そのじゅうご
やっばー!
今このタイミングではばれたくない!
「ドチラサマデスカ~?」
ごまかせるかな?
「何言ってるの?明ちゃん?」
無理でした。そりゃそうだ うん。
それはともかくリアルの名前を連呼されるのは困る。
パーティに誘う事にしよう。
『エリー・ベルウッド さんをパーティに誘いますか? はい/いいえ』
はい を選択するとすかさず了承される。
『やっぱり明ちゃんだよね?何で女の子の格好なの?その装備ちょっとエッチじゃない?胸大きいねリアルの名前呼んじゃってごめんね大丈夫だったかな?』
なんかいろいろパーティチャットで聞かれた。
『う、うん多分大丈夫 かな? これから気をつけてね』
『ごめんねホントに』
ボクはなぜこうなったかを彼女に説明する。
胸の大きさはゼンジのせいである事も
それから ボクが本当は女の子だったという事も
『ふえぇ そうだったんだ~ 心配してたんだよ~あたしが胸つかんだら倒れてそのまま病院で帰ってこないし。佐藤君は大丈夫だって言ってたけど』
佐藤・・・・ゼンジの事だ
『のんきにゲームしてるとは思わなかったけど』
キミもしてるよね。
『身体に慣れようと思ってさ』
『あそっか・・・・・・身体って言えばさ今まで自分が男だって思ってたってことは つ、ついてるんだよね オチ・・・・アレが』
『う、うん 形だけ同じのがね。男としての機能は無いらしいけど。』
『そ、そうなんだ』
『うん、そう』
しばらく会話が途切れる。
「そういえばその耳と尻尾って何?アイテム?生えてるの?」
今度は通常会話だ。
「生えてるよ獣人族って種族なんだ。」
「え?あたしそんなの選べなかったけど?」
「レア種族みたいだね」
周囲の視線がボクに集まる。恥ずかしいんであんまり見ないで欲しい。
「この装備も専用なんで自分で選んだんじゃないんだよ?」
「へー、でもエッチだねそれ」
「普通の装備だと獣化したときに外れちゃうんだよう」
「獣化?」
「ほらこんな風に」
右腕だけを変えてみせる。長さも変わるのでバランスが少し変だ。
「うわぁモフモフぅ!あったかーい!!」
「獣化しちゃうとほとんど武器とか使えないし宝箱の鍵すら開けるのが難しいけど格闘にはボーナスはいるんだよ」
エリーはこちらの話を聞いているのかいないのかモフモフし続けている。
ついでに腰から下と左腕、首周りと背中も変えてみせる。
「わああぁ!モフモフ天国ぅ!」
「今変わった所には装備が付けられないんだよ履物もすぐ脱げるサンダルしか履けないんだよね」
「モフモフっ!モフモフっ!!」
聞いてます?
「ミン さんギルド内での獣化は武装とみなされます。獣化をといてください」
受付お姉さんに叱られた。すぐに元の姿に戻す。
「あたしのモフモフがあぁ~」
これはボクのです。
「受付さんめえぇ~」
エリーの恨みの声を聞いても
「武器の使用は裏の修練場でのみ許可されています」
受付お姉さんは揺るがない。
「まあまあ、エリー 折角パーティ組んだんだし一緒に魔物倒しに行かない?」
「! 行こう! イクイク!イッちゃうよ~~!」
草原に来た。
相手はこの前も倒したネズミ。
魔物だったらしい。この前は依頼も無しに倒したので経験値にしかならなかったが今度はお金も入る。
やったね!ミンちゃん!お金が増えるよ!!
エリーは回復職らしい。ソロだと勧めにくいので困っていたそうだ。
かといって男は下心満載で女の子を探しているときにボクが来たらしい。
声をかけようとよく見たら男のはずのボクだったと
そういえば前のときはここで大きいのが出てきたんだよねえ。
「どうしたのミンちゃん?」
「いやこの前こいつら倒してたら大型の魔獣が出てきてさあ・・・・」
ガサリ・・・・・ん?
なんかいやな予感
ガサリ・・・ヌッ
「うわわ!何でまた出るの!」
「ミ、ミンちゃん!!」
現れたのは大型のネコ科の魔獣 まただよ!!
獣化をする。装備壊れない!!
ネズミたちは逃げていった。あーあまた探す所からか・・・・
お前のせいだとばかりに殴りかかった 前より硬い?
ダメージが少しずつしか入らない。
変わりにボクのほうにはダメージが入っていく。
「ミンちゃん!」
エリーの回復魔法が傷を癒す。だがそのせいで魔獣のタゲがそちらに向きそうだ
ボクは獣化の段階を一つあげる事にする。 いやな予感がする。
今度は全身を毛が覆い始める。
ブチブチブチ 革ベルトがちぎれる音がする。
ああ!くそ!やっぱりか!!
全身を毛皮に覆われたボクは苦労して魔獣を倒す。
魔獣を倒したあとに獣化が解ける。
まただよ
目を丸くしているエリーの前でしゃがみこみ
持っていた服をごそごそと取り出す。
もそもそと服を着ながら思う。
服が脱げるのは避けられないものなのかと




