表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/66

4 いざステータス! ☆

本日二回目の更新です!


 マーサは三日間、ゲームの中ではひたすらピッケルを振り続けた。

 最初はメリアの指示に従っていただけだったが、段々と楽しくなってきた。

 今までピッケルを振って鉱石の採掘などしたことがなかった為、とても新鮮に感じたのだ。


 また、一度やり始めたら熱中するマーサの性格も一つの要因だった。


「ただ叩くよりも、このくらいの角度で刃先を入れた方が手ごたえがいい気がする……?」


 ガッ。コンッ、コロコロ。


「……うんうん、やっぱり違うね! 当たる場所によっても微妙に違う気がするかな? もっと色々試してみなきゃ!」


 こうしてマーサはスキルの性能も十分に発揮して、楽しんで採掘生活を送った。


 三日という時が過ぎるのはあっという間だった。

 正午丁度から一般プレイヤー達がログイン可能となる今日こそが、正式な意味でのサービス開始日となる。


 正午の五分前、一番最初の拠点となるスターレの街からほど近い山岳エリアの崖にマーサはいた。

 飽きもせず、ひたすらにピッケルを振るっていたのだ。


 ピピピピピ。

 事前にセットしていたアラームが鳴ってようやく、マーサはその手を止めた。

 

「あ、もうこんな時間。熱中してたら三日間なんてあっという間だったなー。んんー……ぷはぁ!」


 ピッケルをストレージに放り込み、ぐぐっと背中を伸ばした。

 筋肉が伸びる心地よさが溜まったところで大きく息を吐いた。

 ゲームの中とは思えない心地よさに、マーサはすっかりご満悦だ。


「メリアちゃんとの待ち合わせは十九時だから、しばらく寝よーっと」



 ▽



 マーサは目を覚ますと、簡単な食事を済ませてすぐにログインした。

 徹夜明けの疲れなど感じない程に、≪CPO≫の世界にのめり込んでいる。


 視界が切り替わると、薄暗くなった街並みが広がっていた。

 溢れかえるプレイヤー達。

 話題の最新ゲームは伊達ではない。

 超クオリティーのVR世界を楽しもうと、沢山の人が押し寄せていた。


「うわぁ、すっごい人! 邪魔にならないように避けておかないと」


 人混みを避けるように、待ち合わせ場所へと向かう。

 以前と同じ西の門。

 その途中、男女の話声がマーサの耳に入った。


「ステータスってどう振ったらいいんだ?」


「は? キャラメイクん時に説明されてたろ?」


「されてたが、よく分からんかった」


「マジかお前。ステータスとスキルはこのゲームの肝だぞ。適当に振ったりしたらゴミ扱いされて一生ソロだぞお前」


「うっへ、マジかよ。まだ振ってないから説明してくれよ」


「はぁ、しょうがないな、よく聞いてろよ」


 気心の知れた二人の男の会話のようだった。

 その内容に、マーサは興味を持った。


(ステータスとスキルって、そういえば私もちゃんと知らない気がする。全部メリアちゃんに任せちゃってたし……。やっぱりそういうのって良くないよね!)


 マーサは、ゲームに疎い。

 ≪CPO≫の基本操作すら、採掘に必要な部分だけしか教わっていない。

 それらは正式サービスが開始してから説明すると、メリアがそう約束してくれたからだ。


(まだ待ち合わせまで三十分もあるし、自分でも少しは調べておかなきゃ!)


 マーサは二人の男に駆け寄り、元気な笑顔を向けた。


「すみません!」


「うぉ……!?」


「なんだ……!?」


「私もステータスとスキルに関してよく知らないんですけど、教えてもらってもいいですか!?」


「お、おう? いいんじゃねーか? なぁ、俺のついでに教えてあげても」


「おう、勿論いいぜ。むしろこいつなんて放っといて丁寧に教えてあげちゃうぜ」


「おい」


「嘘嘘、冗談だって。そんな怖い顔すんじゃねーよ」


「ゲームだからって女の子に変な事したら通報するぞ」


「そっちかよしねーよ! いやマジでしないからほんと止めてください!」


「まあ、説明してくれるらしいよ」


「そんじゃま、いっちょ説明すっかね」


「あはは、ありがとうございます!」





「まだ時間もあるし、一度ステータスをしっかり確認しておこっと」


 マーサは親切な男性プレイヤーの説明を聞き、ステータスとスキルについて知識を得た。

 あくまでも基礎的な知識ではあった為、おさらいを兼ねて自分のステータスを確認することに決めた。


「ステータス!」


 ヴィン、という音と共に半透明の青いウインドウが現れた。


≪マーサ≫

クラス:プリンセス

Lv:1

HP:20/20

MP:10/10


Str:0

Vit:0

Agi:0

Dex:0

Int:0

Luc:100+10


【装備】

頭:

肩:

上半身:初心者の革鎧

下半身:初心者のハーフパンツ

右手:初心者用短杖

左手:初心者用小盾

足:初心者ブーツ

装飾品:

装飾品:


【クラススキル】

魅了

幸運の星


【一般スキル】

ドロップ率向上(中)

レアリティ向上(中)

採掘術(中)

運搬(小)


【称号】

なし


「ええっと、Strは力、Vitは体力、Agiは素早さ、Dexは器用さ、Intは魔法力、Lucは幸運、だったよね」


 教えてもらった内容を呟きながら文字を目で追っていく。

 自分のステータスを始めてじっくりと見たマーサはとあることに気が付いた。


「幸運にしか振ってない……?」


 幸運以外の数値は見事にゼロだった。


「でもメリアちゃんが私の為に考えてくれたんだから、これが一番あってたんだよね。それでええっと、スキルは≪クラススキル≫と≪一般スキル≫に分かれてて、≪クラススキル≫はクラス特有のスキルで、レベルを上げていくと習得出来るんだよねー」


 マーサが習得している≪クラススキル≫は、≪魅了≫と≪幸運の星≫の二つ。

 

「これって、メリアちゃんがくれたデータには載ってないけど、なんだろう……多分読んでも分からないから後でメリアちゃんに聞こうっと」


 βテスターがβテスト時にランダムで選択されていたクラスを選択すると、ボーナスが得られる仕様であった。

 それはステータスポイントやスキルとして反映される。

 マーサの場合は、≪魅了≫という一つのスキルを得た。


 効果は、一番最初に五秒間目を合わせたNPCを魅了し、支配下に置くというもの。

 βテスト時は街のNPCを魅了して遊ぶくらいしか使い道の無かった外れスキルである。


「≪一般スキル≫は行動で習得出来るスキル。最初は低い効果でも使っていくと成長する。だからメリアちゃんにもらったデータだと≪採掘術≫は極小なのに、中なんだね。あはは、おもしろーい!」


 キャラメイク時に≪一般スキル≫を三つ習得出来る。

 メリアは≪ドロップ率向上(極小)≫、≪レアリティ向上(極小)≫、≪採掘術(極小)≫を習得させたのだ。

 そしてマーサの的確な反復により、スキルが成長した。


「よし、しっかり確認したし、メリアちゃんまだかなー」


 ステータス画面を閉じたマーサは、ご機嫌な様子でメリアの到着を待った。



少しでも興味を持っていただけたら、評価&ブックマークをお願いします。感想等も是非お願いします!

作者のモチベーションが上がりますので是非!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] → 効果は、一番最初に五秒間目を合わせたNPCを魅了し、支配下に置くというもの。 この説明文から魅了の効果は"魅了"という状態異常にするのではなく、使用した相手に好意を植え付けるという…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ