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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-1 宵闇に踊る

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236/308

236.服を選んで

「……えっ。先生も活躍したから?」


 今となってはそうかもしれない。

 あの王子やロダンが気を遣った可能性はありそうだった。


 ただ、そこは否定しておこう。


「何のことかしら? 私は、えー……カーリック伯爵に呼ばれたから行くだけよ」


 ロダンと言いそうになって、ごまかす。


「カーリック伯爵……? あのめちゃくちゃ造形が整ってる人?」

「あなたも彼を知っているのね」

「先生、あの人を知らない人はイセルナーレにいないよ」


 キャレシーは半ば呆れたふうに答える。

 

「一時期、王族の人たちが連れ回したからね。あれだけ外見が良くて、しかも名門貴族。魔術師としても一級とか……」

「連れ回されてたの?」


 その話は初めて聞いたかもしれない。時期的にはエミリアが結婚生活(終わった)を営んでいた頃か。


「お偉い貴族様連中にとって、カーリック伯爵は門閥貴族の希望の象徴だからじゃない? 私は平民だからどーでもいいけど。でも陛下に直言させて止めさせたんだって」

「へ、へぇ……」


 こわっ!

 知らないところでとんでもない逸話が眠ってた。

 

 でも彼女の口から、先に聞けて良かったと思おう。


「それからは騎士と平民向けの文化芸術、医療の式典にしか出てないんじゃないかな。貴族生活をしたがらないんだってね。だから庶民人気も凄いよ」

「……なるほど」

「私は世界が違いすぎるから、よく知らないけど。でもその私でもこれくらいは知ってる人」

「ありがとう、かなりわかったわ」 


 こうしてキャレシーとの話し合いは一度終わった。


(立ち振る舞いはある程度、教えられるとして)


 ロダンに聞いてレイティアの店を紹介できるなら、そうしたほうが良さそうだ。


 物覚えはとても良いし、真剣に取り組めば問題はないだろう。


(問題は私のほうか)


 思えば、ロダンは自分が陽の光が当たる舞台に立つのを避けてきた。


 そこに母のことがあるのは間違いない。


 彼の中でまだ、母のことは飲み込めないのだろう――20代前半なら、当然だ。


 エミリアはロダンのことを知りすぎているがゆえに、一般的なイセルナーレ人から彼がどう見えているかまで気にしていなかった。


(……夜会では大切なことだからね)


 自分はロダンの隣に立つ。

 そこに迷いも恐れもない。


 でも、無策なのは頂けない。


 勝負には用意が必要で、エミリアは決闘でも常にそうしてきた。


 この夜会は勝負の場だ。

 ――絶対に外せない。





 そうして1週間後、エミリアはルルとフォードを連れてレイティアの店に向かい、ふたりの服を用立ててもらった。


 男の子向けの服はそんなに幅がなく、割とすんなり決まる。


 フォードの服は黒の騎士服に似た、格好良い系だ。


(凄くいい……っ!)


 フォードは照れながらもまんざらではなさそうだ。

 姿見の前でくるりと一回りする。


「ど、どう? お母さん……?」

「とても良いわよ! 自信持って!」

「うん……っ」


 実の親ということを差し引いても、フォードの出で立ちは様になっている。


 で、問題はルルだった。

 

 ルルも首元に黒のケープをつけて、フォードの隣にいる。


「きゅい」


 くるっと姿見の前でルルが回る。


「きゅい?」


 さらにもう一度、回る。


「えーと、これは……?」


 レイティアがさすがに困ってエミリアに聞く。


「きゅいきゅい」


 ルルがケープの端をちみっと羽でつまむ。フォードがそれを翻訳する。


「もうちょっと布を長くして欲しいんだってー」

「きゅー」

「はいっ! ただいま!」


 レイティアが機敏に次のケープを取りに行く。


「きゅー……」

「うーん、今のままでもいいと思うけど?」

「きゅっ……!」


 ルルが頭をぶんぶんと横に振る。


 すでに4回目……ルルの納得するモノになるまで、もう少し時間がかかりそうだった。


 ちなみにエミリアは……ケープをつけたルルを見て、前世の記憶を思い出している。


(てるてる坊主……かも……)


 まぁ、可愛いことは可愛いのではあるが。

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― 新着の感想 ―
そういえば、ペンギンのキャラクターで服着てるのって、あまり見ませんね……? 体色がすでに着衣みたいだからでしょうか。
てるてる(精霊)ペンギン(汗) 明日は晴れるかな〜?(笑)
そーいえばルルってペンギン(の精霊)でしたっけ……。 いつの間にかゴマフアザラシに変換されてた!? だって……きゅーって……ゴ◯ちゃんみたいで……(-_-;)・・・
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