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追放貴族は最強スキル《聖王》で辺境から成り上がる~背教者に認定された俺だけどチートスキルでモフモフも聖女も仲間にしちゃいました~  作者: 丘/丘野 優
第3章 《煉獄の森》の外

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第58話 冒険者組合にて

 その場所は独特の空気に満ちていた。

 皮革製品や武具の放つ金属の匂いが主で、他には薬草関係の香りもする。

 総じて悪い意味で匂うことがないのは、ここには依頼者たちも大勢来るからだろう。

 

 ここ……つまりは、冒険者組合には、だ。


「……わふ、わふわふわふ、わふ(殿、我々のような魔物がここにいても、果たして本当に大丈夫なのでしょうか?)」


 俺にそう尋ねてきたのはコボルトソルジャーのマタザで、隣にいるリベルも彼に同意するように頭を縦に振って俺の返答を待っているようだった。

 彼らの後ろにいるコボルトたちも似たような表情だ。


 かなりの大所帯で来てしまったので邪魔になるかもという気がしたが、グレッグから比較的、冒険者組合が空いている時間帯を聞いた上で訪ねているので問題ない。

 数人の冒険者の姿は見えるものの、その程度だ。


 出来れば代表者だけで来られれば良かったのだが、身分証明書として《カード》を発行して貰う、という関係上、どうしても全員で来る必要があった。

 あれは魔道具に本人の情報を登録する必要があるものだからな。


 この世に存在する全ての生き物に宿るという、原始魔力。

 それを魔道具が読み取り《神の頭脳》にアクセスして……と、この辺りの話は俺もよく分かっていないので、割愛する。

 ちなみに原始魔力というのはみんな持っているらしいが、魔術を発動できる魔力とは別物らしい。

 だから、一般的に「魔力がない」とか言われる人間も少なからず存在するが、その場合はこの原始魔力を持たないと言うことは意味しない。

 あくまでも、魔術を使用するために消費される魔力を持たない、ということだ。

 

 まぁ、それはそれとして、だ。

 俺はマタザに答える。

 もちろん、周囲に聞こえないよう、弱く音声結界を張りつつのことだ。 

 《結界》の技能によるものだが、当然のごとくアトから借りて鍛え上げたものだ。

 今はレベルが3に至っていて、そこそこ使える。便利だからとこれについては優先して上げていくように言われたからだ。

 魔物と戦うときも使うことが多かったので、必然的に上がったというのもあるな。


「大丈夫だろうさ。ここに来るまでの間に見ただろう? 獣人たちも沢山住んでいるところだし、獣人はその声帯の関係上、普人族なんかの言語の発声が難しい種族も多くいる。見た目に関しても……みんなは小型の犬系の獣人族にしか見えないからな。マタザとリベルは中型寄りに見えるけど、その程度だし」


 これは事実だ。

 まぁ、だからこそアストラル教などは亜人を排斥しようとしたりする思考になりがち、というのもあるけれどな。

 神に与えられた言葉を話せぬ者など、人ではないというわけだ。

 別にそういった獣人が喋れないというわけではないのに。

 彼らは彼らの声帯に適した言語を使っているだけだ。

 大体、そこからすれば俺たちも獣人族の言語の全てを発声できるわけでもない。

 コボルトたちの言葉は、最近俺は喋れるようになってきているのだが、蛙人族の言語とかはまず無理だ。

 それに極端な高音を聞き取れるが故にその辺りを使ったりする種族もいる。 

 ようは、種族によりけり、ということなのだ。

 それをアストラル教は……。

 まぁ、あんまり文句言っても仕方が無いんだけどな。

 ともかく、マタザたちがわふわふとしか言ってなくとも誰も不思議には思わないし、問題にもしない。

 

「わふ……わふわふわふ?(ならいいのですが……でも殿、向こうの人間がこちらを見ておりますぞ)」


 マタザがそう言ったので俺が振り返ると、


「……確かに、なんか凝視されてるな……」


 そう言いたくなる程度に、俺たちの方を力強く見つめている一人の人物がそこにいた。

 冒険者組合内にいくつか設けられている、おそらくは冒険者パーティーたちのための、ミーティング用のスペース。

 そこにはテーブルと椅子がいくつか配置されているわけだが、その中の一つに一人で腰掛け、こっちを見つめている屈強な男の姿が見えた。


 不思議なのは、一切の武具を纏っていないこと、だろうか。

 見るからに筋骨隆々で、どう見ても冒険者風、なのだが、武具を纏っていないというのは……。

 依頼者なのか?

 依頼の受理待ちとか……それでなんで俺たちを見つめるのかは分からないが、目障りだったのだろうか。

 分からない。

 そんなことを考えていると、その男はふっと立ち上がって、こっちに近づいてくる。


「わふ!?(主、こっちに来ますよ!?)」


 リベルが驚いたように俺の後ろに隠れた。

 マタザを始めとする他のコボルトたちも同じようにする。

 キャスだけは俺の肩に乗っかって、


「……シャー!」


 と低く威嚇の声を漏らした。

 彼女がそうしたくなる程度の実力者、か。

 確かに俺から見ても強い男だというのは分かる。

 ただ、それでも構えることをしなかったのは、特段敵意を感じなかったからだ。

 それだけに、一体何の目的があるのかは分からなかったが、それは次の瞬間、目の前に仁王立ちするように立った男の口が開いたことで判明する。


「お前が、ノアだな?」


「え? ええ、そうですが……貴方は? なぜ俺の名前を……」


「ほう、確かに出自が気になるな。言葉遣いがただの平民のそれじゃあ、なさそうだ」


 そこで、なんとなく俺は察して、訪ねる。


「もしかして、フレスコ殿、ですか?」


「あぁ、よく分かったな。俺がこの冒険者組合の長、フレスコ・メインだ」

読んでいただきありがとうございます!

できれば下の☆☆☆☆☆を全て★★★★★にしていただければ感無量です!

ブクマ・感想・評価、全てお待ちしておりますのでよろしくお願いします。

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追放貴族は最強スキル《聖王》で辺境から成り上がる ~背教者に認定された俺だけどチートスキルでモフモフも聖女も仲間にしちゃいました~1 (アース・スターノベル)」 本作が書籍化しました! 2月16日発売です! どうぞご購入いただけると幸いです。 どうぞよろしくお願いします!
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[良い点] 面白い [気になる点] 面白いけど主人公の思考長文説明が多く 高い更新頻度の割に物語が進まず読み味を損なってるように思います
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