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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十章

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変な人2


「ちゃめっ気もあるんですね」


 驚かそうという意思がいくらかあったことも分かった。

 戦いにしか興味のない人なのかなと思っていたけど、そうした冗談もやるような人だったらしい。


「ジケさんの方は見たことがない男性と一緒にいますね。体つきは悪くなさそうですが、鍛えているわけではなさそうです。手も綺麗でタコがない。武人というわけではなさそうです。ということは商人でしょうか。そういえばジケさんも商人をしていると聞いたことがあります。ならばジケさんもお仕事の最中だったのかもしれません」


「……その通りです」


 よく一人でそんなに喋れるものだ。

 思わず感心してしまう。


「お仕事の邪魔をしてしまったようですね。申し訳ありません」


「いえ、大丈夫ですよ。ブルンスディンさんはなんの仕事ですか?」


 ブルンスディンは騎士である。

 それも武闘大会に優勝したほどの実力者だ。


 ここがいうほど田舎でもないにしても、こうしたところに置かれているような人でもない。


「調査です」


「調査?」


「武闘大会の最中、各地で失踪事件が相次いで発生していました」


「そんなものが……」


 事件はあった。

 悪魔による子供の誘拐事件である。


 ただそれはジケたちが解決した。

 他にも失踪事件があったなんて驚きだ。


「まあでも……今時失踪なんてのも……」


 珍しくはない。

 そんなに頻発するというわけでもないが、人がいなくなることは度々起こりうる。


 魔物に襲われた、人に襲われた、あるいは酔っ払ってケンカして勢いで殺されてしまったなんて例もある。

 死体が見つからなければ失踪になってしまう。


 そこらに放置しても魔物が食い荒らしたりして、誰なのか特定不能になってしまうことも多い。

 単純に夜逃げしたということもある。


 お金の問題とか男女問題で、ひっそりとどこかに行ってしまうのだ。

 貧民街ならば人がいなくなることは日常茶飯事。


 武闘大会で人の流れが増えれば何かの問題が増えて失踪する人が多くても、不思議とまでは言い難い。


「確かにそうではあります。ですが……あの件もありますので」


「俺が関わったやつですか?」


「そうです」


 悪魔の件があったから多めに発生している失踪事件を調査している。

 理解できる話だ。


「怪しいものはありましたか?」


「……いえ、何もありません。恐ろしいほどにただの失踪ばかり。人探しをしたいわけではないので調査もつまらず困りものです」


「こんなに俺に話していいんですか?」


「いえ、ダメです」


「……えっ?」


 ちょっと予想外の答えだった。

 そんなにあっさりとダメですと言われるとは思わなかった。


「ですが秘密の共有は仲良くなるために必要なプロセスだと聞いたことがあります」


「俺と仲良くなりたいんですか?」


「もちろんです」


 なら少しはニコリとでもすればいいのにとジケは思った。

 ずっと淡々と話すものだから感情が分かりにくい。


 話しかけてくるので関係性を築きたいとは思っているのだろうと考えていたが、仲良くなりたかったとまで考えてくれていたのであった。


「仲良くなって手合わせでもしたいんですか?」


「いいんですか?」


 聞いただけであって、手合わせするとは言っていない。

 だけどブルンスディンは少しだけ顔を綻ばせた。


 やっぱりそれが目的だったかとジケは苦笑いを浮かべてしまう。


「今は仕事中です」


 ジケもブルンスディンの実力に興味がないかと言われれば嘘になる。

 強い相手との手合わせはそれだけ得るものも大きい。


「まあそのうち考えますよ」


「今はそれでよしとしておきましょう。最後に一つ。この辺りは失踪した人が多いというよりも、失踪した人が向かったのではないかと見られている場所です」


「……どういうことですか?」


「失踪者の足取りはなかなか掴むのが面倒です。しかし調べていく中で、何人かがここに向かったのではないかという疑念があります」


「失踪事件が起きてる場所じゃなくて、失踪してる人が…………ここに」


「可能性です。比較的大きな町ですし何かやり直すにも、ここからどこかへいくにもちょうどいいでしょう。領主たるゼレンティガムの監視の目が行き届いているので、犯罪も少ないので悪くない町です」


 なんだか嫌な雰囲気のある話だなとジケは感じたけれども、ブルンスディンは平然としている。


「これ以上は怒られるので行きます」


「引き留めちゃったようですいません」


「いえ、お話楽しかったです。私と話すとイラつく人も多いので」


 イラつくというのも理解ができる。

 思考を整理するのが苦手で、全部口にしてしまうのだろう。


 それでもジケはそんなに気にしない。

 もっと変な奴は貧民街に山ほどいる。


 ブルンスディンぐらいなら怒るまでもない。


「武闘大会優勝者の騎士殿も知り合いなんだな」


「まあ……知り合いっちゃ知り合いですね」


 会ったのは今日が二回目だ。

 それでも一度顔を合わせているのだから知り合いと言ってもいいだろう。


「妙な噂があるのか……第一候補だったが……少し考えるか」


 怪しい噂があると事業にも影響が出るかもしれない。

 ジケは残りの候補地を回って、オランゼと事業について話し合ったりしたのだった。

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