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996話 ラストバトル・その8

 ラインハルトの考え、全てが間違っているなんて思わない。

 彼の考えに共感するところもある。


 それでも。


 殺すことで問題を解決するなんて、そんな答えは認めたくない。

 そんなことを認めたら、殺すことでしか生きられないと言っているようなものじゃない。

 そんな残酷で……悲しい答え、あっていいはずがない。


 どちらが正しいか?

 それはわからない。

 わかるはずもない。


 だから俺は、今、自分が正しいと思う道を突き進む。

 そのせいで、ラインハルトの想いを否定することになったとしても。


「これで……!」

「どうだ!?」


 俺は、クサナギの一撃を叩きつけて。

 エーデルワイスもまた、それに匹敵する攻撃を放つ。


 ラインハルトは防御も回避も選ばない。

 迎撃を選んだ。


「零式・アークインパルス」


 それは、とっておきの技なのだろう。

 俺とエーデルワイスの渾身の一撃を退けて、それでもなお威力は保ったまま。

 いったい、どれだけの切り札を持っているんだ?


 俺とエーデルワイスは咄嗟に防御するものの、その全てを受け止めることができず、吹き飛ばされてしまう。


 でも……これでいい。


「ディスチャージ……残月・橿!」

「イノセントボルト! ……神・雷鳴剣っ!!!」

「なっ!?」


 俺とエーデルワイスの攻撃は囮だ。

 ラインハルトの注意を引き付けている間に、ユウキとシフォンに力を溜めてもらい……

 ここぞというところで特大の一撃をぶつける。


 事前に打ち合わせたわけじゃない。

 即興の作戦だけど、うまくいった。


 二人の極大の攻撃が炸裂して……


「ぐぅ……!?!?」


 ラインハルトが光に飲み込まれた。

 そして、城全体を震わせるかのような特大の爆発。

 威力だけを見るのなら、エーデルワイスの攻撃よりも上かもしれない。


 彼の攻撃を打ち消して。

 さらに、その先へ行く。


「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」

「くっ……!」


 シフォンもユウキも肩で息をしていた。

 まだ戦えるだろうけど、限界は近い。


 それは、俺とエーデルワイスも同じ。

 ダメージはさほど負っていない。

 疲労も少ない。


 ただ、魔力の枯渇が深刻だ。

 俺は『共鳴』を使い、エーデルワイスは、元々、強力な攻撃を連打することで大量の魔力を消費する。


 このまま長期戦になると、先にバテてしまうかもしれない。


 できれば、これで終わってほしいのだけど……


「やるな」


 ……そういうわけにはいかないか。


 ラインハルトは血を流していて、その身にまとう防具もいくらか破損していた。

 ただ、それだけ。

 まだ余力を残している様子で、打ち倒すとなると、まだまだ遠い。


「ちっ……まさか、これほどとはな」


 エーデルワイスが顔をしかめた。

 魔王である彼女にこんな表情をさせるなんて……

 本当にとんでもない。


 ここで、絶対にラインハルトを止めなければならない。

 しかし、その壁は厚く高く……

 今のところ決定打は見つからない。


「我が主よ、まだやれるな?」

「ああ、もちろんだ。シフォンとユウキは……」

「もちろん、私もいけるよ」

「ようやく体が温まってきたかな?」


 うん。

 強がりを口にできるということは、本当にまだいけるのだろう。


 なら……

 どこまでも食らいついてやる。

 負けなんて認めない。

 勝ちをもぎとるまで、みっともなくてもあがいてみせようじゃないか。


「……ふぅ」


 俺達を見て、ラインハルトは小さな吐息をこぼした。

 闘志は衰えていないものの、一時、動きが止まる。


「お前達は強いな」

「なにを……?」

「俺に、『共鳴』だけではなくて、『並列覚醒』まで使わせた。その上で、今も立ち続けることができて、戦う意思がまったく衰えていない。認めよう、お前達は強い」


 不思議な気分だった。

 まさか、あのラインハルトがここまで言うなんて。


「その強さは肉体的なものだけではなくて、心と魂の強さもあるのだろうな。でなければ、ここまで戦うことはできまい」

「私は、勇者としてやるべきことをやっているだけだよ」

「あなたの思想は、僕は、王族以前に一人の人間として認めるわけにはいかない」

「……そうか」


 ラインハルトは攻撃の手を止めていた。

 考えるような仕草。


 ややあって、こちらに視線を戻す。


「……このような感情は久しいな。本当に久しぶりだ……まさか、この俺が、また人間を好ましく思うなんて」

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― 新着の感想 ―
[一言] ラインハルト、人間は貴方が思ってるより愚かではないはず・・
[一言] 「……このような感情は久しいな。本当に久しぶりだ……まさか、この俺が、また人間を好ましく思うなんて」 からの 「だが殺す」 ってコト!?
[気になる点] 「……このような感情は久しいな。本当に久しぶりだ……まさか、この俺が、また人間を好ましく思うなんて」 >> ラインハルトが その人間を久しぶりに好ましく思う感情だけではなく 「再び人…
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