105.元気チャージの時間
「きゅいきゅいきゅいきゅい」
ぽよぽよぽよっ。
港から帰宅したエミリアはソファーに寝転び、ルルと戯れていた。
寝転んだエミリアの顔面の側頭部をルルが押す。
エミリアの顔の前にはルルの素晴らしい、もふっとしたお腹が広がっていた。
「はふ……」
「きゅいきゅいきゅい!」
ルルの羽がむきゅむきゅと側頭部を刺激する。
これは断じてペンギン酷使ではない。
必要な運動なのだ。
(……横幅が少し大きくなっていたのよね)
これまでルルの横幅は20センチだったが、今は22センチだった。
たった2センチではあるが、1割増しである。
運動が不足しているのかもしれない……。
ということで、ルルにお願いして動いてもらっているのだ。
(これも合法ペンギンでいるためだからね……)
もっふもふ。ルルの羽を耳元で感じる。
エミリアの前のルルのお腹がたっぷたぷ揺れる。
「ルル、いい感じに動けてるねー」
ちなみにフォードはルルのトレーナーだった。
ルルの頭を撫でながら運動を見守っている。
「きゅい!」
「うんうん、もっとお腹を押しつけて―」
「きゅっきゅい?」
「そうそうー、そんな感じー」
もっふもふふ。
エミリアが顔面すべてでルルのお腹を感じる。
ふわっとしてて、さらさらで。そして……温かい。
日々、丸洗いしているので石鹸の匂いがする。
(石鹸を変えるのもいいかも……)
そうすればルルから別のいい香りがするのでは。
次に石鹸を買う時に変えてみよう……。
ルルの運動が終わった後は、マッサージだ。
エミリアとフォードがうつ伏せのルルの筋肉をほぐす。
「ぽよぽよ~」
「きゅいきゅいー」
フォードは背中からお腹にかけて、エミリアはルルの頭部を。
エミリアは小さなブラシでルルの頭の毛並みを整える。
運動をした分、アフターケアもしなくては。
今日は色々とあった。
異質なルーン、金庫……。
作業は順調に進んでいたが、どこか胸騒ぎがする。
いや、ロダンに任せておけば大丈夫なはずだけれど……。
「ねぇ、お母さん……最近、暑くなくなってきたね?」
フォードがルルの背中側からお腹に手を伸ばしている。
もみもみもみ……。
ルルは気持ち良さそうだ。
「そうね、もう8月も終わりだもの」
「お仕事のほうは大丈夫そう?」
おずおずと聞いてくるフォードにエミリアは頷く。
「もう少しで今の大きなものも終わりかな?」
「そっか、よかった……。最近、ちょっとお疲れかもって思ったから」
「大丈夫よ。あなたとルルがいるもの。それにセリスさんもね」
そういえば、という顔をフォードがした。
「セリスお姉ちゃん、そろそろお引っ越しじゃなかったけ?」
「そうね、下の階に引っ越し予定よ」
ぱぁっとフォードが顔を輝かせる。
両腕でルルの脇を揉みながら。
「じゃあ、お祝いしないと!」
「きゅいー!」
フォードとルルの申し出をエミリアは嬉しく思う。
お世話になっている人に感謝を伝えるのは大切だ。
「ふふっ、そうね……クッキーとかどうかしら?」
「僕もお料理していいの?」
「私がそばについているから、大丈夫よ。そのほうがセリスさんも喜ぶと思うわ」
「そうだね……! お母さんが手伝ってくれれば安心!」
クッキーの生地を混ぜるところと型抜きならば大丈夫だろう。
こういうことを教えるのにいい機会のはずだ。
フォードがルルの顔を覗き込む。
「ルルも手伝うよねー?」
「きゅっきゅい!」
わたしに任せなさい。
そんな顔をルルがしている。
……羽毛が入らないようにはしないと。
でもペンギン印のクッキーか。
エミリアもちょっと食べたくなってきた。
(◍ ´꒳` ◍)ノシ きゅむきゅむむ
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