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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十章

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忠誠の騎士2

「カッコいいっちゃ、カッコいいよな」


 自分の興味のないものにはとことん興味がなく、特に流されるようなこともない。

 貴族には不評のようだが、自分の芯をしっかりと持っているのは素晴らしいと思う。


「えっ?」


 一瞬、キリエに睨まれた。

 気のせいかもしれないけど、気のせいじゃない気がする。


「どうしたしましたか?」


 リンデランがジケの顔を覗き込む。

 ちょっとリンデラン、今日は距離が近いなと思う。


「いや、なんでもないよ」


 ちょっと目があったのを少し勘違いしたのかもしれないと、ジケは忘れることにした。

 特に面識もないのに睨まれるような理由なんてない。


 角度的にそう見えただけだろう。


「ねえ、ジケ君」


「どうした?」


「今度私のお家でお祝いしませんか?」


「なんのお祝い?」


「ジケ君とユディットさんとリアーネさん。武闘大会の入賞のお祝いです!」


 リンデランはニコニコとしている。


「正直ここじゃ落ち着かなくないですか?」


 リンデランは口に手を添えて声をひそめる。

 王様批判ではないが、ちょっと批判っぽく聞こえてしまうかもしれないので他の人に聞こえないようにという配慮だ。


「まあ……落ち着かないな」


 知らない人も多い。

 今はリンデランやウルシュナだけでなく、サーシャやルシウスもいるので下手に声をかけてくる貴族もいない。


 しかしキリエに対する当てが外れて、またリアーネを狙っているような貴族もいる。

 食事も用意されているが、落ち着いて食べられる雰囲気ではない。


「後で改めてお祝いで食事でもしませんか?」


 要するにお家に遊びにおいでよ、というお誘いである。

 きっと自分だけでなく、みんなのこと招待するんだろうなとジケは思った。


「ああ、いいかもな」


「本当ですか! じゃあ招待状お送りしますね!」


 せっかくのお誘いを断る必要もない。

 ジケが頷いて答えると、少しだけ不安そうにしていたリンデランもパッと嬉しそうに笑う。


「優勝者に大きな拍手を!」


 いつの間にか男性部門も盾が配り終えていた。

 男性部門の方は知り合いが出ているわけでもなくて、ジケにはあまり興味なかった。


 ニノサンでも出ればよかった何とは思うけれど、ニノサンはこうしたことに興味がない。

 命じれば出るだろう。


 でもこんなことを強制するつもりはジケになかった。


「あれが次代のロイヤルガード候補か……」


 誰かのつぶやきが聞こえてくる。

 今回優勝したのは若い男性だ。


 それは国の兵士の一人である。

 ライナスのように兵士にも武闘大会に参加している人がいた。


 腕試しが目的の人もいれば、自分の地位や名誉を上げようとする人もいる。

 その中である種、国の威信を背負って出場している人が今回の優勝者だった。


 次世代のロイヤルガードなんて言われるほどに実力を期待される兵士で、大会開催国の体面を保つためにも出場していた。


「それで優勝しちゃうんだから……確かな腕前なんだな」


 男性部門は最も激戦だった。

 予選を勝ち残った人も多くて、他の国や流浪人、獣人まで色々な人が戦った。


 リアーネのような対戦相手の運もあるだろうが、優勝まで勝ち上がるのは運だけでは不可能だ。

 ジケはあまりロイヤルガードについての記憶がない。


 話に聞いたことはあるが、とてもじゃないが住む世界が違っていたこともあって細かく聞いたりしなかった。

 覚えている話もなければ、どこの誰がロイヤルガードなのかも覚えてない。


 今回武闘大会を優勝した人が、そのまま本当にロイヤルガードになるのかどうかすら分かっていなかった。

 もしかしたら本来は内戦なんかの時に死んでいた人だった、なんていう可能性もある。


「武闘大会を見事に終えることができたのは参加してくれた皆のおかげだ。これからこの大会が我が国の伝統となっていけば良いことだと私は思っている」


 最後に王様がスピーチする。

 武闘大会そのものが過去にはなかったイベントである。


 これから武闘大会もどうなっていくのかジケには分からない。

 色々改善すべき点が多いイベントであることは間違いない。


 だが一方で大きな盛り上がりを見せ、他国との交流も深まったりしたことも確かなことだった。

 より良いイベントになるか、あるいはみんなが嫌がるようなイベントになるかはこれから次第である。


 ユディットやリアーネが入賞したのだから、第一回入賞を誇れるようなイベントになって欲しいものだと思う。


「ジケ君、これ美味しいですよ」


 座席に着いてしまってはなかなかスカウトもできない。

 そのためにパーティーは立食形式になっている。


 手にとって食べやすい料理が並んでいる。

 立ったままでも食べやすいために見た目にはシンプルだけど、味は手が混んでいて絶品な料理はどれも美味しそう。


 リンデランがお皿にいくつか控えめに料理を持ってきた。


「確かに美味しそうだな。じゃあ俺もそれを……」


「でも実際に食べてみないと分からないと思いませんか?」


 そろそろ自分も目的だった料理に手をつけようと思っていた。

 リンデランが勧めてくれたサンドイッチのような料理を取りに行ってみようとしたが、リンデランがジケの腕を掴んだ。


「まあ……そうだな。だからとりあえず食べてみようかと……」


「ここにちょっと食べてみるのにちょうどいいのがありますよ」


「でもそれはリンデランのだろ?」


 リンデランはお皿をずいっと前に出す。

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