表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/66

16 いざ宣言!

本日三回目の更新です!


 メリアはマーサを泥棒呼ばわりし、混乱するばかりで反論出来ないマーサを周囲は泥棒だと決めつけた。

 様子を見ているプレイヤーもいるが、すなわち放置である。

 マーサの味方はいなかった。


 プレイヤー達の中には。


「そこまでです!」


「な、NPC……?」


「え、メルドさん……?」


 悔しくて悲しくて、ゲームの中なのに泣きそうになっていたマーサの側に現れたのはメルドだった。

 マーサの位置からは見えないが、まるで氷のように冷たい表情をしている。


 そしてメルチもまた、マーサの傍らに立っている。


「メルチさんまで、どうしてここに……?」


「……内密に護衛をしておりました。ここは我々にお任せください」


「ごめんなさい、ありがとうメルチさん」


「マーサ様の友人ということで大目に見ていましたが、もう我慢の限界です。一体、何の根拠があって泥棒呼ばわりしているのですか、貴女は」


「そこの女がその装備を私にくれる筈だったのに、約束を破ったの。だから泥棒。これで気が済んだ? 部外者は引っ込んでてよ」


「わ、私はそんな約束し――」


「言い訳しないでよ!」


「えええ……」


 マーサの発言をメリアは大きな声で遮る。

 気の小さい方であるマーサはそれだけで驚き、続きが出てこない。

 自分に不利になる発言はそれで全て封じ込めるという、メリアの作戦である。


「マーサ様、大丈夫です。私があの不届き者にわからせてやります」


「え、あの、大丈夫?」


「問題ありません」


 振り向いて声を掛けるメルドに、マーサは少し不安になった。

 どう見ても大丈夫じゃない顔をしているからだ。

 メルドは怒りのオーラを身に纏い、メリアへ向き直る。 


「愚かな人間どもよ! このドレスは我らが主、魔神王様が自らこの御方へ贈られたものだ! そしてこの御方こそ、魔神王様の伴侶である魔神姫マーサ様だ!」


「は?」


「魔神王? 魔神王ってあの魔神王?」


「魔神王ってアルディエルちゃんだよなぁ!? あの子と結婚したのか!?」


「おいおいマジか? そんなこと有り得るのか?」


「でもあれってNPCだろ? そんな変な嘘つくか?」


「ロリ魔神王と美少女プレイヤーの結婚。アリだな」


「アリの中のアリ」


「アリでしかない」


「ナシは殺すからアリでしかない」


 メルドの宣言により、今度はメリアが絶句する番だった。

 そして周囲のプレイヤー達はどよめく。

 NPCとプレイヤーの見分けは簡単につく。偽装は不可能。

 そのNPCが嘘などつく理由が無い。

 

「うわぁ~……!!」


 そしてマーサもまた、驚きと恥ずかしさで(うずくま)った。

 周囲の反応と生暖かい視線がマーサの顔を熱くさせる。


「ちょっとそれ、どういうことよ! 適当なこと言わないでくれる!?」


「適当な事、ですか?」


 再起動したメリアが、メルドへ食って掛かる。

 このままでは泥棒呼ばわりしたことがばれる。そうなれば、メリアは悪質なプレイヤーとして扱われるだろう。

 それを回避する為に、メリアは譲る訳にはいかなかったのだ。


「そうよ。魔神王から直接もらったなんて、どうしてあんたが分かるわけ!?」


「……いいでしょう。反省の色が無いようですし、自己紹介して差し上げましょう」


 スッと、メルドの身体が浮き上がった。

 背中からは漆黒の翼が生え、両腕両脚は膨れ上がり、黒くゴツゴツした質感へと変わる。

 整った顔には幾本ものひび割れが奔り、その眼は真っ赤に染まる。

 本来の姿と人の姿、その中間であるこの姿は、≪魔人態≫とよばれる形態である。


「私は魔神王アルディエル様にお仕えする暗黒四魔神が一、≪軍勢の魔神≫メルドでございます。勿論、

魔神王様の大切な方であるマーサ様にも忠誠を誓っております」


「あ、ま、魔神!? そんなのがなんでここに!」


「これで分かりましたか? あのドレスは正真正銘、魔神王様が贈られたドレスです」


「はいはい、分かったわよ。これで気が済んだ?」


「仕方ありません。これは、お仕置きが必要ですね。マーサ様、一足お先にお帰り下さい」


 メルドはため息を吐いた後、マーサへ向き直った。

 

「え、確かにもう帰りたいけど、今帰ったらメルドさんが何するか――えぇ!?」


 薬指に装備された指輪が、マーサの帰りたい気持ちを感じ取った。

 そしてそれは遠く離れた魔神王へと伝えられた。

 即座に発動する送還魔法。

 マーサは光に包まれ消え去った。


「では、掃除をしましょう」


 メルドの周囲に十体の細身の悪魔が出現した。

 レベルは50程度だが、動きが早く、獲物をどこまでも追いかける習性を持つ。


「この場にいた全てのプレイヤー共を抹殺しなさい。行け!」


 勿論、今のプレイヤー達では一体が相手でも勝てる相手ではない。

 スターレの街の一角で、蹂躙劇が幕を開けた。



お読みいただきありがとうございます!

少しでも興味を持っていただけたら、評価&ブックマークをお願いします。感想等も是非お願いします!

作者のモチベーションが上がりますので是非!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] いんがおーほーですね。いいぞもっとやれ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ