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14 いざ再会!

日付的には一回目の投稿ですが、気分的には七回目の更新です!


 魔神王城執務室。

 その名の示す通り魔神王が仕事をする際に使用する部屋だ。

 そこに魔神王アルディエルと魔神姫マーサがいた。


「ではマーサよ、くれぐれも気を付けるのだぞ」


「大丈夫だよアルディちゃん。夜には帰るからね」


「うむ。帰る時にはその指輪に念ずるがよい。すぐさまこの城へ送還するのである」


「分かった、ありがとう!」


「ではゆくぞ!」


 アルディが手をかざすとマーサの全身が光に包まれる。

 姿が見えなくなる程に発光し、すぐさま光が消えていく。

 そこにマーサの姿は無かった。

 アルディの魔法でマーサをスターレへと転送したのだ。


「メルド! メルチ!」


「はっ、ここに」


「……」


 アルディが名前を呼ぶと、二人の魔神が現れた。

 執事服の眼鏡クールビューティー、≪軍勢の魔神≫メルド。

 全身を汚れた包帯でグルグル巻きにしているせいで血走った片目しか露出していない系妹、≪命魂の魔神≫メルチ。

 魔神王が誇る最高幹部、暗黒四魔神だ。


「吾輩は忌々しい契約の為、まだ魔界から出ることが出来ぬ。マーサの護衛は頼んだぞ」


「任せてください。マーサ様の安全は私とメルチが確実に確保してみせます」


「……お任せください、アルディ様」


「うむ、任せたのである。では行くのだ!」


「「はっ!」」





 白くなっていた視界に色が戻る。

 そこは、マーサが初めてログインした場所。西の門の外側だった。


「わぁ、一瞬で移動出来るなんてアルディちゃんすごいなぁ!」


 しかし、魔神王の尖兵による襲撃で酷く損傷していた。

 しばらく周囲を見回したマーサも困惑する程だ。


「……あれ? ここってこんなに荒れてたっけ。……まぁいっか!」


 大したことではないと思い直し、マーサは歩き出す。

 アルディがメルドに相談をしている間に、マーサはメリアに連絡を取っていた。


 遊べるという返事に喜んだメリアは、すぐさま会えないか打診した。

 マーサはこれを快諾。

 そうして待ち合わせた場所は、前回と同じく西の門の内側だった。


「メリアちゃんまだかなー」


 邪魔にならない端に寄ってメリアを待つ。

 これも前回と同じだ。

 違っていたのは、マーサの格好。そして周囲の視線だ。


「おい、何だあの子滅茶苦茶可愛くない? ゴスロリってやつ? 滅茶苦茶似合ってんなおい!」


「あんな装備どうやって手に入れたんだ!?」


「この辺りのボスドロップってどんなだった!?」


「あんなの作れる奴いたか!? 素材は何だ!?」


「えっ踏まれたい」


「可愛いー!」


「まだサービス開始二日目だぞ? 復興クエストもまだ途中なのにあんな装備一体どこで……」


(前よりも周りが騒がしいような? それになんだかすっごい見られてるような気もする……?)


 周囲のただならぬ雰囲気に、マーサは首を傾げる。

 マーサの装備は明らかに他のプレイヤー達の物とは格が違う。

 注目を集めるのは必然だった。


「えっ、もしかしてマーサ?」


「あ、メリアちゃん、やっほー!」


「マジでマーサだった。髪染めてたから一瞬誰だか分からなかった。金のメッシュなんて入れちゃって」


「え? 髪の毛?」


「あー、それはいいや。その装備どうしたわけ?」


「え、これ? もらったの!」


「もら、もらったっ!?」


「うん」


(こんな装備、有名な廃人達でも持ってるとこなんて見たこと無いのに。一体どこのだれがこんな装備貢いだって言うの……?)


 メリアは唖然とした。

 誰も持っていないような装備を簡単に人にあげる人物がいることに。

 マーサがそれをもらえたことに。

 しかし、すぐに思考を切り替えた。


(……これは使えるかも。この子どうせアイテムの価値なんて分からないだろうし。……良く見たら服だけじゃなくて、他の装備もレアっぽいじゃん)


「とりあえずマーサ、ここは目立つから移動しよ」


「うん、分かった」


 メリアに促され、プレイヤー達の視線を振り切る為に場所を移動した。

 やってきたのは一軒の酒場。

 メリアは慣れた様子で店員に声を掛ける。

 そうして二人は個室に通され着席した。


「飲み物何にする?」


「へー、色々あるんだね! それじゃあ私コーラ!」


「ゲームの中でまでコーラなの。スペシャルスライムゼリーとかあるよ」


「すごいね! でもコーラもしばらく飲めてないから今日はコーラにしとくね!」


「ふーん」


 パネルで注文をすると、すぐに飲み物が出現した。

 個室ならではのサービスであり、通常席ではNPCの店員が運んでくる。


「わぁ……! ――んん、美味しい!」


 マーサはグラスを手に取りストローを口にした。

 久しぶりに飲むコーラの味と感触に、幸せそうな笑顔を浮かべている。


「マーサ、その装備もらったんだっけ?」


「うん、そうだよ!」


「ちょっと見せてくれない?」


「うん、いいよ。えっと、どうすればいいの?」


「一度ストレージに仕舞った後に取引で渡して。装備したままだと詳細見れないから」


「え、渡さないと見れないの?」


 マーサはゲームに疎い。

 このゲームの仕様にも詳しくなく、友達がいない時期に声を掛けてくれたメリアのことを信頼していた。

 しかし、アルディにもらった装備を人の手に渡すのは躊躇(ためら)われた。


「そうだけど、なんで?」


「そうだったらごめん、疑ってるとかじゃないんだけどこれは大切なものだから渡すのはちょっと……」


「えー、いいじゃん別に。すぐ返すって」


「ほら、急な用事とか出来て、返し忘れたりしたら大変だし」


「大丈夫だってー」


(ちっ、変な所で勘がいいなこの子。性能確認したら接続がーとか言ってログアウトするつもりだったのに。とりあえずなんとか詳細だけでも見ておきたいけど、どうしようかな)


 粘る様にお願いしながらも、メリアは次の手を考える。

 まずは性能の確認が必要である。

 そう結論付けて、即座に行動に出た。



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