表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1030/1164

1024話 エンディング

「「「おぉーーーーーっ!!!」」」


 みんなの歓声が公園に響いた。


 今日はピクニックだ。


 体と心を休めて。

 ひたすら、のんびりするためのもの。


「ホライズンに、こんな綺麗な公園があったんだね」

「お花……きれい」

「せやな。色々な種類があって、これ、ずっと見ていられるわー」

「自然の香りがとても素敵です。やはり、こういうところは好きですね」

「我は、街の喧騒も好きではあるが……うむ。公園も悪くないな」

「おまけに、とても良い天気っす! 快晴っす!」

「わふっ、かけっこしたい!」

「わ、ワタシはかけっこはちょっと……それより、お、お昼寝を……」

「ふふ、レインさまに膝枕をしてさしあげたいですわ」

「イリスさま。僭越ながら、それは私の役目でございます」

「いや、妻である私だろう」

「ううん、ボクが」

「あたしよ!」

「「「どうぞどうぞ」」」

「なんの流れよ、これ!?」


 みんな、ピクニックを楽しみにしていたらしく、普段と比べるとテンションが高い。

 そして、笑顔があふれていた。


 うん。

 今日は、来てよかったな。


 俺も笑顔になりつつ、綺麗な花畑の近くに、みんなが座れるだけの大きなシートを敷いた。

 四隅を石で固定して、中央に、みんなで作った弁当を広げていく。


 ……訂正。

 みんなではなくて、ソラを除いたみんなで……だ。


 いや、まあ。

 一人だけ可哀想とは思ったのだけど……

 彼女の料理の破壊力は、今でも鮮明にくっきりとはっきりと覚えているからなあ。


 せっかくのピクニックを惨状にしたくないので、許してほしい。


「じゃあ、来て早々だけど、ちょうどいい時間だから昼にしようか」

「「「さんせーーーい!!!」」」


 みんな、笑顔でシートの上に座る。


 ……その際、誰が俺の隣になるかで少々揉めた。

 いや。

 かなり揉めた。


 今ここで、最強種同士の戦争が始まるのでは? と深刻に考えるほどだった。


 どうしようかと頭を抱えたのだけど……

 結局、時間で交代するということで落ち着いた。


 ただ……


「えへへ♪」


 ニーナは、俺の膝の上だ。

 まだまだ甘えたい時期らしく、ちらちらとこちらを見ていたため、膝の上に誘ってみた。

 みんな、さすがにニーナに文句を言うほど子供ではないらしく、ぐぬぬ、と複雑そうな顔をしていたものの、受け入れてくれた。


 そんな彼女達の顔を見て、告白の返事をしなければ、と思うのだけど……


 さすがに、今ではないよな。

 タイミングを見て。

 自分の気持ちをしっかりと定めて。

 そして、返事をしよう。


「にゃ!? おいしーい!」

「ふふん、我の自信作なのだ」

「あら、ほんと。いつもより美味しいわね」

「パワーアップしてる?」

「今日のは、いつもより手間をかけたからなー」

「なるほど。手間をかければかけるほど美味しくなる……戦いと同じっすね!?」

「ちょ、ちょっと違うんじゃないかと思います……」


 みんな、笑顔で弁当を食べていく。

 けっこうな量を用意したはずなのに、どんどん減っていく。


「みなさん。食べるのもよろしいですが、風景を楽しむのもお忘れなく」

「お花もとても綺麗でございますよ」

「わくわく」

「おー、綺麗!」


 サクラの尻尾がぶんぶんと振られていた。

 彼女は、とても感情がわかりやすい。


「レインも、お花派?」


 ソースで頬を汚したカナデが、そんなことを問いかけてきた。


「そうだな……今は、この光景をもう少し見ていたいかな」


 緑があふれて。

 花が舞い。

 そして、青い空がどこまでも広がっている。


 平和を象徴しているかのような光景だ。


「主さま」


 そっと、コハネが手を重ねてきた。


「こちらが、主さまが勝ち取ったものですよ」

「俺が、っていうのは違うよ。みんなのおかげだ」

「ふふ、主さまは、いつも謙虚なのですね」

「しかし、過ぎた謙虚は嫌味になるぞ?」


 エーデルワイスだ。

 彼女は、上品に紅茶を飲みつつ、俺と同じく優しい景色を見る。


「我が主がいなければ、この景色は壊されていたかもしれない。おそらく、今も争いは続いていて……そして私も、『魔王』として覚醒していただろう」

「それは……」

「誇るがよい。そして、伝えていくがよい。この景色の意味を。掴み取るための戦いを。それらを伝え、残していくことで、いくらか平和は保つだろう」

「……その言い方だと、いつか平和は崩れるみたいだな」

「崩れるだろうな」


 エーデルワイスは迷うことなく、断言した。


「地域くらいの規模か。それとも、世界規模か。それはわからないが、いつか、争いは起きるだろう。それは、歴史が証明している」

「……」


 そんなことはない、と反論することはできなかった。


 人間の全てが愚かではないと思う。

 ただ、どうしようもない人は含まれているわけで……

 そんな者達の暴走で争いが起きてしまう可能性はある。


「そうなった時、我が主はどうする?」

「できることをするさ」


 世界を救うなんてことは無理だ。

 勇者のように、人々に希望を与えることも無理。

 そんなことできない。


 ただ……


 手の届く範囲なら。

 目に見える範囲なら。

 大事なものを守りたいと思う。


 それは、言い換えるのなら、自分だけのものを守る、ということ。


 なんて、わがままなのだろう。

 なんて、身勝手なのだろう。


 でも、そうすることしかできない。

 一人の人間が世界を背負うなんて無理だし……

 そんなことは、あってはならないと思う。

 一人一人が背負わないといけないんだ。


 だから、俺は、俺のやるべきことをやって。

 できる範囲で、少しだけ、世界を背負っていきたいと思う。


「俺は」


 空を見上げた。


 青い空の中、白い雲がゆっくりと泳いでいる。

 雲の切れ目から太陽が現れて、温かい輝きが広がっていく。


 それに向けて手を伸ばして……

 ぐっと、掴む。


「前に、前に……ずっと前に、歩き続けていくよ」

ここで、一部完、となります。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

1000話以上もの長い間、お付き合いいただいた読者の方、本当にありがとうございます。

どうにかこうにか、ここまで書き続けることができました。


とはいえ、まだまだ書きたいものはたくさんあり……

ニ部を考えています。

さすがにすぐに用意できないので、ビーストテイマーは少しお休みになりますが……

なるべく早く再開したいと思います。


ではでは、ひとまずはこれにて。

ありがとうございました!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://book1.adouzi.eu.org/n8290ko/
― 新着の感想 ―
一区切りの完結、お疲れさまでした。 ただの追放劇からの俺Tueeeざまぁかと思いきや、勇者とはなにか? 自分に流れる血の意味、世界の謎、そして解決へと、楽しませてもらいました。
ここで、一部完ですか!?すごーく長い話でしたよ! 作者さんもレイン達の話しまだ書き足りないのですがね。いや続くのは私も喜びますよ!
完結お疲れ様です ビステマはDVDも書籍もマンガも全巻持ってるほど好きな作品です 第2部がすごい気になってます笑 また連載されたら絶対見ます! アニメ2期こないかなー(ワクワク)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ