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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-2 ふたつの因縁

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278.母との会合

 カップに紅茶が注ぎ終わると、コルドゥラが首を傾ける。


「子細、聞いたわ。殿下の夜会へ――ご友人を連れて行ったそうね」

「……ええ」


 ロダンがカップを手に持ち、紅茶をすする。


 何も入れていないはずの紅茶なのに、強烈な甘さを感じた。


 コルドゥラは酒をさほど嗜まず、大の甘党であるという事実を今さらにロダンは思い出していた。


「珍しいことね。あなたが夜会に出るなんて。しかも……とても綺麗な方だったとか」

「そのことについて、母上に報告がございます」


 ロダンはカップを置いて、コルドゥラを見据えた。


 エミリアとの関係はいつかは言わなければならないことだ。


 ほとんど確実に反対されるとわかっていても、報告は必要だった。


 そして先日の夜会は……契機なのだ。


 ロダンは己を曲げない。

 コルドゥラもそれはわかっているはず。


 だからこれは相談をするのでもなければ、承諾を求めることでもない。


 決定事項として報告するだけ――そのつもりでロダンはいた。


 ロダンの決意を知ってか知らずか、コルドゥラは微笑んでいた。


「何かしら?」

「俺はいずれ、あの夜会へ招いたエミリアと結婚するつもりです。母上もご承知置きください」


 言い切ったロダンに、しばらくコルドゥラは口を開かなかった。


 冬の冷たい空気がテラスを通り過ぎる。


「……そう、そうなのね」


 コルドゥラがわずかに目を細めた。


 イセルナーレ王家よりも古いカーリック家の歴史の中で、非イセルナーレ人が正室になったことはない。


 それはロダンも重々知っている。


(だが、今はそんな時代じゃない――)


 隣の国まで鉄道でほんの数時間。

 

 そのような世界になって、イセルナーレにこだわる必要を感じなかった。


「もう決めたのね? ロダン、あの人が……エミリアというその人がいいのね」

「そうです」

「ふぅ……困ったわねー……」


 コルドゥラは椅子に深く腰掛け、息を吐いた。


 恐らくコルドゥラはすでに色々と調べているはずだ。

 エミリアのことを調べもせず、ロダンを呼び出すような人ではない。


「あなたのことだから、色々と考えての決断なのでしょうけれど。私の考えも聞いてくれるかしら」

「はい……母上」


 決めはしたが、説得を放棄するつもりはなかった。


 ここに呼んだということは――コルドゥラも話し合いを望んでいる。


 もしそうでなければ、コルドゥラは裏から手を回して話を壊そうとするはずだから。


 コルドゥラがひらりと手を空に舞わせる。


「じゃあ、まず結論から。エミリア・セリドさんはダメよ」

「…………」

「彼女との結婚は絶対に認めないわ」


 これ以上なく、コルドゥラは断言した。


 それはロダンが見た彼女の中で、もっとも激しい拒絶と言ってよかった。


 いきなり、ここまでの拒絶だとは予想していなかったが……。


「それはエミリアがウォリスの出身だからですか?」

「そうじゃないわ」

「では、前夫との間に子どもがいるからですか?」

「そんなことでもないわ」


 コルドゥラが首を振る。


「あの人と同じようなことを言わないで」


 あの人、というのはロダンの父のことだった。


 彼は当主の座をロダンに譲り、王都から離れている。


 彼ともロダンは近年、話をしてこなかったのだが……ロダンにはコルドゥラの意図がわかった。


 あの時も、マルテの時も生まれうんぬんで話をしたわけではないと。


 だとするとなおさら、意味がわからなかった。


「では、なぜです? 反対する理由を聞かせください」

「……そうね」


 コルドゥラが目元の力を緩めて、カップの中の紅茶を見た。


「ロダン、あなたには理解できないかもしれないけれど」


 目を伏せたコルドゥラはロダンを見ていなかった。


「セリド公爵家は呪われているのよ」

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― 新着の感想 ―
エミリアの実家が呪われてる? 聖杯伝説のことかな? 聖杯の謎も解決しないとロダンとエミリアが結婚できないとは… ロダンもエミリアも忙しそうだけどオーバーワーク覚悟で謎解きに挑むしかないですね。
甘党な義母かぁ。ペンギン見せたら効きそうなかんじやなあ。ついでにモフモフで
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