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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
2-4 嵐は過ぎ去り

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125.キャビア

 キャビア。それは海の宝石。

 チョウザメ類の魚卵をほぐし、塩漬けしたもの。


 前世において、当然だがキャビアは高級品である。

 チョウザメの種類によって値段は上下するものの、チョウザメ類はすべてワシントン条約の対象であり、厳しい制限が課せられる。


 では、養殖すればいいじゃないか。

 その通り、世界に流通するキャビアの90%は養殖だ。


 なのに、なぜあんなにキャビアは高価なのだろうか?

 それはキャビアが採取できるまで、なんと10年近くチョウザメを生育しなければならないからだ。


(はぁ……お金がかかるわけよね)


 ではイセルナーレのキャビア事情はどうだろうか。

 実は……イセルナーレのキャビアはそこそこ安いのである。


 少なくとも、前世の日本よりはずっとお手軽に手に入った。

 もちろん、これが永久に続くかはわからないけれど……。


 貴族用のキャビアは目玉が飛び出る値段だそうだが、庶民向けキャビアは――感覚的にはいくら程度だ。

 1食がっつり食べると1000ナーレ=2000円くらい。


 で、エミリアが今回買ってきたキャビア缶は3000ナーレ。

 ちょっとお高めな6000円くらいのキャビアである。


「ウォリスではキャビアは高級品ですからね」

「……そうよね」


 チョウザメ類は残念ながらウォリスには生息していない。

 なのでキャビアが獲れることはなく、すべてが高級品だ。


 さらにイセルナーレはキャビアの輸出を厳格に管理している。

 キャビアが作れる国は多くないため、戦略的に稼いでいるのだ。


「実家でもキャビアは晴れの日にちょこんと出るくらいだったわ」 


 ウォリスにおけるキャビアの値段はイセルナーレの5倍以上。

 さすがの上級貴族でも、おいそれとキャビア祭りは開催できない。


「でも今日は一仕事終わったし。セリスさんにもキャビアを食べてもらいたくて」

「エミリアさん……っ!!ご馳走になります!」


 セリスが手を合わせて感動してくれる。

 実にいいリアクションをしてくれるので、奢り甲斐があるというものだ。


「それで――ど、どどうやって食べるのですか?」

「ちゃんとその辺もリサーチしてあるわよ」


 というわけで、イセルナーレの料理本から学んだキャビア料理を作っていく。

 

 家庭でもできるレベルなので、そこまで大変じゃない。

 まずは玉ねぎとネギを荒く刻む。


 そして卵を割って、胡椒と塩で味付けしてよく混ぜる。

 湯せんをしながらさらにまぜまぜ……。


「なめらかになってきましたね」

「この火加減が重要らしくて、うん……もういいかな?」


 ムース状になったら引き上げて、生クリームを投入する。

 黄色いマヨネーズみたいになってきた。


 最後に刻んだ玉ねぎとネギを加え、こねこね……。

 そしてお皿に盛り付け、上部にキャビアをトッピング。


「よし、これで完成よ!」


 卵のムースとキャビアだ。


 で、他にも色々と惣菜を用意する。

 テイクアウトがあるのがイセルナーレのいいところだ。


 カニやホタテを並べ、トッピング。

 チーズやソースを織り交ぜるだけでこれらは美味しくなる。


 で、キャビアを使った料理をもうひとつ。


 冷凍済みのサーモンの刺身を叩き、そこにキャビア。

 これはシンプルだけどきっと良いはず。


(ふっ、守りに入ってしまったわ)


 食事の用意ができると夕方近くになっていた。


 テーブルの上では本を読んでいるフォードが、ルルを縦から横にしている。

 つまりルルを腹這いにしたのだけれど……。


 なぜだか本とルルを見比べ、首を傾げていた。

 何か引っかかったことがあるのだろうか。


 まぁ、それは後でもいいとして――。


「夕食にしましょう! 今日はいっぱい食べるわよ!」


 エミリアのその言葉にもっとも反応したのはルルだった。

 羽をしゅっと動かし、振り向く。


 早い。ペンギンらしからぬ高速回転だった。


「きゅー!」


 その瞳には豪華な夕食の数々、カニやホタテ、キャビアが映り込んでいた。

キャビアと卵は非常に相性が良いのです!


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― 新着の感想 ―
フォードくんが、ルルを腹這いにして首を傾げていたのは、まさかのルル肥満フラグ……?
異世界だからキャビアを海の宝石って言ってるんですよね? 実際のチョウザメは淡水魚です。養殖も海じゃないです。湖とか淡水の生簀です。チョウザメの卵を『塩漬け』にしているので、海水と勘違いされそうですけど…
「きゅー!」""∈(⸝⸝♡♢♡⸝⸝)∋""
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