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39 いざ鉱山攻略!


 アイン大鉱山へと突入したマーサは、早速装備を変更した。

 魔神王アルディからもらった≪闇紫シリーズ≫だ。

 魔神姫であることがばれないよう初心者装備に身を包んでいたが、アイン大鉱山は立ち入り禁止になっていて誰とも遭遇する恐れが無い。

 討伐クエストをスムーズに進める為にも、万全の状態で向かおうと考えたのだ。


「よし、着替え完了! あとは、ペガとグリも出ておいで!」


 ボワッと湧いた光の中から、大きな馬と大きな鷲が現れた。

 マーサのペットの残り二匹である。


「元気してた? ここなら他の人はいないから、一緒に行けるよ!」


「ヒヒン!」


「ピィ!」


 ペガは鼻先をマーサの頬へ擦り付ける。

 グリはマーサの肩へ飛び乗り、頭頂部へ頭をこすり付ける。

 街の住人達に怪しまれないため送還されていた二匹の、それぞれの愛情表現である。


「それじゃあプリザーブドプリズム討伐に出発!」


「ヒヒン!」


「ピィ!」


「メェ!」


 マーサ達は意気揚々と鉱山の中を進み始めた。

 通路は高さも横幅も三メートル程。

 鉱山らしく、地面にはトロッコ用の小さな線路が敷いてある。

 更に土の部分も凸凹で足場が悪い。


 しかし、マーサのペット達には関係なかった。

 物凄いスピードで駆け抜け、通路上にいるプザーブドプリズムを粉砕していく。


「もー、皆早いよー」


 マーサとミヤは粉砕されたモンスターから出たドロップアイテムを拾いながら追いかける。

 グリとペガはしばらく行った先で立ち止まり、マーサが追いつけばまた走り出す。


 そんな調子で、気付けば三時間程が経過した。

 アイン大鉱山1Fのモンスターは一定時間で復活する時間沸きと、倒した瞬間どこかで復活する即湧きの比率が即湧きの方が多い。

 その為、どれだけ狩り尽くそうとしてもモンスターがいなくなることはない。


「沢山倒したと思うけど、いなくならないね」


「メェ」


 マーサがそのことに気付くのに三時間かかってしまったのだ。

 今回受けたクエストは≪プリザーブドプリズムの討伐 30体≫。

 指定された数を倒して報告するだけという単純なものだ。

 しかし、マーサは事態を解決するくらいのつもりでここへ来た。

 だからひたすら狩っていたのだ。

 だが、このままでは意味がないであろうことに薄々気づいてしまった。


「うーん……それじゃあさっき見かけた通路の先に進んでみよっか。奥に何かあるかもしれないし」


 マーサはタフだった。

 集中すると同じ作業の繰り返しでも苦ではない性格と相まって、三時間程度の狩りで根を上げる事はない。

 ダンジョンを探索する内に見つけた地下への通路の先へ向かうことにした。


 下へ向かう坂道の先は光の渦がある。

 そこへ入ると、坂道の下へと到着していた。

 アイン大鉱山B1Fである。


 マップの風景自体は先程とほとんど変わらないが、通路が広くなっている。

 そして配置されているモンスターの数も少し多い。


「ここはさっきとは違うマップなのかな。とりあえず、回りながら狩って行こっか」


「ヒヒン!」


「ピィ!」


「メェ」


 場所が変わってもやることは変わらない。

 ペガが突進しグリも魔法を放ちながら突進する。

 マーサとミヤは後を追って歩きながらアイテムを回収する。

 

 プリザーブドプリズムは、強さはそこそこだ。

 一対一であればレベル30程度のプレイヤーならば苦戦せずに倒すことが出来る。

 厄介なのはその数で、数発で倒すことが出来なければどんどん囲まれ、嬲られる。

 それ故にプレイヤーの適性レベルとしては50程度の想定の狩場である。


 しかし、ペガとグリの攻撃が一回ずつヒットすれば確殺がとれているので囲まれることもなく、スムーズに狩ることが出来ていた。

 故にマーサとミヤの仕事はアイテムを拾うだけなのである。


「見て見てミヤ、綺麗な宝石だよ」


「メェ」


 そうして散策していると、ペガとグリが歩みを止めた。

 マーサ達が追いついても駆け出さないのである。

 警戒するように前方に見える広い空間を睨んでいる。


「どうしたの?」


「ブルルルル」


「何かいるの?」


「ヒヒン」


 マーサは、開けた場所の奥の方をじっと見てみた。

 太陽の届かない鉱山なので暗くはあるが、そこら中にいるプリザーブドプリズムやその残骸がぼんやりと光っているお陰でなんとか見える。

 マーサの目は奥の壁にうごめく何かを捉えた。


「何か大きいのがいるね」


「ピィ」


「それじゃあ行ってみようか。もしかしたら、あれが原因なのかもしれない」


「ヒヒン!」


「ピィ!」


 マーサの言葉に応えるようにペガとグリが飛び出した。

 開けた空間にはそれなりの数のプリザーブドプリズムがいた。

 それらが全て殺到してくるが、ペガとグリの前にあっさりと砕かれていく。


「わぁ、おっきぃ……タコ?」


 マーサも広場へ飛び込んだことで、その威容がはっきりと見てとれた。

 壁にめりこむようにして生えるのは大きな腹、そして頭。

 頭からは立派な牙と四本の長い足が生えている。

 腹の部分からはうねうねとしたタコの足のようなものが八本生えている。


 蜘蛛とタコの合いの子のように見えるこのモンスターこそがプリズムイーター。

 このアイン大鉱山に巣食った、周辺一帯の鉱山を混乱に追い込んだ元凶である。

 触手のインパクトが強すぎてマーサにはタコに見えたようだ。

 

「なんかあれすっごく強そうだから……≪暗黒四魔神召喚≫!」


 マーサは即座に切り札を切った。

 発動すると同時に、選択肢がマーサの前に現れた。

 そこに並ぶのは四人の魔神の名前。

 このスキルは、最大MPの半分と引き換えに一定の時間だけ暗黒四魔神の内一人を召喚するスキル。


 マーサは即座に選択した。

 そして現れた人物へ指示を投げる。


「ミッシュさん、あいつを斬って!」


「了解した。丁度斬りたくて斬りたくてウズウズしてたところだ、覚悟して――駄目だ我慢出来ん!! 斬って切って斬ってキルルルルルゥゥ――!!」



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― 新着の感想 ―
[一言] あーあw 某魔神王「なぜ我輩に頼らず、ミッシュを頼る……」 とかなんとか言って、余計にこじれそうですね。
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