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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-1 宵闇に踊る

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246.カンニングかも……?

 貴族学院時代のエミリアは、ダンスを楽しく思ったことがなかった。


 下手だからではなく、決まったルールに従って身体を動かしていただけだからだ。


 でも、今は違う。


 ルルとフォードが奏でた音に乗って。ロダンのすべてを感じながら、踊り切った。


 それは今までとは全然違った――血潮を乗せると、こうまで違うのか。


 息を切らせたエミリアがロダンに顔を寄せる。


「ふぁ、どうだったかしら?」

「非の打ち所がなかった。ああ、こんなにも――」

「うん?」

「……ただ、楽しいとはな」


 ロダンも同じようだった。

 

「すっごーい……あんなに身体が動くんだね」

「フォードも練習すれば、私くらいには動けるようになるわよ」

「う、うーん……まぁ、僕は……」


 ルルがカスタネットをひとつ鳴らす。


「きゅ、きゅう!」


 内なる熱い衝動が高まったら、踊ればいいさ!

 と、言っている気がする。


「うん、そうだね。僕にはまだ早いよ」

「……きゅ!」


 ルルがぽむぽむとフォードのズボンを叩く。


 フォードも動けるはず……なのにもったいなくはある。

 でも焦る必要がないのも確かだ。


 ルルを見習って、待とう。

 フォードの自発性も大事なのだから。


「ふぅ……あとはプログラムなどが決まったら、連絡する」

「ええ、そうね」


 とりあえず踊りはこれで良し、らしい。


 本番はさすがにここまで情熱的には踊らないけれど。

 

「外遊に出ているシャレス殿も、年末はイセルナーレで過ごすという。動きがあるかもな」

「……そうね」


 実家の杯は気になる。とても気になっている。


 だが、これこそ焦ってはいけない。

 迂闊に動けば外交問題だ。


 それからロダンの屋敷で夕食をともにする。


 同じ広間で実際に料理をちょっと並べて。立食パーティーめいた食べ方をするのだ。


(さすがに大丈夫よ、これは!)


 料理を受け取る時の優雅さ、フォークとナイフの使い方。

 ウェイターを呼ぶ時の仕草。


 ひとつひとつの動作に気を付ければ、なんということはない。


「きゅ……!」


 ルルはテーブルの上に乗って、ナイフとフォークを駆使していた。


「…………」


 ふもっとした羽から繰り出される、流れるようなナイフさばき。

 さらに一切止まらず、シームレスにルルのくちばしへ料理が運ばれていく……。


「文句のつけようはないんだけど……」


 もっきゅ、もきゅ。

 

 ルルが本気になるとアンドリアの時のような肉奉行……もとい、完璧なテーブルマナーを発揮する。


 しかし、これでいいのか?


「……問題はあるまい」

「そ、そうよね」


 ちなみにフォードはガチガチに緊張していた。

 こういった立食パーティー形式に慣れていないから、仕方ないが。


(まだ4歳だしね)


 骨のついた魚料理を前にフォードの手が止まって。

 ルルが小さく鳴いて羽を動かす。


「きゅ」

「う、うん」

 

 魚を食べる時は背、腹と骨を取り除く。面倒なのだがそれがマナーだ。


 で、フォードはルルの小さな鳴き声で順番を思い出したらしい。


「そうか、ルルから教えてもらえるんだな」

「きゅ……っ!」


 ルルはペンギンであることを除けば、すべてにおいて完璧な食べ方を実践している。


「私は、常に席にいられるとは限らないしね」

「そうだな、どれだけ挨拶漬けになるか」


 ロダンもやや憂鬱な声を出した。


 フォードから目を離さないつもりではあるが、ずっと隣にいられるか。


「……ルルがいてくれれば安心ね」

「きゅっ!」


 ルルがふにっと頷く。

 

 大丈夫だろう、きっと……!!

 ルルはテーブルマナーを熟知して、しかも夜会のルールの内側ぎりぎりにいるのだから。

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― 新着の感想 ―
3周目〜。 ノットギルティなルルならば、完璧=無敵でしょう。
夜会のルールの内側ぎりぎり…(笑)完璧なテーブルマナーを発揮するルル、夜会の注目を掻っ攫うこと請け合いでは(笑)
ルル、もしや夜会の経験がある? すっごいお爺ちゃん貴族がぷるぷる震えながら「あ、貴方はもしや、先代の残した肖像画に描かれた精霊では…」とか言って、過去の関わりが露見したりして。
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