表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
3-3 モーガンの杯

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

200/308

200.釣り堀での食事

 ついでに飲み物も頼み、屋台を後にする。


 屋台の近くには木製のテーブルとベンチが並ぶ。

 フードコートのような形だ。


 人はあまりいないので、適当なところに座ってみる。


「美味しそうだねー」

「きゅー」

「頂きましょう!」


 まずはクロダイのお刺身から。

 鯛の仲間らしく締まった白身と、ほのかな血合いだ。


 その身を小皿の醤油に浸して……ぱくりと口に運ぶ。


 弾力ある身と爽やかな旨味が駆け抜ける。

 

 さばきたてなので、熟成した旨味はない。

 だがそもそもの上品な味わいと身を噛む楽しみがとても良い。


「美味しいわね!」

「ぷりっとしてるー!」

「きゅー!」


 ルルがひょいひょいと食べていく。


 まぁ、これについては止められない。午前中も頑張ってくれたので。


 クロダイの焼きは雑多な部位を集めて、焼いたものだ。

 

 引き締まった身を酒類で味付けして、炭火で焼いている。

 香ばしい煙の香りが芝生と湖の野外で食べるのによく似合う。


 焼き魚にはレモンがついていた。

 

「きゅい」


 ルルがレモンを羽でつまみ、慎重に力を込めてレモン汁をかけていく。


 レモンの品種だろうか。酸味はキツくなく、どこか甘さが感じられる。


 そこに野趣あふれる焼き魚の身がとてもマッチしていた。


「この部分は何かなー?」

「きゅきゅい」

「ルルがチョップした頭? へぇー」


 エミリアの家では魚の頭まで食べることはまずない。

 フォードは頭の身をほぐし、もぐもぐと続けて食べる。


「うん、いいね!」

「きゅい!」


 カニ味噌まで好むフォードには問題ないようだ。


 味変で唐辛子をかけたり、醤油をかけても美味しい。


「きゅ〜」


 いいところでルルがジュースを飲んで口の中をリセットする。


 微炭酸のレモネードで口に残った魚の味をリセットして、また食べるのだ。


 で、最後に残ったのがシマイサキの湯通しであった。


 白身に入った脂と丸まった皮。

 小さく一口サイズの身にも、様々な調味料の小皿がついている。


「この赤いのから試してみましょうか」


 粒の入った赤いソースにシマイサキの身をちょっと触れさせ、口に運ぶ。


 このソースはコチュジャンのようであった。

 とはいえ辛すぎはしない。


 豆の熟成させれた旨味と適度な唐辛子のピリ辛――そこに皮の美味しさと淡泊めの白身が重なる。


 魚のしゃぶしゃぶ、とでも言おうか。


(うーん、皮目が本当にいいわね……)


 ルルも気に入ったらしく、一口放り込んでは他のソースを次々に試している。


「きゅい!」

「もう結構食べちゃったねー」


 フォードとルルはまだ物足りなさそうだ。

 

 両方とも30センチを超える魚だが、可食部は意外と多くない。


 まぁ、釣り堀の魚だし。

 まだ時間も餌も残っている。


「他の魚も釣ってみる? そうしたらまた料理してもらえるわよ」

「きゅっ!」

「僕ももっと食べたいな、釣ろう!」


 皿類を返却し、場所を少し変えてみる。

 

 こうしてエミリアたちは色々な魚(小さいのも含めて)を釣って食べて、釣り堀を満喫したのであった。





 同じ頃、ロダンはケースの確認と補強を終えてホテルに戻ろうとしていた。


(……エミリアは何を見たのだろうな)


 ロダンの胸中はざわめいていた。

 杯に触れた後のエミリアがやはり心配であったのだ。


 ロダンとシャレスを前に、説明を躊躇する理由はないと思われた。


 可能性としては息子であるフォードに関わることなのだろう。


(彼はやはり普通の子ではない、のか?)


 色々なことをエミリアから聞く限り、どうも彼は精霊や魔力について極めて鋭敏な資質を持っているようだ。


 イセルナーレ生まれの魔術師では、似たような話を聞いたことがない。


(何もかも自分でやろうとしないほうが、いいとは思うのだが……)


 しかしエミリアの気質では、頼ったり甘えたりは難しいのだともわかる。


 ロダンも同じ性質だからだ。


「ふぅ……」


 髪をかきあげ、空を見上げる。

 秋の日差しはまだ強い。


「ん?」


 そこでふっとロダンは気付く。

 風に乗って、濃密な魔力が街に流れ込んできているのだ。

【お願い】

お読みいただき、ありがとうございます!!


「面白かった!」「続きが気になる!」と思ってくれた方は、

『ブックマーク』やポイントの☆☆☆☆☆を★★★★★に変えて応援していただければ、とても嬉しく思います!


皆様のブックマークと評価はモチベーションと今後の更新の励みになります!!!

何卒、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ルルさんてグルメなんですねー。見習いたいような、たくないような……。だってグルメはお金掛かるからー……。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ