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149話 最凶との戦い・6

 イリスがまとう結界はすでに破壊済だ。

 こちらの攻撃は届く。


 しかし、未だにイリスの底は見えない。

 召喚魔法を使うという情報はあるものの、それが全てではないだろう。


 他にどのような力を隠し持っているのか?

 どのようにして戦うのか?

 それらの情報が圧倒的に不足してる。


 迂闊に仕掛けるのは危険だ。

 危険なのだけど……


「カナデとタニアは俺の後に続いてくれ! ニーナとティナは、そのまま援護を!」

「ラジャー!」


 カナデが頷くのを見てから、俺は駆けた。


 イリスに迂闊に手を出してはいけない。

 しかし、あえて危険を冒さなければいけないことも、時にはある。


 まずは俺が切り込み、イリスの戦い方を引き出す。

 それから、カナデとタニアに打撃を与えてもらう。

 それが俺の考えた作戦だ。


「ふふっ。いきなりレインさまから踊ってくださるのですか?」

「お手柔らかに頼むよっ」

「さあ、どうしましょうか?」


 駆けながら、左手のナルカミから針を射出した。

 狙いはイリスの目だ。


 針は高速で飛ぶけれど……

 イリスは当たり前のように手をかざして、針を防ぐ。

 驚異的な反射神経だ。

 猫霊族に匹敵するんじゃないか?

 これだけのスペックを持つ最強種が猫霊族以外にいるなんて、知らない。

 魔力だけではなくて、身体能力も極めている……天族は反則的な存在だ。


 でも、イリスが防ぐことは予想済みだ。

 『防ぐ』という動作をしたことで、わずかに動きが鈍る。

 その隙をついて、さらに接近。


 目の前まで接近したところで、カムイを振りかざす。


「せいっ!」

「あら、あらあら。女性に刃物なんて、感心しませんわね」

「イリスを相手に手加減したら、後悔することになりそうだからな!」

「ふふっ……その認識、間違っていませんわ」


 イリスが翼を広げた。


 なんだ?

 なにをする?


 一挙一動を見逃さないように、イリスの動きに注意を払う。

 そのおかげで見えることができた。


 イリスの翼が刃のように閃く。

 そして、無数の矢のごとく羽が射出されて……


「っ!? ……重力操作!」


 自身にかかる重力を逆転。

 さらに倍増させた。

 俺の体は空に落ちていく。


 その数瞬後……


 さきほどまでいたところを、イリスの無数の羽が薙ぐ。

 まるで作物を食い荒らすイナゴの群れだ。

 暴虐の限りを尽くし、後に残るものはなにもない。


「重力操作!」


 再び重力操作を使用。

 重力のかかる方向を正常に戻して、イリスの真上から突撃する。


 それと同時に、ナルカミのワイヤーを射出。

 再び羽を放とうとしていたイリスの翼にワイヤーを絡めて、動きを封じた。


「あら、あら」

「くらえっ!」


 重力落下の威力を加えて、蹴撃を放つ。

 岩も砕く一撃だ。

 いくら最強種とはいえ、まともに受け止めることは……


「なっ!?」

「あらあら。情熱的なアプローチですわね」


 ……まともに受け止められた。

 イリスは涼しい顔をして、片手一つで、岩を砕く蹴撃を受け止めていた。


 認識が誤っていたかもしれない。


 イリスは猫霊族並の身体能力があるのではなくて……

 猫霊族以上の身体能力がある。

 スズさんに匹敵するかもしれない。


「来たれ。殲滅の雷撃」


 すくいあげるように、イリスは手の平を動かした。

 その動きに呼応するように、虚空から漆黒の雷撃が飛翔する。


「ブースト!」


 あれはまずい。


 本能で危機を察知した俺は、迷うことなく身体能力強化魔法を自分にかけた。

 体が羽のように軽くなる。


 大きく横に跳んで雷撃を避ける。


「ファイアーボール・マルチショット!」


 さらに盾として、複数の火球を撃ち出した。


 火球と雷撃が激突、爆発が起きる。

 相殺……できない!

 爆炎をくぐりぬけて、雷撃が蛇のように地を這い迫る。


 それなら……!


「物質創造!」


 ニーナと契約した力を使用する。

 以前ならば、じっくりと力を練り、時間をかけないと使用することができなかったけれど……

 スズさんの特訓のおかげで、こうして戦いながらでも能力を使用できるようになった。

 能力使用に割けるリソースが増えた、とでもいうべきか。


 鉄の槍を創造した。

 ある程度、能力を使用することに慣れたとはいえ、まだまだこれくらいが限界だ。

 とはいえ、今はこれで十分だ。


 鉄の槍を地面に刺した。

 その間に、重力操作を使用して空へ逃げる。


 ガガガガガッ!!!!!


 イリスが放った雷撃は、吸い込まれるように鉄の槍に絡まる。

 避雷針代わりに、と思ったのだけど、どうやらうまくいったみたいだ。


「来たれ。殲滅の雷撃」

「なっ!?」


 間髪入れず、イリスが再び雷撃を放つ。

 あれほどの魔法を連続で?

 精霊族でもない限り、そんなことはできないと思っていたが……

 ことごとく、イリスは規格外の存在らしい。


 しかし、驚くのはこれからだった。


「ふふっ、これくらいで驚いてもらっては困りますわ」

「なに?」

「来たれ。異界の炎」

「なっ」


 二つの魔法を同時に使用した?


 俺の能力と似て異なる。

 俺の場合は、一つの魔法を複数同時に使用するというもの。

 対するイリスは、複数の魔法を同時に使用している。


 難易度は、向こうの方が上だ。

 複数の魔法の構造式を同時に構築しなければいけないのだから。

 当然、消費する魔力は大きくなるし、魔法の構造式を構築するのに必要な思考や精神力など、割くリソースは大きくなる。


 スズさんとの特訓で、ソラは複数の魔法を同時に使用できるようになった。

 それでも、まだ二つの魔法を同時に使用するのが限界だ。


 それなのに……


「ふふっ……来たれ。滅びの旋風」


 イリスは三つの魔法を同時に使ってみせた。

 いや……


「まだまだ、ですわ。来たれ。嘆きの氷弾」

「四つの魔法の同時使用!?」


 バカな、そんなことできるわけない!

 精霊族のソラとルナでも、二つ同時使用が今の限界なのに……

 それを簡単に越えて、四つを同時使用なんてこと、普通に考えてありえない。


 それがありえると認めてしまうのならば、天族は精霊族以上の魔力を持っていることになる。

 そんなことがあるなんて……


「くっ」


 って、今は驚いている場合じゃない。

 どうにかして避けないと……


「こっ……のぉおおおおおっ!!!」


 そんな声と共に、光が駆け抜けた。

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