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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-1 宵闇に踊る

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269/308

269.宴の終わりが近付いて

 フォードと手を繋いで、踊って。

 また席に戻って飲み物や料理(ルルが焼いた串)を食べて。


 楽しい時間はあっという間に過ぎていった。


「今日はいつもよりたくさん運動して、食べた気がする。あと音楽もたくさん聞いたぁー……」


 フォードは椅子に体重を預けて休んでいた。

 というより、ねむねむモードに入ろうとしている。


 確かに会が始まって一時間半ほど。

 これだけの人と音に囲まれれば疲れもする。


「……イセルナーレの夜会は延長したりするの?」


 ウォリスでは夜会が長引くことは珍しくなかった。

 ここではどうなのだろうか。


「基本的に時間通り終わる。イセルナーレは遅刻も延長も好まれない」

「ああ、そうなのね」

「残る人間はいるだろうが、構わず帰って問題はあるまい。殿下はそのようなことは気にされん」


 ロダンとブルースの付き合いはそれなりに長いと聞いたことがある。


 まぁ、世の中には会が長引いてそこに残るかで評価する人もいるが……ブルースが違うというなら、遠慮なく時間通り帰らせてもらおう。


 そして各料理のテーブルもそろそろ店仕舞いが近付いてきた。


 ブースは開いているが新規の料理は作らず、すでにできた完成品を食べてもらう感じだ。


 アンドリア料理のテーブルでも同様で、すでに火を落としているようだった。


 なので網の置かれたテーブルには、ぽにっと座ってステーキをはぐはぐ食べているルルが……。


「そろそろ迎えに行こうかしら」

「はっ……! 僕も行く!」


 ぱちりと元気よく答えたフォードととともに、エミリアはアンドリア料理のテーブルに向かった。


 さすがに夜会の終盤になると並ぶ客もほとんどいない。

 まぁ、皆もう十分飲んで食べているはずだ。


 エミリアたちが近付くと、白髪のおじさまがぴしっと礼をした。


「おかげさまで、会を無事に終えることができそうです。誠に御礼の申し上げようもございません」

「いえ、ルルが御力になったのならなによりです」


 ルルのお腹がたぷたぷしているのは……つまみ食いのせいだろう。


「つきましては、また後日正式に御礼を申し上げる機会を頂ければと思うのですが――」

「どうかお気になさらず。ルルも良い経験ができましたし」

「……お心遣い、痛み入ります」


 ステーキを食べ終えたルルが立ち上がる。


 ふにふにふに。

 

「きゅっ!」

「料理の道は永遠の道。まさしく。ピットマスター様の業に少しでも近付けるよう、今日のことを胸に刻む所存です」


 ルルがおじさまによって、両手で抱えられる。

 そのまますすーっとルルがエミリアのほうに向けられ、返還された。


「きゅー!」


 ルルを同じく両手で受け取ったエミリアは、ルルを胸元に迎える。


「おかえり、ルル」

「きゅっ!」


 ふにふにとルルの感触を堪能する。

 やはりというべきか、夜会の前より重くなった気がする……。


「頑張ったねー、ルル!」

「きゅーい!」


 フォードはルルへ手を伸ばす。

 離れていたのはほんの少しの時間だったけれど、今回は特別な会だった。


 その間の別れはいつもより寂しかったのかもしれない。


 エミリアはフォードの前に屈み、ルルを手渡す。


「んふっ、ありがとう……っ!」


 フォードは微笑みながらルルを抱きかかえる。


「お羨ましい絆でございますね」

「ええ、本当に」


 こうしてアンドリア料理のスペースをエミリアたちは後にした。


「あそこでお仕事して、熱くなかったー?」

「きゅー、きゅっ」


 ふたりはずっと話をしている。


 もっふもふでちょっとたぷたぷ。

 やはりフォードはルルが大好きなようだった。

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― 新着の感想 ―
精霊ペンギンも太るんだな〜と(笑) いや、体型が変わっていったのは以前から知ってましたけど、重さも変わるんだとΣ(゜Д゜)
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