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自分から追放された元貴族令嬢ですが許せないので見返します  作者: 創造執筆者
五章 クレハの躍進
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87 クレハのために

ここはロドシアが収監されている牢の目の前、そこに姿を現したのはルークであった。クレハが寝静まるのを待った後、特別に王妃から許可をもらい、ここを訪れていたのだ。


確かに、ルークはロドシアと面識はない。しかしながら、クレハがあそこまで悲しんでいるのを見ると、じっとしていられなかったのだ。そのうえ、クレハからロドシアとサラは姉妹と聞いていた、ルークからすれば家族を裏切るという行為は信じられなかったのだ。


「あなたがロドシアさんですね」


「あなた誰ですか?」


ロドシアは既に眠っていたのか、無理やり起こされ機嫌が悪そうだった。先ほどと違い、服装は既に質素なものに着替えており、扱いは囚人そのものであった。


「僕はオーナー、クレハの部下のルークです。本来なら、あなたの同僚になるはずだった人間と言ったほうが分かりやすいかもしれませんね。それで、本題を話したいんですが?」


「クレハさんの部下の人が何の用ですか?憂さ晴らしに、私のことを殴ってくるようにでも言われましたか?」


ロドシアは顔をうつ向かせているため、ルークからはその表情を読み取ることができない。


「この状況で本題なんて一つしかありませんよね。聞きたいことは一つです、どうしてこんなことをしたんですか?」


「言ったはずですよね?お金のためだったと。」


「確かに、オーナーを裏切るのはお金のためと言われれば理解できます。ですが、サラさんは別ですよね?オーナーから聞きました、お二人は姉妹だとか。たった一人の家族をお金のために裏切るなんてことは考えられません。


確かに世の中にはそんなことをする人間もいると思います。でも、そんな人を見抜くことができないオーナーではありません。そういう悪い人は接しているうちに絶対に本性をさらけ出すものだとオーナーは言っていました。


だから、あなたがお金のためにみんなを裏切るのは変だと思ったんです。あなたは本当にお金のためなんかに裏切ったのですか?もっと別の理由があったのではないですか?」


ルークは初対面のロドシアは信じていなくても、今までともに働き、教えを受けていたクレハのことは心から信用していた。クレハの湯を任せると言っていたあの時のクレハのことを思い出し、クレハが信用していたのであれば、悪い人間ではないと考えていたのだ。


「二度言わせないでほしいですね、すべてはお金のためです!それ以下でも、それ以上でもないです」


「あなたは悪い人ではないはずです。そんな人がつく嘘は誰かのためにつく嘘だけなんです!もしかして、あなたは誰かを守ろうとしているんじゃないですか?」


「何言っているの!何度も言わせるな、私は金のためにやっただけだ!」


先ほどまでベッドに腰かけていたロドシアは突然立ち上がり、勢いよく牢を殴りつける。彼女の突然の行動にルークは確信を持つ、この人は誰かを守ろうとしていると。


「やっぱり、お金のためなんかに裏切ったわけじゃないんですね。あなたはいったい誰を守ろうとしているんですか?仕えている王妃様ですか?それとも妹であるサラさ」


「だまれ!金のためだと言っているだろう!余計なことは言うな!」


ルークが王妃の名前を出すと表情を変えなかったロドシアだったが、次にサラの名前を出したとき、かぶせ気味にルークの話を遮った。ルークはこの行動でロドシアが誰を守ろうとしているのかを理解することができた。


「やっぱり、サラさんを守ろうとしていたんですね。事情を話してください、このままだとサラさんは一生このことを引きずってしまいます。あなたのせいで大切な家族が一生悔み続けてしまうんですよ!それでもいいんですか?心に負った傷は何年経とうと、どんなことがあっても治ることはないんです。お姉さんなら、たった一人の妹くらい守って見せてくださいよ!」


これからの長い人生を延々と悔み続けるサラのことを想像し、胸が苦しくなったのか、ロドシアは泣きながらこの事件の真相を話し始めたのだった。


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