表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
2-4 嵐は過ぎ去り

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

126/308

126.弾ける海の香り

 フォードも本を閉じると、感嘆の声を上げてくれた。

 

「うわぁ、見たことのない料理ばっかりだ!」

「今日は色々と珍しい食材を買ってきたからね」


 というわけで、全員で食事を始める。

 今日の前菜はジャガイモ入りオニオングラタンスープだ。


 手間の関係でオニオングラタンスープはこの世界だとまぁまぁ高い。

 お金を出せば買えるレベルではあるけれど。


 細く刻んだジャガイモ、玉ねぎの甘み、チーズの旨味……。

 どれもが調和して、胃を優しく刺激する。


「うーん、お芋もいいわね……」

「色々と入ってるんだね、もぐもぐ……」


 フォードには野菜も摂ってほしい、そんなわけでジャガイモ入りを選んだけれど正解だった。

 ジャガイモのほくほく食感とスープがよく合う。


「ルルはどう?」

「きゅー!」


 ごっくん。

 ルルがオニオンスープを勢いよく飲み込んで、羽をぐっと掲げる。


「きゅっきゅいっ!」

「美味しいだってー!」

「ふふっ、良かったわ」


 スープ部分は比較的カロリーが少ない。

 これでまずルルのお腹を埋める作戦である。


 そしてスープを楽しんだら――いよいよメインだ。

 卵のムースとキャビアのセット。


 フォードがまじまじと盛り付けられたキャビアを見つめる。


「……これ、卵?」

「ええ、チョウザメの卵を塩漬けしたものね」

「ふぅーん……どうやって食べるんだろう」


 すすっと取り分けたセリスが説明する。


「この下の黄色い部分と一緒にぱくって感じですね!」

「きゅいきゅい……!」


 ルルがふにふにと決意を秘めて頷く。

 この料理なら食べるのも難しくはない。


 スプーンですくってみる。


 ふわっとした弾力と輝く黒の宝石。

 夕陽に照らされ、どこか神秘的な雰囲気さえ漂う。


 それはセリスも同じようで、口に入れる前から微笑んでいた。


「ふふふっ……」

「セリスお姉ちゃん、どうしたの……?」

「これはですね、とーっても貴重なんですよ。めったに食べられません」

「へぇ~……」


 フォードはまだよくわかっていないみたいだ。

 でも、4歳児ならそんなもんだろう。


 食べるものの希少性とか値段とか、気にしなくていい。


 まずはよく味わって、色々なモノを楽しんでくれれば親としては満足だ。

 あとは偏食とか好き嫌いは少なめに……。

 

 エミリアは少し親思考に浸った後、キャビアへと向き直る。

 口を開けてスプーンをそのまま――ぱくり。


「――ッ!!」


 海の香りが一気に脳天を突き抜ける。

 柔らかなムースとぷちぷちキャビアの対比……シンプルであるがゆえに、間違えようもなく強烈だ。


 玉ねぎとネギの刻んだ刺激、わずかな塩胡椒。

 ここにキャビアがこれでもかと旨味を叩きつけてくる。


 極小の海がぱぁっとエミリアの口内に広がっていく……。

 野原の丘から穏やかな海を見下ろすような。


 潮の匂いを野菜が包み、卵がまとめる。

 一番近いのはウニといくらだろうか。


 でもキャビアが内包する旨味が桁違いに大きい。

 やっぱり価格でここまで違うのだ。


 これならキャビアは大量に要らない。

 まろやかな、海の旨味に身を委ねるだけだ。


「ほぅ……」


 思わずエミリアの口からため息が漏れる。

 それはセリスも同じだった。


 放心状態である。


「凄いですね。ここまでパンチがあるなんて……」

「買ってきて良かったわ」

「私もこんなに美味しいのを食べれるなんて、ありがとうございます!」


 フォードはどうだろうかと思ったが……。

 うんうんと頷いて味わっていた。


「味がとっても濃いね、美味しい!」

「大丈夫そう?」

「うん、えーと……カニのぷちぷちに似てるかも!」


 カニの内子か。確かに卵という意味では似ている。

 

「ルルは――」

「きゅい!」


 ルルはすでにスプーンをキャビアに伸ばしていた。

 最速で2口目を頂くつもりだ!


「ルルちゃん!? もう次に行くんですか……!」

「きゅいきゅい……!」


 ま、まぁこれは最上の反応だと思おう。

 次が食べたくなっているのだから。


 他にもカニ、ホタテなど……たくさんの海の幸を皆で食べる。

 一仕事終わった後の宴は最高だ。


 ……もちろんルルの摂取カロリーをコントロールしながら。

 実はホタテのカロリーはパスタの半分以下なのである。


 これで合法ペンギンのままのはずだ。

【お願い】

お読みいただき、ありがとうございます!!


「面白かった!」「続きが気になる!」と思ってくれた方は、

『ブックマーク』やポイントの☆☆☆☆☆を★★★★★に変えて応援していただければ、とても嬉しく思います!


皆様のブックマークと評価はモチベーションと今後の更新の励みになります!!!

何卒、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
チョウザメって、淡水魚じゃなかったかな……? キャビアに海の香りを感じるなら、それは塩分由来では……? そんな疑問は、この呪文で解消! 『ここは異世界』
料理、美味しそうですね(特に卵のムースとキャビアのセットが) いいなぁ〜、キャビア食べられて(´・ω・`)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ