1063話 久しぶりの再会は勘違いと共に
「ここがホライズン……」
「活気があって、良い街みたいですねー」
「ちょっと腹が減ったぞ」
「長旅でしたからねー。まずは、ごはんを食べていきますかー?」
「ダメよ。その前に、しっかりと宿を確保しておかないと。最悪、街についたのに野宿、なんてことになっちゃうじゃない」
「それもそうですねー。世知辛いですぅ」
「それでも構わないが?」
「私は構うよ……さすがに、そろそろ土の上じゃなくてベッドで寝たいかな。あと、お風呂にも入りたい」
「ですねぇ……じゃあ、まずは宿を探しましょうかー」
「冒険者の街って呼ばれているくらいだから、たくさんあると思うわ」
「貸し切るぞー」
「切りません」
「「えーーー」」
「あなた達、こういう時だけ仲がいいんだから」
やれやれと、誰かはため息をこぼした。
でも、すぐに笑顔を浮かべて……
「……レイン君、いるかな?」
――――――――――
「カナデ!」
「らにゃー!」
俺の合図でカナデが前に出た。
それを見て、魔物が素早く反応する。
全身の毛を槍のように逆立てて……
それを一気に射出する。
矢の嵐のような攻撃に晒されてしまうのだけど、しかし、カナデは慌てていない。
俺も。
「甘いよ!」
カナデは、くるっと体を回転させて。
駆けつつ、姿勢を低くして。
あるいは、残像を作りつつ高速移動して。
普通ならば絶対に当たるであろう攻撃を全て回避してみせた。
そうしている間に、四足歩行の獣型の魔物に接近。
ゴンッ! と頭部を足で打つ。
魔物がぐらりとよろめいて……
「終わりだ」
俺が、千鳥でトドメを刺す。
魔物はビクンと震えて、その後、その体が魔石となる。
「ナイス連携」
「いぇーい!」
パンとタッチを交わした。
ホライズンの近くに出現した、Bランクの魔物、ニードルライガーの討伐。
無事、依頼完了だ。
「今日も私達、バッチリのコンビネーションだったね!」
「カナデのおかげだよ。俺がこうしてほしいと思っていたら、本当に思っていた通りに動いてくれるから」
「以心伝心っていうやつだね。それは、その……やっぱり、私達が恋人だから……かな?」
「そ、そうかもな……」
「えへへ♪」
こそばゆい空気。
でも、こういうのも悪くないな。
というか、素直に嬉しい。
「それにしても……」
ニードルライガーの魔石を拾いつつ、それをじっと見る。
「どうかしたの?」
「いや……」
ホライズンは冒険者の街と呼ばれていて、他と比べると比較的安全な地域だ。
そんなところに、Bランクの魔物が出現するなんて滅多にない。
でも、ここ最近は……
この前も、グリフォンが近くにいたし……
「……なにかの前触れなのか?」
――――――――――
依頼にあった魔物の討伐を終えて、ホライズンに戻る。
報告をして報酬を受け取れば、依頼は完了だ。
「ねえねえ、レイン。あれから、特になにもないね?」
「そうだな……良いことだけど」
ルリのことだろう。
あの子を利用しようとする輩は現れない。
それは良いことなのだけど……
それはそれで、ルリの過去に繋がる手がかりを得られないため、ちょっと難しいところだった。
ルリのこともなんとかしたいけど、なかなか難しい。
どうしたらいいのだろう?
「コハネとかなら、なにか知っているかもね」
「確かに。ただ、どうやって連絡を取ればいいか……」
「ええええええぇ!!!?!?!?!?」
突然、大声が聞こえてきて驚いてしまう。
「な、なんだ……?」
「ギルドから聞こえてきたよね……?」
恐る恐る中を見てみると……
「レイン君に子供ができたって、ど、どどど、どういうこと!?」
……シフォンがいた。




