは、拳を腰だめに構えた。

 力を込める。

 さらに精神を集中。

 そして、砲弾のごとき一撃を放つ!


「うにゃあああっ!!!」


 カナデが拳を振り抜いて……

 ゴォッ!!! と風が乱れた。

 拳圧により、いくつかの炎がかき消される。


「ちまちました作業って性に合わないのよね……まとめて消し飛ばしてあげる!」


 タニアが己を誇示するように翼を広げた。

 その翼に光が……魔力が収束していく。


 そして、全力を叩きつける!


 必殺のドラゴンブレスが迫りくる炎を薙ぎ払う。

 世界を埋めてしまうほどの閃熱。

 いかにイリスの魔法が強力だとしても、それ以上の威力を持つドラゴンブレスを撃ち抜くことはできない。


 炎のことごとくがタニアのブレスによって撃墜された。

 それでもまだ、わずかに炎が残っている。

 俺達の安全は確保したものの、村に飛来するものは止められていない。


 でも、焦る必要はない。


「んっ……!」


 ニーナが手をかざすと炎が消えた。

 数瞬後、まったく別のところに炎が出現して、誰もいない、何もないところに着弾する。


 ニーナが遠隔操作で、炎を強制転移させたのだ。

 スズさんとの特訓で身につけた力だ。

 生きている人などを相手にするのはまだ難しいらしいが、今のように、攻撃魔法を逸らすことなら問題なくできるらしい。


「やらせへんでーっ!」


 ティナが大きな声を出して……外見はヤカンなのでいまいち間抜けだけど……気合を入れた。

 それに呼応するように、飛来する炎が軌道を変える。

 そのまま炎と炎が近づいていき……接触。誘爆した。


 ティナの魔力で炎の軌道に介入して、互いをぶつけたというわけだ。

 これもスズさんとの特訓で得た力だ。

 魔力が底上げされたことで、今のようなとんでもない芸当もできるようになった。


「あら、あら。なかなかやりますわね」


 攻撃を防がれたというのに、イリスの余裕は消えない。

 むしろ、より楽しそうにしていた。


「では……こういうのはどうですか? 来たれ、異界の炎。全てをここに。来たれ、殲滅の雷撃。全てをここに。来たれ、嘆きの氷弾。全てをここに」

「なっ……!?」


 再び炎が視界を埋め尽くした。

 それだけじゃない。

 雷撃と氷弾も加わり、暴力の嵐が吹き荒れていた。


「何度でも何度でも召喚できますわ。尽きることなく、終わることなく、いくらでも暴力の嵐を吹き荒らすことができますの。それでいて、一撃一撃は神の鉄槌に等しい。自分でいうのもなんですが、冗談のような威力を秘めていますわ。さあ、これに対してどう抗いますか? 抗うことができますか? ふふっ、あなた方の力、見せてくださいませ」

「やってみせるさ!」


 臆してる時間なんてない。

 退くことなんて許されない。

 ただただ、前に突き進むだけだ!


 カムイを抜いて、イリスに向けて駆ける。


「あら、あら。自暴自棄になられたのですか?」


 イリスが軽く指を動かして……

 それに合わせて、まずは炎の雨が降り注いできた。


「ファイアーボール・マルチショット!」


 最大出力で魔法を起動。

 さらに複数同時に展開して、イリスの炎を迎え撃った。


 俺の魔法とイリスの炎が激突して、巨大な爆発が起きる。

 その爆発に巻き込まれる形で、他の炎も消失した。


「ふふっ、やりますね。ですが、これはどうでしょうか?」


 全ての氷弾が一斉に降り注いできた。

 一撃一撃が槍のように鋭く、鳥のように疾い。

 一発でももらえば、その時点で戦闘不能に陥ってしまうだろう。


「物質創造!」


 地面に手をついて魔力を注ぎ込んだ。

 俺のイメージする通りに地面が隆起して、周囲を覆う。


 ニーナと契約したことで得た力『物質創造』をアレンジした力だ。

 魔力を流すことで、物質を生成するだけではなくて、さらに詳細な設計が可能になった。

 このように土の壁を作ることも可能だ。

 オマケに、魔力を流していることで強度は倍以上に増している。


 イリスが放った氷弾は、全て土の盾に阻まれた。


「あら、今のも防ぎますか」

「ちょっと危なかったけどな」


 土の盾は無数の氷弾に貫かれて、崩壊寸前だった。

 もう少し数が多かったら、防ぎきれなかったかもしれない。


「まだ諦めませんの?」

「あいにくと、諦めが悪い方でね」

「しつこい殿方は嫌われますわよ?」


 イリスが指をパチンと鳴らして、最後に残った雷撃が始動した。

 百を超える雷撃が一つに束ねられて、荒れ狂う雷竜となって襲いかかる。


 対する俺は、それを防ぐ手段を持っていない。

 どうすればいいのか?

 その答えは……

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