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じゃあ俺、死霊術《ネクロマンス》で世界の第三勢力になるわ。  作者: 万怒羅豪羅
17章 再会の約束
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(桜下!まずは、敵の魔法を知らないと!)


「おっけー!確かにこっちだけ知らないってのも、不公平だよね!」


まずはドルトヒェンに、手の内を明かしてもらおう!


「フェアに行こうじゃない!ガスト・オブ・スカイラーク!」


ロッドに魔力を込める。塵が集まり、無数の鳥へと姿を変える。このロッドを媒体にすれば、こちらも詠唱をスキップできる。だけどこの方法は、諸刃の剣だ。魔力の消費量が、何倍にも膨れ上がるから。だからこそ、向こうにだけ休まれるわけにはいかない!


「かける二十!」


(ええっ)


ライラの驚きも無視して、ボクは通常の二十倍の小鳥を出現させた。それは一般的に大群と呼ばれる規模であったし、鳥たちの持つ意味を考えれば、砲弾の雨あられとも言えるだろう。


「いっけー!」


ダダダダダッ!小鳥たちが、ミサイルのように突撃していく。ドルトヒェンは一瞬迎え撃とうか迷った様子を見せたけど、すぐに走って逃げだした。魔法を使わない気?こっちの意図に気付かれた?どっちにしても……


「逃がさないよ!」


ボクが手を振ると、小鳥たちもぐいんと軌道を曲げて、ドルトヒェンを追う。三百六十度、どこにも死角はないぞ!

やがてドルトヒェンは、壁際に追い詰められた。チェックメイトだ!


「つっかまえ……」


え?ドルトヒェンは、すぅと息を吸うと、両手を前に突き出した。


「エクシチューム!」


パァーン!彼女の両手から、弾けるような衝撃波が放たれた。まさしく煙が吹き飛ばされるように、小鳥の大群はかき消されてしまった。


「うっそー!?」


(あいつ、ただ逃げてたんじゃない!壁を背にして、まほーの有効範囲に、鳥を誘導したんだ!)


くっそ、やられた!ボクは悔しさを堪えて、にやりと笑う。


「やるじゃない、おねーさん」


ドルトヒェンは涼しい顔で、顔に掛かった前髪を払う。


「お褒めにあずかり光栄です。ですがこう見えて、かなりギリギリなのですよ、こちらも」


「あら、そう?だったら嬉しいねぇ」


くっ。ピキピキと青筋が浮きそうなんですけど。


(桜下。あの人の……じゃないや、あの魔族の言ってること、たぶん嘘じゃないよ)


「え?ライラ、それほんとう?」


(よく見て、魔力が乱れてる。疲れてるんだよ)


ありゃ、ほんとだ。さっきまで綺麗に集約していた魔力のラインが、今はノイズが走ったように乱れている。


「なるほど、青天井ってわけじゃあないんだね」


それなら、条件は五分と五分だ。てことはこの戦い、そう遠くないうちに、決着になりそうじゃないか。


「短距離走なら、出し惜しみはナシだ。フルスロットルで、飛ばしていくよ!」


どのみちボクらも、持久戦は得意じゃない。なら取るべき作戦は、ガンガンいこうぜだ!


「ジラソーレ!」


ボウッ!僕のロッドから、燃える火の玉が発射される。対してドルトヒェンは、手のひらをこちらに向けた。


「コメット!」


シュウウウウ!青い流星が真っすぐ飛んできて、火の玉にぶつかった。

ガガーン!火の玉が爆発四散した。黒煙が視界を遮る。けど、ボクには魔力が見える!


「バンブーシュート!」


「エクシチューム!」


間髪入れずに次の魔法を唱える。ボクの放った石筍は、正確に敵の魔法とぶつかった。スガーン!ガラガラガラ!二度の魔法の相殺によって起こった黒煙と砂煙とで、目の前がすっかり覆われてしまった。


「げほ、けほ!さすがにこれじゃあ、なんにも見えないね」


(桜下!なら、目を呼び出して!)


「いいね!それ採用!ダンデライオン!」


ズズズズ……スガガ!床を砕くようにして、太い前足と、たてがみのついた頭が生えてくる。岩石のライオンが、ボクの前に姿を現した。


「いけっ!」


ライオンは一声吠えると、煙の中に飛び込んでいく。少しすると、煙の向こうで、何かが光った。


「トライウィザード!」


グシャ!何かが砕ける音と、続けて、煙が激しく渦巻く!


(くるよ!)


「うん!」


ボクは空気を蹴って、宙へと舞い上がった。煙を突き破って、光り輝くオーブが飛び出してくる。オーブは今さっきまでボクがいたところをすっ飛んで行き、壁にぶつかって弾けた。


「くっそー。攻撃を防ぐどころか、撃ち返してきたよあいつ。やるなぁ」


(感心してる場合じゃないよ!)


「はーい。けど、困ったな」


煙が晴れると、その奥から、無傷の姿のドルトヒェンが現れる。ボクが呼び出したライオンは無残にも、そのわきで粉々に砕かれていた。


「……驚きました」


「うん?なにが?」


「あなたはこれまで、風、炎、そして地の魔法を使いましたね。つまりあなたは、三つの属性を魂に有しているということですか」


「へえ……さすが。詳しいね」


「三属性の魔術師は、人間では極めてまれだと聞いておりますが。勇者の成せる業、ということですか」


「ま、そーいうことにしといて。あ、でもおねーさんのことも、なーんとなく分かってきたよ……おねーさんの魔法、原理は分からないけど、ぜんぶ無属性魔法だね?」


さて、ちょっぴりカマも掛けているけど……どう出てくるかな?

誤魔化してくるかもとも思ったけれど、意外にもドルトヒェンは、あっさりそれを認めた。


「ええ。わたくしたち魔族の魔法は、主に無属性が中心です」


「へぇー……びっくり」


「驚かれることですか?無属性魔法は、もっともありふれた魔法でしょう」


「だからこそ驚きなんだよ。普通、無属性魔法は、威力が出ないものでしょ?」


無属性魔法は、世界に普遍的に存在する、マナと呼ばれる魔力を利用する。だからこそありふれていて、強くないのが一般常識なんだ。少なくとも、人間の間では。


「だけどおねーさんの魔法は、ボクのを全部打ち負かした。面目丸つぶれだよ、もう」


「わたくしの種族は、マナの扱いに長けているようです。あなた方人間が知覚できない、より微細なマナまで使用することができますから。その為ではないでしょうか」


「ふーん……にしてもおねーさん、ずいぶんあっさり、手の内を明かしてくれるね?」


「構いません。この程度を明かしたところで、戦況に影響を与えることはないでしょうから」


むっ。その発言、場合によっちゃ、ボクを舐めているってことにならない?それにさっきから、全然顔色も変えないし。余裕しゃくしゃくってこと?


「……よぉーし。それじゃ一発、驚かしちゃおっかな!」


その冷たいお面を、引っぺがしてやる!ボクはロッドを強く握ると、意識を集中した。


「アメフラシ!デザートラット!!ウィンドローズ!!!」


(い、いっぺんに三つも!?)


さあ、とくと見よ!闇雲に連発したわけじゃないぞ。これは連発じゃなくて、連結だ!



つづく

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読了ありがとうございました。

続きは【翌日0時】に更新予定です(日曜日はお休み)。


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