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自分から追放された元貴族令嬢ですが許せないので見返します  作者: 創造執筆者
五章 クレハの躍進
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83 内通者の存在

王妃とルークがクレハの手がかりを期待していると王妃に仕えているメイドが嬉しい報告をもたらした。


「王妃様、クレハ様が見つかりました!アルタル王国に潜入していた兵長がクレハ様を救出しました」


王妃はほっと息をつき、ルークはクレハが無事であったことに緊張の糸が切れ泣き出してしまった。


「よかった、クレハは無事なのですね。すぐに案内してください!」


「オーナー、良かった。よかったよぉ」


二人がクレハの元へ向かうと明らかに痩せこけており、まともな食事をとっていないことは明らかだった。幸いなことに、けがをしているわけではなかったため、しばらく休めば元通りの生活ができるだろう。


「クレハ大丈夫ですか?いったい何があったのです?」


「王妃様と別れたあの日、乗っていた馬車が盗賊に襲われました。ですがそれは偽装で彼らはアルタル王国の宰相の部下だったのです。彼らは私が塩の製法をもたらしたものだと知っていました。そして、その知識を使って自国の国力を上げることを要求してきたのです」


その言葉を聞き、王妃の顔は青ざめる。クレハのことは誰にもバレないように塩の製造を進めていたからだ。もしも、そのことが他国にでも漏れてしまえばクレハが金のなる木だと知られ、狙われてしまうからだ。


「そんな馬鹿な、クレハが塩の製法に関わっていたことは、ごく一部の人間しか知りません。それが漏れているということは内通者がいるということですか」


「そういえば盗賊も内通者から私のことを知ったと言っていました」


「この国にネズミがいるということですね、クレハすべては私の責任です。本当にごめんなさい」


王妃は自身の失態を重く受け止め、クレハに頭を下げ精一杯、謝罪を行う。


「頭をお上げください、王妃様。こうして無事に戻ってこれたので私は気にしていません」


クレハが謝罪を受け入れると王妃は厳しい顔つきになり兵長に命令を下す。


「兵長、あなたにネズミの特定を命じます。ネズミの存在がいたことはここだけの話としますので何としてでも、裏切り者を私の目の前に連れてきなさい。いいですね!」


「かしこまりました、この命に代えましても必ず見つけ出します」


兵長は自らに与えられた命令を果たすため、一足先に部屋から退出する。


「それよりも王妃様、アルタル王国は戦争を起こす気です。私が彼らに技術を与えたばかりに、申し訳ありません。」


「戦争ですか、まったくあの国は何を考えているのか。今回の件に関しては仕方ありません、それに今回のことは私の責任です。責められるのであれば、それは私です」


クレハの謝罪に王妃は気にしていないとクレハを励ます。だが、ここでクレハは自らの蒔いた種の話をする。


「ところで王妃様、アルタル王国の宰相に技術を話したとき、質の悪い武器を量産する方法を教えていました。ですので、彼らの武器はほとんど使いものになりません。おそらく兵が衝突すればすぐに武器は折れてしまい、あっという間に敵軍の士気は下がってしまうと思います」


クレハの容赦ない作戦に王妃は笑い出してしまう。あまりにも腹黒い作戦に笑いが込み上げてきたからだ。


「あなたも、策士ですね。我が国の参謀本部にアドバイスを入れてほしいくらいです。あなたのおかげで、アルタル王国が自滅して我が国の領土になりそうな気がします。私はこのことをすぐにでも陛下に報告します。あとはルークに任せますから。今回のことは本当にごめんなさいね、この埋め合わせはきっとしますから。それと、しばらくはこの部屋を使って構いません。体が完全に回復するまでゆっくり休んでください」


王妃は国王に報告をするためにルークとクレハを残し部屋から退出する。


「オーナー、本当に無事でよかったです。僕、本当に心配していたんですよ。盗賊に襲われたと知った時は本当に生きた心地がしませんでした」


「心配をかけてごめんなさいね。兵長から聞きましたよ、あなたが私が帰ってこないことに気づいて王妃様に捜索をお願いしてくれたんでしょ。私が生きていたのはあなたのおかげですよ、ありがとうございます」


「僕は何もしていませんよ、ただ待つことしかできませんでした。ごめんなさい」


「何を言っているんですか、ルークはルークのやるべきことをしてくれたから私は助かったんですよ。少し疲れました、ルーク、私が眠るまで側にいてくれませんか?」


「もちろんです、僕はずっとそばにいますから安心して眠って下さい」


ルークはクレハが眠るまでずっとそばに居続けた。いつまで経っても出てこないルークを呼びに来たメイドの目の前にはクレハが眠っている側でルークも眠りについている光景が広がっていた。メイドはルークの肩にそっと毛布を掛け、笑みを浮かべながら、その場を立ち去るのだった。


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