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嫉妬  葵目線

短めです。

 命に会いたいと言われて、無理矢理泊まる事を了承させ迎えに行くことになった。

 命の゛会いたい゛の破壊力が凄すぎた。

 俺の会いたいがあふれでた。


「迎えに行く」


 口をついて出てしまった。

 気持ちが先走り、車の鍵を掴んでいた。

 迎えに行く間も楽しくて嬉しくて早く会いたくて、女にこんな感情抱いたのだって初めてだ。

 こんなに幸せな気分で命のマンションについた時、俺は心臓を鷲掴みにされたような息が出来なくなるような気持ちにシフトチェンジさせられた。

 スマホ片手にため息をついているのは、命の前彼じゃねえか!


「貴方は何をしているんですか?」


 怒鳴り付けたいのを我慢して声をかけるとムカつく笑顔を向けられた。


「今晩は………」

「命に何か?」

「食事に誘おうと思いまして」


 てめえはもう命の彼氏じゃねぇだろ!

 命は俺のもんだ~!

 思わず睨みあっていると命がマンションから出てきた。

 命は前彼を見ると嫌そうに顔を歪めた。

 前彼はあろうことか命にプロポーズしやがった。

 しかもコイツと別れてから男を作らなかったって聞いて、もしかして命はコイツのことまだ引き摺っているんじゃないかって不安が押し寄せた。

 それを命は一言で振り払った。


「結婚するのは………葵さんが良い」


 心臓を鷲掴みにされた。

 俺が幸せにする。

 命が思い出した時に幸せになれるようなプロポーズをする。

 俺は車に命を押し込んで自分家に急いだ。

 車の中でちゃんと俺からプロポーズするって宣言すると命はそっぽ向いて窓の外を眺めていた。

 ただ、車のガラスに映る命は幸せそうなヘニャリとした笑顔で可愛かった。

 写メ撮りたい。

 たぶんフラッシュたいたら写らないだろう。

 隠し撮りじゃないとこの顔はしてくれないだろうな。

 しかも、運転中だから凝視も出来ねえ。

 

「命、何食べたい?」

「………」


 命はゆっくりと俺の方を見た。


「メシ食っちまったか?」

「食べてない………今から作るの大変だよね?」

「気にすんなよ」

「外食しようよ。私奢るし」

「いやいや、奢るけど………命」

「何?」

「お前は俺に甘えてれば良いんだぞ」

「………」

「俺はお前を甘やかしたいんだ。いつも頑張ってんだから俺の前では力抜けよ」


 命はまたそっぽ向いてしまった。

 ガラスに映る命は泣きそうに見えた。


「命?」

「葵さんは私に甘えたくないの?」


 え?それは何を言えば正解だよ。


「………甘えたいよ。だから今日抱いて良いか?」

「だ、ダメ」

「でも、他は命に甘えるような事無いし」

「………」


 命は耳まで真っ赤になりながら俺の腕をツンツンして言った。


「一回だけね」

「へ?」

「あ、明日動けないと困るから………」


 ヤベエ~鼻血出そう。

 可愛すぎる。


「煽りすぎだ」

「あ、煽ったんじゃないよ!」

「とりあえず、スタミナあるもの食いに行くか!」

「な、なんで!」

「するから」

「直球!オブラートって言葉知ってる?」

「焼肉行くか」

「焼肉嬉しいけど……」

「旨い店知ってるからまかせろ!」


 俺は焼肉屋までの道のりをウキウキしながら運転した。

 命はずっとソワソワして可愛かった。

 ああ、命と結婚したいな~。

 俺はそんなことを生まれてはじめて思いながら命の顔を盗み見るのだった。

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