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【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十章

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がっぽがぽ

「がっぽがぽ!」


「がっぽがぽ!」


「お金持ち!」


「まあ、楽しそうで何よりだな」


 団子の原案はピコが団子に名付けていたようにタミとケリである。

 実際に団子を作っていたのもタミとケリだ。


 売ろうと言って、売ったのはピコであるが、タミとケリの働きは大きい。

 なので団子の売り上げはピコとタミとケリで三等分にしていた。


 ピコは販売価格の見極めも上手くて、コロシアムのお祭り気分なら少し高めでも売れるだろうと高めに売っていた。

 一人でコツコツ売っていたので限界はあるものの、結構な売り上げを叩き出している。


 三等分に分けたお金の袋を持ってタミケリピコは嬉しそうにピコちゃん音頭っぽい動きをしている。

 自分たちで稼いだお金なのでジケも何もいうつもりはない。


 材料費が実は家の食材費から出ているというところも、目をつぶろうと思う。

 ちなみに団子販売のお手伝いの報酬は団子である。


 こんなところもピコはちゃっかりしていた。


「うーん……」


「何をお悩みになられているんですか?」


 団子で糖分補給しながらジケは腕を組んで悩ましげな声を漏らした。

 ユディットがジケの顔を覗き込む。


「これだよ」


 ジケが目の前に置いてある書類をユディットに見せる。


「企画書……?」


「ああ、オランゼさんからだ」


 ジケが見せた書類には事業企画書と書かれていた。


「何をなさるおつもりなんですか?」


「体拭き事業の拡大……だってさ」


 だんだんとオランゼも秘めたる野心が表に出てきた。

 お湯をたっぷり使える体拭き事業は思っていたよりも好評となっている。


 ジケも何回か使ってみて、問題点だったり改善できそうなところをオランゼに伝えたりしていた。

 今回作った場所はもう武闘大会が目の前に迫っていたので、急ごしらえ的に作ったところもある。


 なので色々と至らぬ部分も多い。

 オランゼは今回やってみて得られた反省を元にして、より改善した体拭き事業を拡大するつもりだった。


「しかも……他の都市でやるつもりらしい」


 首都は比較的綺麗だ。

 町中ということもそうだし、人の身なりでもそうだ。


 貴族が多くて綺麗にするので、平民なんかでも身なりを綺麗にしている人が多いのだ。

 安く使える体拭き事業はもちろん、平民なんかに需要があるだろう。


 ただやはりより大きな利益を狙うならそうした習慣が薄いところを狙うべきだとオランゼは考えた。

 身綺麗になってさっぱりすることを覚えれば、もはやまた利用したくなることは間違い無い。


 そのために他の都市に体拭き事業の支部を置きたいとジケに提案してきたのである。


「建物を一から建てて、今の問題を解決できるように細かく考えてある」


 例えば男女をしっかり分けるとか、使った水の排水、お湯を運ぶ動線など急ごしらえの建物では問題となっているところを解決するために、建物の設計図まで添えてある。


「すでにどこに作るのかまで候補を絞ってもいる。仕事が早い」


 水を輸送するという都合がある。

 そのために川の近くの町、町から川までの移動まで考慮に入れて候補地まで提案してきている。


 計画として抜かりはない。


「ただケントウシソウの確保なんかも問題だな……」


 現在どうやって水を輸送したりしていることはオランゼも知っている。

 しかしそれがケントウシソウの拳であるということまでは言っていない。


 信頼がないわけではないが、取引において一定程度秘密にしておくべきこともある。

 ケントウシソウについては事業の根幹ともいえる。


 だからまだ秘密にはしてあった。


「まだたくさんいるけど、あんまりとりすぎるのもな。在庫は増えてきてるけど……」


 ケントウシソウの数にも限りはある。

 今のところ減りすぎず、増えすぎないように気をつけているけれど、事業拡大となればケントウシソウにも負担がかかる。


「そこらへんも相談しつつ検討かな……」


 ジケにも色々やることはある。

 今すぐに決められることではないし、今すぐ決めることでもない。


 オランゼと相談しつつ決めていこう。

 ジケは最後の団子をフィオスと分け合って、小さくため息をついた。


「がっぽがぽ!」


「がっぽがぽ!」


「ピコちゃんだ!」


「「ピコちゃんだ!」」


「お団子事業も考えるか……?」

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