1099話 にゃんで!?
「にゃんで!?」
話し合いを終えて。
家に戻り、とあることを伝えると、カナデは、ガーンといった様子を見せた。
カナデだけじゃない。
ライハも、ガーンといった様子でうなだれていた。
バストールへの突入作戦。
カナデとライハ。
それと、今はいないけど、ソラとルナも留守番という結論に。
「なんでですか、アニキ!? 自分、なんで留守番なんすか!? 頼りにならないっすか!?」
「頼りにならないなんて、そんなことあるわけないだろ? ライハは大事な仲間で、頼りになるさ」
「なら、どうして……!」
「俺のわがままだけど……心配なんだよ」
一度、ライハは敵に操られてしまっている。
その影響が残っていたら?
敵と対峙することで、また操られてしまったら?
「その可能性を考えると、ちょっと厳しい」
「うぅ……まったく反論できないっす」
「じゃあじゃあ、レイン、私まで留守番なのはなんで!? ソラとルナはいいけど! 二人は別にいいけど!」
なんで繰り返した?
「ゼクスやフィアの件もある。カナデ達はホライズンに残って、街を守ってほしいんだ。なにかあるかもしれない……というか、確実になにかありそうな気がするんだよな」
根拠はない。
ただの勘だ。
しかし、勘というものはバカにできない。
それまでの経験則から来る直感のようなもの。
わりと正しい答えを導き出すことが多い。
俺は、俺の勘を信じる。
「ステラもアクスも、街に残ることになった。二人と協力して、ホライズンを……俺達の帰る場所を守ってほしい」
「うー……ずるいよ、レイン。そんなことを言われたら断れないよ」
「ごめん」
我ながら、ずるいという自覚はあった。
ただ、街を守ってほしいというのも本音で……
なかなか難しいな。
「むーん……でも、アニキ。そうなると、突入はコハネだけっすか? まさか、ルリちゃんは連れていかないっすよね?」
「当たり前だろう」
「……残念」
ルリもがっかりしていた。
まさか、一緒についてくるつもりだったのか……?
最近、少しずつアグレッシブになっているような気がするが……
みんなの影響を受けているのだろうか?
それは、良いことのような悪いことのような……迷う。
「コハネの力を疑うわけじゃないっすけど、でも、コハネだけっていうのは戦力不足じゃないっすか?」
「ああ、それなら大丈夫だ」
「ふぇ?」
「最強の援軍を呼んでおいたから……たぶん、そろそろ来るんじゃないかな?」
タイミングを計っていたかのように、扉が開いた。
そこから姿を見せたのは……
「ふっはっはっは! 私、参上!」
「「「エーデルワイス!?」」」
姿を見せたのは、魔王さまだった。
なにやら、妙なポーズを決めている。
子供向けの童話にハマっていると聞いていたが……その影響だろうか?
「あれ、どうしたの? 魔王の仕事、忙しいんじゃなかったの?」
「問題ない。魔王といっても、引退したようなものだからな。まあ、いくらか仕事はあるが、それらは全てジルオールに投げてきた」
「ひど……!?」
「我が主が呼んでいるのだ。ならば、なによりも優先するのは当然のことだろう?」
エーデルワイスは妖艶な笑みを浮かべると、こちらに寄りかかってきた。
いや、待て。
そういうことはしないでくれ。
その……色々と意識してしまうだろう?
「まあ、一通りの事情は聞いている。ふざけた連中の相手なら、私に任せるがよい。邪教徒だろうが大神官だろうが、一撃で粉微塵にしてくれよう。なんなら、そのバストールという根城を、地殻ごと吹き飛ばしてやるぞ?」
エーデルワイスの場合、本当にやりかねないから怖い。
魔王だから、それをやってしまう力もあるんだよな……
「にゃるほど……確かに、これ以上ないほどの援軍だね……」
「自分、出る出番がないっす……」
一緒にいけないのは申しわけなくて、俺も、残念だ。
ただ、ホライズンが襲われる可能性も高いから、出番がないということはない。
……まあ、そんな予想は外れてほしいんだけどな。
◇ お知らせ ◇
新作はじめました!『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』
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