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53 いざ旅行準備!


 マーサの提案した新婚旅行が実行されることは即決であった。

 魔神王アルディエルに至ってはマーサが何か言う前から賛成であったし、唯一窘めることが出来るであろうメルドも反対する気はなかったからだ。

 かくして、新婚旅行を実現する為に地獄の一週間が幕を開けた。


「それではアルディ様、次はこちらの書類をお願いします」


「うむ、そこに置いておくのである」


「はい。では次にこの書類を」


「そこに置いておいてくれである」


「しかしアルディ様、もう置く余地がありません。床に置いておきますがよろしいですね?」


「ええい、吾輩の机が埋まる程持ってくるでないわ!!」


 キレたアルディの姿は書類の山で遮られていて、メルドからは全く見えない。

 それでもあまりの仕事量に爆発したその姿は簡単に想像することが出来た。


「しかしアルディ様、侵攻を控えている中長期のお休みを取るのですから、これくらいはこなしていただけませんと」


「ぐぬぬ、いやしかし、旅行に行く前に吾輩死んでしまうのである」


「これでもかなり削ってあります。それでも無理だと仰るならアルディ様はお留守番ですね」


「吾輩も主役であるが!?」


「マーサ様の為にこの程度の困難で挫けているようでは新婚旅行へ行く資格などありません」


「ぐはっ!?」


 天を仰いで崩れ落ちるアルディ。

 この魔神王、夏休みの宿題は夏休みが終わってからやるタイプ。

 運営がそう設定した訳ではないが、自然とそうなっていたのだが、つまりは計画的に仕事を進める等苦手も苦手。

 しかしこの時ばかりはアルディも投げ出す訳にはいかなかった。


「マーサとの旅行の為! 吾輩はやれば出来る子ー!!」


「はい、アルディ様はやれば出来る子です」


 うず高く積まれた書類の向こうでバリバリと案件を処理していくアルディ。

 そんな光景をドアの隙間からこっそり覗いていたマーサは、これまたこっそりドアを閉めた。


(アルディちゃん、私の為に頑張ってくれてる。邪魔しないようにしないとだね)


 二人の寝室に戻ったマーサは、ぼふりとベッドに倒れ込んだ。

 顔が枕に沈み、どこか安心する香りが鼻をくすぐる。

 しばらく深呼吸した後は上体を起こし、傍らに寄って来ていたペットのミヤへと抱き着いた。


「ミヤもモコモコだねー。これはもうカシミヤ山羊間近じゃない?」


「メェ」


 ミヤは立派な角とモコモコとした紫色の毛皮を纏う立派な暗黒山羊へと成長を遂げていた。

 暗黒成分がマシマシだが、これは魔神王城に住む魔神達や魔界のモンスターの素材を使用した影響が強い。

 自分達も撫でろと寄って来ていたペガとグリも同じ素材で転生している為、三匹共に暗黒オーラが滲み出している。


「そういえば君達、レベルいくつになったのかな?」


「ヒヒン?」


「ピィ?」


「メェ」


「ふふ、えーっとステータスステータス」


 首を傾げながら鳴くペガとグリ。

 知らんと言わんばかりに短く鳴いたミヤ。

 そんな光景に思わず笑みを零しながら、マーサはペット達のステータスを探す。

 しばらく確認していなかった為少し手間取ったがすぐに開くことが出来た。


≪ペガ≫

種族:暗黒馬(ダークホース)

LV:50(MAX)

HP:6251

MP:1214

スキル:突進 速度上昇 疾走 暗黒のオーラ ダークステップ


≪グリ≫

種族:大鷲

LV:50(MAX)

HP:4582

MP:968

スキル:ウインドアロー 飛翔 一撃離脱 ブレイジングバースト 鷹の目


≪ミヤ≫

種族:暗黒山羊

LV:50(MAX)

HP8846

MP:811

スキル:睡眠魔法 脚力強化 鋼鉄羊毛 自然治癒 弾力強化


「わ、もうレベルが最大値になってる! 皆すごーい!」


 喜びながらマーサはペット達を撫でまわす。

 三匹も揉みくちゃにされつつ揉みくちゃに仕返し、とても楽しそうである。


「それにしてももう最大値かー。確かに鉱山ではいっぱいモンスター倒したけど、経験値が多かったのかな」


 マーサのペット達への経験値配分と、装備による経験値アップ。

 そしてそれなりの経験値を持っているプリザーブドプリズムをしばらくの間狩場にこもって狩り続けた結果なのだが、本人は全く自覚していなかった。

 自身も結構なレベルアップを果たしていることに気付くのはもう少し先の話である。


「次はもう進化しか出来ないんだね。それじゃあ進化しちゃう?」


 転生して更にレベルが上限へ達したペットは、進化をすることで上限が解放されると同時に新たな姿とステータスを得る。

 進化先を選ぶことが出来ず、これまでの育成方法やステータス、そして転生時に使用した素材等ありとあらゆる要素をひっくるめて決定されるのだ。

 

 マーサの問いかけに、ペット達は迷いなく頷いた。

 更に強くなってマーサの役に立てるのならば迷う事はないと、三匹共が思っていた。


「それじゃあ進化押すね、またね皆、待ってるよ!」


 ≪はい≫のボタンを押すと同時に、三匹のペットは光に包まれて消えた。

 進化を実行したペットはしばらくの間眠りにつく。

 そして準備が整った時、新たな姿となって甦る。

 システム上は一日~三日の間でランダムと決まっているので、しばらく待てば自動的に進化は完了する。


「ちょっと寂しいけど、楽しみだなー。ペガサスやグリフォンは憧れるけど、どんな進化しても可愛がるからね、ペガ、グリ、ミヤ」



三匹のペット達はとある共通点のもと選んでいます。

なので進化先も珍しく先に決めた上で登場しています。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  再開じゃーーー!ヽ(´∀`≡´∀`)ノ [一言] >三匹のペット達はとある共通点のもと選んでいます。 >なので進化先も珍しく先に決めた上で登場しています。  へー。  山羊以外が蛇と獅…
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