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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-2 ふたつの因縁

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283/308

283.息子の誕生日が近付いて

 ロダンとコルドゥラの会談後。


 12月後半になってきた。

 そろそろフォードの5歳の誕生日である。


 フォードは膝の上にほわほわのルルを乗せている。


「きゅい」

「ふわふわだねー」

「きゅっ!」


 ルルの冬毛は加速している――どうやらここからがほわほわ本番かもしれなかった。


(うーん、かなりの毛玉感……)


 ルルの毛の海に手を沈めると……かなり沈む。心地良い。


 エミリアがフォードの隣でご満悦にルルを撫でていると、フォードがルルのお腹を両腕でふにふにしながら尋ねてきた。


「ペンギンさんって、これが普通なの?」

「そうね。毎年、冬になるとふわふわになるわ」


 確か日本のペンギンなどもそのはずだ……。ペンギンは換毛する。


 フォードがルルをじーっと見る。


「だいぶ太ったよーな」

「きゅっ!? きゅきゅい!」

「えっ? 太ってない?」


 フォードが納得しかねるように小首を傾げた。


「だいぶ増えてるよ……」

「きゅー、きゅっ!」


 ルルが羽を振って、太ってませんアピールをする。


 まぁ、ボリュームアップした冬毛を見るとそのような感想にもなるだろうか。


「……そうね、ルルのは太っているんじゃないわ。寒い冬は私たちも服を重ねるでしょ? そんな感じなのよ」

「じゃあ、毎年こうなるの?」

「冬にはね。春になると元に戻るわ」

「戻るんだ……。痛かったりしない?」

「きゅー」


 全然大丈夫です。

 髪を切っても痛くないでしょ?


 と、ルルがふんふん頷いている。


「あー……そっかぁ、じゃあ大丈夫なんだね」

「きゅっ……!」


 抜けた毛のお掃除はよろしく。

 

「それくらい、なんてことないわ」


 ふわふわルルを愛でるのに比べれば、冬毛の後処理はなんでもない。


 ということで、その日の午後――フォードとルルは日課のお昼寝タイムに入った。


 ぽむぽむしながら、日差しの差すソファーに寝転がる。


「おやすみー……」

「きゅー」


 エミリアはソファーのそばで講義の資料の読み込みだ。


「おやすみなさい、お母さんは仕事してるわね」

「うんー……」


 むにゃむにゃとフォードが答える。


 息子とルルの寝顔を横に見ながら、エミリアは資料をめくる。


 12月末には、大学で半期末のテストがあるのだ。

 なのでその準備に追われつつある。


 過去の試験内容を確認し、難易度がズレないよう。

 あとは……他の講義の試験内容にも抵触しないように。


 これが中々の作業だ。

 まぁ、もちろん手当はもらえるのだけど。


(イセルナーレの大学の試験は12月、5月……ね。日本の大学とは結構違うかも)


 イセルナーレでは9月から12月までが前期。1月は冬季休みだ。


 そして2月から5月までが後期。

 6、7、8月は夏季休みになる。


 フォードから寝息が聞こえてきた頃――ルルがひそかに彼の腕から抜け出そうとしていた。


「きゅ、きゅい……」


 どうやら結構がっちりとホールドされているらしい。


 フォードを起こさないよう、ルルは身体をたぷたぷ揺らして脱出しようとしている。


「ど、どうしたの……?」

「……きゅい」


 詳しい話は後で。らしい。


 エミリアは書類を置いて、ルルを掴む……そのまま左右に揺らしながら、すぽっとフォードの抱擁からルルを取り出した。


「きゅー」

「えっ? 内緒の話?」


 ルルはそのまま、ぽてぽてとリビングから離れていく。


 こんなことは初めてなので、エミリアはドキドキしてきた。


 何の用だろうか。


 ソファーからかなり離れたところで、ルルが止まる。


 そこでルルはぴっと羽を掲げた。


「きゅい?」


 フォードの誕生日、何をプレゼントすればいい?


 ルルは羽をふにふにさせながら、首を可愛らしく傾げていた。

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― 新着の感想 ―
ルルの体型が春になっても変わらなかったら、ダイエットだな! 誕プレはルルの毛を使ったフェルトぐるみなんぞはいかがでしょうか?(ルルの毛、羽根使用だったら無理かな)
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