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1145話 なにをしているんだ……?

 慌てた様子でカナデが言う。


 カナデが指さした方向……森が見えた。

 ただ、けっこう離れているため、俺の目や耳ではなにが起きているのか把握することができない。


 動物をテイムして様子を……

 って、トラブルの内容によってはのんびりしていられないか。


「みんな、行こう!」

「「「おーーーっ!!!」」」




――――――――――




 俺達は悪人です。

 ……というような風貌をした男達が十人以上。


 それぞれ下卑た笑みを浮かべて。

 短剣や剣。

 片手斧などの武器を持つ。


 そんな男達に囲まれているのは、二人の女の子だ。


「よう、嬢ちゃん。今日はいい天気だなあ……こんなところにいるなんて、散歩かなにかか?」

「……」

「よかったら、俺達が案内してやるぜ」

「もっとも、お礼はもらうけどな。一晩付き合えよ」

「おいおい、こんなガキに欲情するのかよ。あいかわらずの趣味だな、お前」

「ばーか。こういうガキだからこそ、俺の色に染めるのが楽しいんじゃねえか」

「「「ぎゃはははははっ!」」」


 正真正銘のクズであった。


 二人の女の子はどうすることもできない。

 震えて、涙を浮かべて、男達に好き勝手されることしか……と。


 普通ならそのような事件になってしまうだろうが、普通ではない。

 そう。

 この二人の女の子は普通ではないのだ。


「……この人間、たち……わるい、人?」


 そう訪ねたのは、狐の耳と三本の尻尾を持つ小さな女の子だ。


「せやな。めっちゃ悪い人やでー」


 そう答えたのは、メイド服を着た、二十歳過ぎくらいの女性だ。

 なぜか関節部が人形のようになっている。


「わるい人は……おしおき」

「おいおい、嬢ちゃん本気か? いったいなにができるってんだ」

「ははは! いいぜ、そういう強がりも可愛いってもんだ。できるもんならやってみろや」

「じゃあ……」


 狐耳の女の子は、指を男に向けて、くるっと回した。

 瞬間、ふっと男の姿が消えた。


「……ぁぁぁあああああーーーーー!?!?!?」


 空から悲鳴が降ってきた。

 見上げると、さきほどの男が空高くから落ちてくる。


 そのまま落下。

 地面に激突……する直前で、狐耳の女の子が再び指をくるっと回す。


 男の姿がふっと消えて、少し離れた地面の上に転がり落ちる。


 空高くに転移させられて。

 地面に激突する直前で、何事もなかったかのように地面に転がされる。

 化かされたような気分になっているのだろう。

 顔を青くしつつも、なにが起きたかわからない様子で目を白黒させていた。


「悪人は成敗! ……ってな」


 メイドは、ぐるぐると気合を入れるように腕を回して……

 ブゥンッ!

 という音と共に光の剣を生成。


 いや。

 光のバットを生成。

 にっこりと笑い、


「悪い子はおしおきや!」

「「「ぎゃあああああっ!!!?」」」


 男達をバットで殴る。

 殴って殴って殴って……

 時に、空高く打ち上げていく。


 女性の細腕でできるようなことではない。

 できるようなことではないのだけど、現実に起きていた。


 男達は慌てて反撃しようとするものの、なにもかも遅い。

 取り囲もうとも失敗して。

 連携で追い込もうとしても、その先を行かれてしまい。


 男達は、あっという間に壊滅してしまうのだった。


「な、なんだ、このメイド……つえぇ……」

「こ、こっちの女の子も……やべぇ……」

「えへん」

「ふふんっ」


 狐耳の女の子とメイドは、どうだ見たか、という感じで得意そうな顔をするのだった。


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― 新着の感想 ―
>「おいおい、こんなガキに欲情するのかよ。あいかわらずの趣味だな、お前」 >「ばーか。こういうガキだからこそ、俺の色に染めるのが楽しいんじゃねえか」 >「「「ぎゃはははははっ!」」」 とりあえずお前…
そうそう、巻き込まれ初めると怒涛の連鎖。これもまたレインの能力の一つであった(笑)
無から生み出せる魔力玉やバットの使い勝手がいいのは分かりますが、折角のティナの第二部初戦闘ですし 今回くらいは原点に帰って初登場時のようにポルターガイストを使うところも見てみたかったですね。
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