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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-2 ふたつの因縁

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 お手伝いと言っても、やるべきことは試験官自身が用意しなければならない。


 エミリアのやることはチェックと試験が行われているときの補佐……くらいだ。


「ああ〜……君がお手伝いの〜。よろしくね〜」

「はい、こちらこそ……!」


 材質学の教授は恰幅の良い男性で、ヒゲもじゃだった。


 普通のサラリーマンっぽくはなく、芸術家みたいだ。

 ただ、包容力を感じさせる喋りと雰囲気だった。


「なんてことのない試験だから〜、はい、チェックリスト通りにやってくれれば大丈夫〜」


 教授も間延びした喋りで、さほど緊張しているわけではない……。

 

 さすがは教授。

 大変落ち着いている。


 ぼちぼちと学生も集まり始め、時間通りに試験が始まる。

 ヒステリックな状態に陥ってそうな学生はいない……。


 ふぅ……神経が高ぶりすぎている魔術師は危険である。


 ただ、材質学は高学年の科目であり、受ける側も慣れているので問題はなさそうなだけだ。


 材質学の試験は筆記と実技。


 答案用紙に書かれた問題への回答と、謎の金属棒の材質を答えること。


(まぁまぁの難易度ね)


 答案用紙を見た限りだと出題範囲は広範囲に渡り、計算問題も多い。


(……だいたいの内容はウォリスの貴族学院と同じかしら?)


 ただ、ウォリスに比べると計算問題の比重が多いかも。

 この辺りはお国柄かもしれない。

 

 ただ、なんにせよエミリアもリラックスして手伝うことができた。


 試験は1時間ほどで終わる。


「はい、ありがとう〜。ここはもう大丈夫だから、次に行ってもらって大丈夫〜」

「ありがとうございます……!」

「そちらも頑張ってね〜」


 予定より早く解放され、エミリアはまた次の試験の手伝いに向かう。


 それもこの辺りの校舎だ。

 どうやら今日の試験のお手伝いは高学年向けの科目だけらしい。


(トリスターノさんが配慮してくれたのかしら?)


 試験官が相応のベテランで、高学年の学生だけが受験するならトラブルは少ない。


 とはいえ、たまに校舎のどこかから悲鳴は上がるのだが……。


 次々と試験のお手伝いをこなして、夕方になった。


 緊張はするものの作業の難易度は高くない……その日の終わりに、エミリアは大学の職員窓口に向かった。


(変更があるかもだから、毎日来るように……だものね)


 あとは精算も含めて。

 この仕事も日払いでお金が払われるのは嬉しい。


 窓口に行くと職員から明日の書類を受け取る。


「追加の指示があるようですので、ご確認ください」

「はい、ありがとうございます」


 ふむ、と見ると……指示書類の1枚目にはこう書かれていた。


『エミリア・セリドは懇意にしている精霊ペンギンを連れてくること。不可能な場合は職員窓口に申し出ること』


(ルルのこと? なぜかしら……?)


 わからぬ。

 ルルを連れてくるように、という指示は初めてだった。


 一応、明日はセリスがいてくれるからフォードのことは問題ない……。


 ぺらりと書類の2枚目を確認する。

 そこにはいくつか取り消し線が引かれており、新しい指示書きがしてあった。


『動物学の試験補佐を命じる』


 ほうほう……。

 最初の予定では、他の科目が入っていたけれど。


 もしかして昼の一幕のおかげだろうか。


 動物と触れ合うのは好きなので、特に問題はない。


 アンドリアでビーバーへの接し方を

見るに、ルルも大丈夫だろうし。


「問題はありませんか?」

「ええ、承りました」


 こうして翌日の予定が少し変わることになった。


 ちなみに暴れスレイプニルを落ち着かせた手当は、2万ナーレ、日本円にして4万円。


 なのでエミリアはうきうき気分でデザートを買って、家路についたのであった。

【お願い】

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― 新着の感想 ―
ルル、参戦かぁ。いーなぁー……試験ナシでこの試験に参加したい!!
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