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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-2 ふたつの因縁

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275/308

275.帰宅して、翌朝

「……本当にルルのことを?」

「わからんが……。しかし興味を引かれたのかもしれん。大抵の相手なら、そもそも呼べばいい立場の御仁だが……ルルは違うからな」


 それはそうだ。

 ブルースはイセルナーレの王子である。用があれば呼びつければ済む。


 しかしルルは精霊ペンギンである。

 直接、呼ぶということはできない……だから遠回しに?


 その辺りはわからない。


 ロダンの出会いの為に、呼んだのかもしれないし。


 そしてブルースも帰ったので、エミリアたちも本当に帰る時間になっていた。


「今夜は楽しかったわ。呼んでくれてありがとう」

「うん、ありがとうー! 美味しいものもたくさん食べれたよね?」

「きゅーっ、きゅい!」


 またこのような機会があったら、たぷみを蓄えるために参加したい所存です。らしい。


「楽しんでもらえたら何よりだ。俺も……とても楽しかった」


 ロダンの笑みは嘘ではない。

 彼もエミリアと踊れて、楽しかったのだ。


 ロダンの馬車で家まで送ってもらい、エミリアたちは寝支度をして、ベッドに横になった。


 うつ伏せのフォードの顔の隣に、うつ伏せのルルがいる。

 布団をかけるとルルの分、こんもりと盛り上がるような……。


 フォードもルルのこんもり具合に気付いたようだった。


「……うーん」

「きゅ?」

「な、なんでもないよ?」


(そうね、ぽよぽよなのは仕方ないし……)


 かくいうエミリアも満腹である。

 酔いには余裕があるが。


 エミリアはルルを挟んだ、フォードの反対側に――川の字になるようにベッドに入った。


 それでもぐーっと腕を伸ばせば、フォードにまで届く。


「きゅ……」

「ふゆー……」


 ふたりの身体を感じながら、エミリアもうつ伏せになった。


 カーテンの閉まった窓からは夜の様子は伺えない。


 それでもカーテンの向こう側には星がある。それを疑いはしない。


(ロダンも屋敷に戻った頃かしら?)


 彼も今夜は早く寝るだろう。

 光り輝く星を感じながら。


 エミリアが目を閉じると、すぐに眠気がやってきた。


 夜と星の揺らめき、フォードとルルを感じながら――エミリアは眠りに落ちた。





 翌朝、まず洗顔などの次に行ったのがルルの丸洗いだった。


 水槽を用意して、ルルを抱きかかえる。


「ふむ……」


 エミリアがルルの背中に鼻をくっつけると、炭火の香りがする。


 昨日、帰宅してから少し洗った程度では匂いが落ち切らなかった。


「きゅー」


 ルルも自分の羽を顔の前に持ってきて、匂いを嗅ぐ。


「ルルも気になるんだよね? すぐ洗うからね〜」

「きゅっ……!」


 フォードは石鹸を持って、準備万端だ。

 

 エミリアがルルを水槽にセットしようとすると……むちっと水槽がパンパンになった。


(入るは入るけど……!)


 少し余裕があったはずの水槽に、今朝のルルはかなりぎゅうぎゅう……な気がする。


 やはり、これは……!


「きゅ?」

「水槽は小さくならないよー」


 首を傾げるルルに、フォードがツッコむ。


「あなたが……その、ふとましくなっちゃったみたいね」

「……きゅ!」


 ルルがはっとする。


「きゅー……」

「運動したら痩せるけど、運動してから食べた分は足されるだけだから……」


 しかも昨日、ルルが食べまくったのは肉の串である。


 たぷみへの貢献度は言うまでもない。


「大丈夫、僕も運動するから!」

「きゅー」


 こうして水槽にみっちみちになったルルを、エミリアとフォードは丸洗いしていく。


「きゅー♪」


 ちょっとこんもりしたルルが泡まみれになって。


 ふとめのルルも可愛い……とエミリアは心の中で思いながら。

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― 新着の感想 ―
水槽にみっしりルル。 もう少し隙間が欲しいですね(^_^;)
ルルちゃんの合法度ってどれくらいだったかしら?と読み返したら全長50cmまででしたね(笑) つまり、胴囲がたぷって肥える分には……問題はないということですね!
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