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22 いざ転生!


 マーサは嘆きの森でのバカンスを楽しんだ。

 そうして寛ぐこと一時間少々。

 マーサと≪マーサ様を厳重に護衛して安全にレベルを上げていただき隊≫は撤収した。


 現世に魔界ごと復活したとはいえ、魔神王以外にすることはまだほとんどない。

 準備がある程度整ってから必要な者達から随時封印を解く予定だった。

 しかし、実際は暗黒四魔神のみでなく、精鋭部隊三百人、一般兵二百人、使用人百人の全員を一度に復活させていた。


 それは何故か。

 マーサとアルディの結婚式の為である。

 それはもう盛大な結婚式にする為に、人手を欲したアルディが全員を一度に復活させた。

 それ故に、今は人手が余っている状態。

 しかし忠誠心が高い彼らは、尽くしたくて尽くしたくて仕方がない。

 ようは暇なのである。


「あー、楽しかった。次はアルディちゃんとも一緒に行きたいなー」


 マーサは満足そうにベッドに倒れ込んだ。

 夫婦であるマーサとアルディは二人で一つの部屋、一つのベッドを使用している。

 その為ベッドにはアルディの香りがはっきりと残る。

 マーサの一番のお気に入り癒しスポットと化していた。


 実はアルディも同じなのだが、その事実はお互いに知らない。

 メルドとメルチだけが知っている。


「それにしても、短い時間で立派になったねみんな」


「ヒヒン!」


「ピィ!」


「メェ」


 マーサの呼び掛けに、三匹が短い鳴き声で応えた。

 先程のレベル上げの間だけで、両手に収まるサイズだった三匹が見違えるように成長した。

 まさしくリアルサイズである。


「ステータスはどうなってるんだろう」


≪ペガ≫

種族:馬

LV:30(MAX)

HP:2412

MP:821

スキル:疾走 速度上昇 突進


≪グリ≫

種族:鷹

LV:30(MAX)

HP:1808

MP:652

スキル:飛翔 ウインドアロー 一撃離脱


≪ミヤ≫

種族:山羊

LV:30(MAX)

HP:2895

MP:520

スキル:睡眠魔法 突進 脚力強化


 そこには立派なステータスが表示されていた。

 プレイヤーに比べ低めの数値ではあるが、三匹同時にかかれば同レベル帯のプレイヤーにも引けを取らないだろう。


「すごいね皆! しかもレベルも上限になってる!」


 ペットは飼い主が得る経験値の一部を経験値として得る。

 それは1~50%の間で自由に設定出来るが、マーサは設定を弄っていなかった為初期値の10%であった。

 本来の一割の経験値しか得る事が出来ないのに、三匹は一時間程で上限に達した。

 如何に効率の良い狩りだったかが良く分かる。


「上限になったらどうすればいいんだろう。確か進化とかが出来るって書いてあったと思うんだけど……」


 困った時はやはりヘルプを見るに限る。

 マーサはいつものように調べて、すぐに目的の情報を手に入れた。


「ふむふむ。二つの選択肢があるのかぁ。どっちがいいんだろう」


≪進化≫……上位の存在に進化する。

      ステータスにボーナスが入り、レベルの上限が80になる。

      新たなスキルを習得する。


≪転生≫……レベルが1にリセットされるが、少しだけ上位の存在に生まれ変わる。

      ステータスもレベル相応になるが、ステータスにボーナスが入る。

      スキルを一つだけ持ち越せる。

      レベルアップに必要な経験値が増加するが、レベルの上限が50になる。


 進化はレベルは据え置きで強くなり上限も解放される。

 つまりは単純なパワーアップであり、そのまま戦力として頼ることが出来る。


 対する転生は、文字通り生まれ変わりだ。

 レベル1に戻る為育て直しとなる。必要経験値も増えるというおまけつきだ。

 その代わり、育てれば間違いなく転生前よりも強くなる。


 即戦力か、大器晩成か。

 どちらを選ぶかはプレイヤーの好みであると、ヘルプはそう締めくくられていた。


「んー……今すぐ戦力が必要な状態でも無いしなぁ。転生にしよー。小さい姿もう一回見たいし!」


 可愛いからという理由で決定した。

 可愛いは全てに勝るのだ。

 実際、マーサが即戦力を求める理由も特に無い。

 魔神王城にはマーサの為に動く戦力が大量にひしめいているのだから。


「えっと、転生はちょっと条件があるんだよね。どうしたらいいんだろう」


 転生に必要なものは、ペットと同じ種族のモンスターの素材。

 これを二から十の好きな数用意する。

 そしてそれを特殊なNPCに渡すことで、専用の≪魂の昇華材≫というアイテムが入手出来るのだ。


「……同じ種族のモンスターの素材かぁ。そんなの持ってないし、集めるのも大変そう――」


「ありますよ、マーサ様」


「えっ!? なんだ、メルチさんかぁ」


「驚かせてしまって申し訳ありません……」


 突然の声に驚いたマーサだったが、相手の姿を確認してホッと安堵の息を吐いた。

 暗黒四魔神の一人、包帯グルグル系妹メルチである。

 外見とは裏腹に四魔神一の常識魔神であるメルチは、申し訳なさそうに血走った片目を伏せた。


「あ、いいよ、気にしないで! それよりも、今あるって……」


「はい。その子達と同じ種族の者が持つ素材があればよろしいのですね? それでしたら、私がすぐに集めて参ります」


「いいの?」


「はい、お任せください」


「ちなみに、その素材を使って≪魂の昇華材≫っていうアイテムは作れますか?」


「はい、問題ありません。命や魂を弄るのは専門分野です」


「至れり尽くせり……メルチさんすごい! それじゃあ、お願いしてもいい?」


「はい、お任せください……」


 返事を返すと同時に、メルチは姿を消した。

 五分後、マーサがペガの背中にしがみついて遊んでいるところにメルチが戻ってきた。


「マーサ様、こちらがそれぞれの≪魂の昇華材≫になります」


「ありがとうメルチさん!」


「私の使命はアルディ様とマーサ様にお(つか)えすることです。お気になさらぬようお願いします」


(忙しいのに私の欲しい物を持って来てくれるなんて優しいなぁ。ありがとうメルチさん!)


 それだけを言い残すとメルチは再び姿を消した。

 呼んだら出てきてくれるが、仕事の邪魔をしてはいけないとマーサは心の中でもう一度お礼を言った。


「それじゃあ早速転生しちゃおうね!」


「ヒヒン!」


「ピィ!」


「メェ!」


 ペガの背から降りたマーサはアイテムを使用する。

 三匹共が光に包まれたかと思えば、発光したまま縮んで行く。

 そして両手に乗るサイズになったところで光が収まった。


「うわぁ! 皆可愛い! 最初に会った時みたいだね!」


「ヒン!」


「ピ!」


「メ!」


 余りの可愛さに、マーサは膝をついて顔を近づけた。

 満面の笑みである。

 三匹共が元気よく鳴いた。

 

「また立派に育てるからね!」


「ヒン!!」


「ピ!!」


「メ!!」



≪ペガ≫

種族:暗黒仔馬(ダークリトルホース)

LV:1

HP:15

MP:12

スキル:突進


≪グリ≫

種族:大鷲(雛)

LV:1

HP:13

MP:9

スキル:ウインドアロー


≪ミヤ≫

種族:暗黒仔山羊

LV:1

HP:17

MP:12

スキル:睡眠魔法



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[一言] グリだけ正当転生な気がするね~?
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